会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)農林水産本省 | (項)農業振興費(項)農業構造改善対策費(項)農産園芸振興費(項)水田利用再編対策費(項)農業改良普及対策費(項)食品流通等対策費(項)海岸事業費(項)農用地開発事業費 |
(組織)林野庁 | (項)林業振興費 | ||
(組織)水産庁 | (項)水産業振興費 | ||
部局等の名称 | 農林水産本省、東北、関東、北陸、東海、近畿、中国四国、九州各農政局、林野庁、水産庁、群馬県 | ||
補助の根拠 | 土地改良法(昭和24年法律第195号)、海岸法(昭和31年法律第101号)、林業基本法(昭和39年法律第161号)、沿 岸漁業等振興法(昭和38年法律第165号)等 | ||
事業主体 | 県2、町4、農業協同組合4、その他21、計31事業主体 | ||
補助事業 | 青森県中津軽郡岩木町山村等振興対策事業等20事業 | ||
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 319,946,091円 |
上記の20補助事業において、補助の目的を達していなかったり、事業費を過大に精算していたりなどしていて、国庫補助金119,805,474円が不当と認められる。これを県別に掲げると、別表 のとおりである。
(説明)
農林水産省所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同省ではこれらの事業主体に対して事業に要する費用について直接又は間接に補助金を交付している。
しかし、これらの補助事業の実施及び経理について検査したところ、前記の31事業主体が実施した農業構造改善事業、山村等振興対策事業等の20事業において補助の目的を達していなかったり、事業費を過大に精算していたりなどしていた。
いま、これらについて不当の態様別に示すと次のとおりである。
補助の目的を達していないもの | |||
7事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 88,540,893円 | |
事業費を過大に精算しているもの | |||
4事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 11,095,731円 | |
補助の対象とは認められないもの | |||
4事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 9,687,303円 | |
工事の設計又は工事費の積算が過大となっているもの | |||
3事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 6,195,900円 | |
その他 | 2事業 | 不当と認めた国庫補助金 | 4,285,647円 |
県名 | 事業 | 事業主体 (所在地) |
事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認めた事業費 | 不当と認めた国庫補助金 | 摘要 | |
(57) |
青森県 |
山村等振興対策事業(緑地等利用施設の設置) |
申津軽郡岩木町 |
千円 16,883 |
千円 8,441 |
千円 16,883 |
千円 8,441 |
補助目的の不達成 |
この事業は、昭和51年度補助事業として、自然緑地等の利用施設を整備するとともに、観光農林業を推進し、農家所得の向上を図るため、岩木町常盤野地区に広場7,000m2
、キャンプ場3,600m2
、駐車場3,200m2
及び農産物直売所等を含む管理所1棟延べ84m2
等の施設を事業費16,883,524円で設置したものである。そして、岩木町では、上記施設を設置した後、隣接している同町営ゴルフ場の管理を行わせている会社にこれらの施設の管理を委託していた。 しかし、同町では、52、53両年度における農産物直売所等の経営が不振のため、54年度以降管理所等をゴルフ場内に取り込みゴルフ場施設として同会社に使用させることとし、管理所については、54年4月改築したうえ、ゴルフ場のクラブ・ハウスとして使用させるとともに、広場7,000m2 のうち6,233m2 及び駐車場3,200m2 等については同年7月ゴルフ場のコース及び駐車場に改造することを承認して使用させており、補助対象事業施設のほとんどが補助の目的以外の用途に転用されていて、所期の目的を達していない。 |
