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  • 昭和54年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第13 動力炉・核燃料開発事業団|
  • 不当事項|
  • 物件

潤滑油の購入に当たり、適性試験の結果適切でないことが判明している品種を選定したため、不経済になったもの


(153) 潤滑油の購入に当たり、適性試験の結果適切でないことが判明している品種を選定したため、不経済になったもの

科目 (款)ウラン濃縮開発費(項)パイロットプラント運転費
部局等の名称 人形峠事業所
契約の概要 人形峠事業所に建設中のウラン濃縮パイロットプラントの真空系ロータリーポンプ用として特定のふっ素系潤滑油を購入するもの
契約額 9,250,000円
契約の相手方 日本モンテジソン株式会社
契約 昭和54年6月 随意契約
支払 昭和54年8月

 この物品の購入に当たり、適性試験で品種が適切でないことが判明しているのにこれについての連絡を行わなかったため使用不適な潤滑油を購入する結果となり、925万円が不経済になったと認められる。

(説明)

 この潤滑油は、人形峠事業所が同事業所内に建設中のウラン濃縮パイロットプラント(以下「濃縮設備」という。)の真空系ロータリーポンプ(以下「真空ポンプ」という。)に使用するために購入したものである。
 しかして、この潤滑油については、動力炉・核燃料開発事業団本社(以下「本社」という。)が、当初、石油系潤滑油を使用することとしていたが、ウラン濃縮技術の開発試験を実施している同事業団東海事業所において、石油系潤滑油を使用して真空ポンプを運転していたところ、昭和52年11月、真空ポンブの排気管(塩化ビニル管)に破損事故が発生したため、本社では同年12月、石油系潤滑油に代え特定のふっ素系潤滑油を使用することと決定していた。一方、東海事業所では事故対策として排気管をステンレス管に取り替えるとともに、石油系潤滑油の使用も事故に関係があったのではないかと思料し、53年1月から石油系潤滑油に代わるものとしてこのふっ素系潤滑油の適性試験を実施したところ、真空ポンプに高熱が生じたので、同年6月、この潤滑油の使用を取りやめ、その後適切な潤滑油を選定するまでの間当初の石油系潤滑油を使用することとしていた。

 しかるに、人形峠事業所では52年12月の本社の決定に基づき、濃縮設備の試験運転にはこのふっ素系潤滑油を使用するものとして54年6月、250kgを9,250,000円で購入し、同年7月、上記の試験運転にこれを使用したところ、東海事業所で実施した適性試験のときと同様真空ポンプに高熱が生じたので、その使用を取りやめ、これに代え当初の石油系潤滑油を使用することとしており、その結果本件ふっ素系潤滑油は購入量の大部分が使用されないまま保管されている状況である。
 しかしながら、前記の東海事業所における適性試験の結果、本件ふっ素系潤滑油が使用不適であることは既に判明していたのであるから、本社において、これについて人形峠事業所に指示をすべきであり、また、人形峠事業所でもその購入に当たって、本社及び東海事業所に連絡して適性試験の結果を確認すべきであったと認められるのに、その配慮を欠いて使用不適な潤滑油を購入したため、925万円が不経済になったと認められる。