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(58) | 青森県 | 農業就業改善総合対策事業(共同作業場の設置等) | 中里音響機器共同組立加工組合(北津軽郡中里町) | 37,943 | 18,971 | 6,425 | 3,212 | 事業費の精算過大 |
この事業は、昭和54年度補助事業として、農業者が地元において安定した就労の場を得るため、音響機器の組立てを行う共同作業場1棟496m2
を設置するとともに業務用椅子を導入したもので、このうち共同作業場にういては、契約額36,300,000円で一括請負により施工したこととして事業費を精算していた。 しかし、実際は、共同作業場の設置工事を別途建築本体工事、外構工事、電気工事、給排水衛生設備工事等に区分し、6業者に29,874,500円で請負により施工させていた。 |
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(59) | 岩手県 | 農用地開発事業(草地開発) | 岩手県 | 23,498 | 12,923 | 1,968 | 1,082 | 工事費の積算過大 |
この工事は、飼料畑を造成し畜産による地域農業の振興と農家所得の増大を図るため、遠野市附馬牛(つきもうし)町地内に草地270haを造成する工事(事業計画昭和49年度から58年度まで)の一環として、54年度に林地等30.7haを改良して草地を造成したものである。そして、工事費の積算についてみると、林地26.2haの伐採跡地に散在している残木の集積整理については、岩手県が定めた「施工単価条件表」に記載された集積火入歩掛かり、1ha当たり普通作業員25人を適用し、この工事では集積だけで火入れは行わないので、集積分に相当する歩掛かりをその70%の17.5人として、1ha当たりの経費を112,175円、26ha分で2,938,985円と算定していた。 しかし、上記施工単価条件表の資料によれば集積火入歩掛かりのうち集積に要する歩掛かりは約30%とすることになっているのに、これを取り違えて70%としたため、集積に要する歩掛かりが著しく過大なものとなっており、これを正しく計算すると集積に要する歩掛かりは1ha当たり普通作業員7.5人となり、1ha当たりの経費は48,075円、26.2ha分で1,259,565円となる。 いま、仮に上記により工事費を修正計算すると、積算不足となっていた土壌改良資材散布火等を考慮しても総額21,530,000円となり、本件工事費はこれに比べて約1,968,000円割高になっていると認められる。 |
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(60) | 宮城県 | 漁業振興施設整備事業(漁船漁具保全施設の設置) | 伊豆沼漁業協同組合(栗原郡若柳町) | 15,008 | 5,000 | 15,008 | 5,000 | 補助目的の不達成 |
この事業は、天然湖沼伊豆沼の内水面漁業における生産及び流通の近代化を図るため、昭和54年12月から55年3月までの間に、漁船けい留さん橋延長95m(幅員2.1m)、倉庫兼休憩室1棟48.6m2
、駐車場兼作業場1,533m2
、蓄養殖池126m2
、蓄養殖水槽4槽等共同利用施設を設置したものである。 しかして、上記漁船けい留さん橋と駐車場兼作業場等間の通行には、延長50.5m(幅員4m)の道路を取り付けて使用することとしていたが、事前に土地所有者と借地契約を締結することなく道路を除く施設の工事に着手したものの、土地所有者の同意が得られないため、これの代替となる迂回路を利用することとして、55年2月この取付道路工事費相当分で当初計画にない漁船けい留さん橋を54.5m延長し、蓄養殖水槽4槽等を新設したものである。 しかし、実際は、代替となる迂回路がないため上記各施設は使用できない状況で、共同利用のための施設として設置した目的を達していない。 |
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(61) | 茨城県 | 農村地域整備開発促進事業(農業機械の購入等) | 美野里町農業協同組合(東茨城郡美野里町) | 18,740 | 9,370 | 11,507 | 5,753 | 補助目的の不達成及び事業費の精算過大 |
この事業は、農用地の効率的利用と経営規模の拡大を図るため、昭和52年度補助事業として、トラクタ3台、コンバイン1台、コンバイントレーラ1台、動力噴霧機3台、ダンプトレーラ2台等の共同利用機械を導入し、また、54年度補助事業として、コンバイン2台、動力噴霧機2台等の共同利用機械を導入するとともに、乾燥施設1棟50m2
を設置したもので、事業費を52年度12,500,000円及び54年度6,240,000円として精算していた。 しかして、事業主体は、上記機械のうちトラクタ3台、コンバイン1台、コンバイントレーラ1台、動力噴霧機5台、ダンプトレーラ2台(これらの事業費10,722,660円)については、これを導入した後、農業者9名に、それぞれの機械に係る事業主体の負担金相当額を負担させて専用させるなどしていて、共同利用のために導入した目的を達していない。 また、52年度に導入した機械については、実際は、784,340円の割戻しを受けており、購入に要した費用は11,715,660円である。 |
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(62) | 茨城県 | 麦作集団育成対策事業(農業機械の購入等) | 美野里町農業協同組合(東茨城郡美野里町) | 11,568 | 5,784 | 3,676 | 1,838 | 補助目的の不達成 |
この事業は、昭和52年度補助事業として、麦生産の安定化と規模拡大を図るため、事業費11,568,000円で、コンバイン2台、乾燥機2台等の共同利用機械を導入するとともに暗きょ布設等を実施したものである。 しかして、事業主体は、上記機械のうちコンバイン2台及び乾燥機2台(これらの事業費3,676,000円)については、これを導入した後、農業者4名に、それぞれの機械に係る事業主体の負担金相当額を負担させ専用させていて、共同利用のために導入した目的を達していない。 |
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(63) | 同 | 青果物等生産流通対策事業(農業機械の購入等) | 美野里町農業協同組合(東茨城郡美野里町) | 19,284 | 6,428 | 1,525 | 508 | 補助目的の不達成及び事業費の精算過大 |
この事業は、昭和54年度補助事業として、加工用トマト産地の生産力増強と生産安定を図るため、トラクタ3台及び土壌消毒機2台等の共同利用機械を導入するとともに集出荷所1棟331m2
を設置したものである。 しかして、事業主体は、上記機械のうちトラクタ1台(事業費1,461,000円)については、これを導入した後、農業者1名に、これに係る事業主体の負担金相当額を負担させ専用させていて、共同利用のために導入した目的を達していない。 また、トラクタ及び土壌消毒機については、契約額5,055,000円で購入したこととして事業費を精算していたが、実際は、64,000円の値引きを受けており、購入に要した費用は4,991,000円である。 |
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(64) | 茨城県 | 農業改良普及事業(豚舎の設置等) | (社)日本国民高等学校協会(東茨城郡内原町) | 53,893 | 51,547 | 3,790 | 3,625 | 補助の対象外及び事業費の精算過大 |
この事業は、農村青少年に対する実践教育の効果を高めるため、コンバイン1台等の農機具を導入するとともに、豚舎2棟417m2
、製茶加工場1棟397m2
及び職員宿舎2棟延べ165m2
を設置するもので、このうち豚舎及びその内部設備については昭和55年11月に事業費19,118,000円、製茶加工場及び職員宿舎については同年11月及び56年3月に事業費31,587,830円、計50,705,830円で設置したこととして事業費を精算していた。 しかし、実際は、豚舎の内部設備のうち自家発電機2,870,000円については、54年7月に設置し、使用していたものであって、補助の対象とは認められない。また、豚舎及びその内部設備の工事費について178,436円、製茶加工場及び職員宿舎の工事費について742,000円の値引きをそれぞれ受けており、結局、設置に要した費用は46,915,394円である。 |
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(65) | 栃木県 | 青果物等生産流通対策事業(集出荷所の設置等) | 真岡市大内農業協同組合(真岡市) | 24,285 | 8,094 | 8,057 | 2,685 | 事業の計画不適切 |
この事業は、昭和54年度補助事業として、野菜指定産地における指定野菜等の生産及び出荷の総合的な整備を図るため、事業費24,285,000円で、野菜集出荷所1棟397m2
を設置するとともにパレット150枚等を導入したもので、これら施設、設備の規模については、事業主体管内の東部地区において、目標年次である58年度に生産される指定野菜等の1日当たり集出荷量108tを基に決定している。 しかし、事業主体は、同地区内に既に52年度において栃木県の補助により、同じく58年度を目標年次として、同地区から出荷される野菜を処理するための集出荷所1棟322m2 を設置し使用していたのに、これを考慮することなく本件施設を設置したもので、このため、両者の施設、設備を合わせた1日当たりの集出荷処理能力は、目標年次の1日当たりの集出荷を大幅に上回る結果となっている。 したがって、本件施設の設置に当たっては、既存施設の設置後、同地区における目標年次の集出荷計画量の変更により既存施設では処理できないこととなった1日当たり集出荷量72tを処理対象としてその規模を決定すべきであり、これによれば、適正規模は集出荷所の床面積231m2 、パレット65枚となり、結局、集出荷所の床面積166m2 及びパレット85枚(事業費8,057,500円、国庫補助金相当額2,685,647円)が過大となっている。 |
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(66) | 群馬県 | 水田利用再編対策事業(水稲の作付転換) | 群馬郡群馬町農業者14名 | 2,080 | 2,080 | 1,117 | 1,117 | 補助の対象外 |
この事業は、米の生産調整を図るため、水田において転作等を実施した農業者に対して水田利用再編奨励補助金を交付するもので、農業者14名は、昭和54、55両年度において水田延べ32,408m2
(54年度12,623m2
及び55年度19,785m2
)に水稲以外の青刈りとうもろこし等を作付けしたなどとして同補助金2,080,191円(54年度804,841円及び55年度1,275,350円)の交付を受けていた。 しかし、上記の転作実施水田のうち農業者7名に係る水田8,899m2 については、日本道路公団が施行する関越自動車道の建設予定地として、53年3月各農業者が同公団と売買契約を締結し、同年9月に引渡しを完了しており、また、他の農業者7名に係る水田2,419m2 については、日本鉄道建設公団が施行する上越新幹線の建設予定地として、55年4月から7月までの間に各農業者が同公団と売買契約を締結し、契約と同時に引き渡しているものであって、いずれも補助の対象とは認められないものであり、これらに係る同補助金1,117,604円(54年度503,351円及び55年度614,253円)は交付する要はなかったものである。 |
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(67) | 石川県 | 農業構造改善事業(格納庫の設置等) | 福野機械施設管理組合(羽咋郡志賀町) | 11,732 | 5,866 | 3,200 | 1,600 | 無断処分 |
この事業は、昭和47年度補助事業として、機械化作業体系を確立し、水田作業等の協業化を図るため、事業費11,732,000円で、トラクタ2台及び防除機1台を導入するとともに農機具格納庫1棟214m2
を設置したものである。 しかして、この格納庫(事業費4,800,000円)は、上記農業機械3台及び48年度第2次農業構造改善事業により導入した農業機械15台を保管するため設置したものであるが、これらの農業機械は修理不能のものや故障が多いものが増加してきたことなどもあって、事業主体では、農業機械の利用収入が減少し、格納庫及び農業機械の維持管理費の負担が困難となったため、農業機械については組合員に保管させ、また、不用となった格納庫については54年7月に間接補助金の交付者である志賀町に無断で某農業協同組合に残存価格相当額に近い3,200,000円で売却していた。 |
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(68) | 長野県 | 青果物等生産流通対策事業(共同計算用電子計算機の設置) | 長農業協同組合(小県郡真田町) | 6,500 | 2,166 | 6,500 | 2,166 | 補助の対象外 |
この事業は、昭和54年度補助事業として、野菜指定産地における指定野菜等の生産及び出荷の総合的な整備を図るため、共同計算用電子計算機を設置するもので、54年10月に事業費6,500,000円で設置したこととしていた。 しかし、実際は、事業主体が53年8月に6,500,000円で契約して、同年9月に設置し、使用していたものであって、補助の対象とは認められない。 |
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(69) | 岐阜県 | 農業構造改善事業(観光牧場放牧地の整備) | 大野郡久々野町 | 17,465 | 8,730 | 17,465 | 8,730 | 補助目的の不達成 |
(70) | 同 | 同(観光牧場管理所の設置等) | 橋場農業観光組合(大野郡久々野町) | 116,587 | 58,270 | 116,587 | 58,270 | 同 |
この事業は、久々野町舟山地区の自然環境を保存するとともに、農家経済の安定向上と都市生活者等に健全な休養の場を提供するため、昭和49年7月から52年6月までの間に総敷地面積38,440m2
内に、久々野町が観光牧場放牧地25,800m2
を、橋場農業観光組合が観光牧場管理所1棟延べ407m2
、野営場等林間休養施設10棟349m2
、動物収容棟15棟300m2
、熊牧場1,090m2
、観光牧場駐車場4,100m2
等の施設を総事業費134,052,000円(久々野町に係る分17,465,000円、橋場農業観光組合に係る分116,587,000円)で設置したもので、これら施設を一体として同組合が管理していた。 しかし、上記施設等の管理運営について調査したところ、事業の実施計画策定時における観光客の動態、施設の管理運営等に関する調査検討が十分でなかったなどのため、同組合では、諸施設の完成した52年度以降毎年多額の累積赤字を生じてその経営に行き詰まり、55年2月、本件補助事業により設置した全施設を、県及び町に無断で、某宗教法人に売却していて、前記の目的のために実施された事業が、その目的を達していない。 |
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(71) | 静岡県 | 地域特産農業推進対策事業(製茶機械の設置) | 金谷第一茶農業協同組合(榛原郡金谷町) | 49,772 | 14,930 | 8,958 | 2,687 | 事業費の精算過大 |
この事業は、昭和53年度補助事業として、特産農作物である茶の品質の均一化と向上を図るため、製茶機械設備工事を契約額49,772,000円で請負により施工したこととして事業費を精算していた。しかし、事業主体では、本件補助工事のほか、同一建物内にある既存の製茶機械設備の一部を更新するための補助対象外の工事を本件補助工事の請負業者と30,538,800円で契約しており、両工事の工事代金の支払については、補助工事分を契約額どおりの49,772,000円とし、補助対象外工事分を契約額から下取機の代金1,258,000円及び値引額14,981,800円を差し引いた14,299,000円としていた。 しかし、上記の値引額14,981,800円は、一連の工事を実施した両工事の契約額合計80,310,800円に対するものとして事業主体と請負業者との間に値引きが成立していたのであるから、本件補助工事に係る値引相当額は8,958,871円となり、したがって、本件事業に要した費用は40,813,129円である。 なお、この事業費から補助金額を差し引いた額については、農業近代化資金27,870,000円(当初貸付額30,000,000円)が貸し付けられているが、上記の結果、適正な貸付額は22,856,658円となるため、この貸付額を超える額に対する利子補給補助金157,641円は交付する要はなかったものである。 |
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(72) | 兵庫県 | 農業構造改善事業(多目的集会施設の設置) | 氷上郡青垣町 | 60,088 | 29,270 | 2,537 | 1,236 | 事業費の精算過大 |
この事業は、昭和54年度補助事業として、農業者等地域住民の交流促進を図るなどのため、多目的集会施設479m2
を設置したもので、事業主体は、補助対象外の大会施設574m2
と合体して1階部分を補助対象施設とする2階建の建物1棟延べ1,054m2
を工事費135,161,000円、設計監理料等3,300,000円計138,461,000円で施行し、上記工事費等を両施設に費用配分し、補助事業に係るものは工事費58,657,000円、設計監理料等1,431,000円計60,088,000円で施行したこととして事業費を精算していた。 しかして、事業主体は、当初補助対象施設を平家建の建物とする計画で概算設計を作成し、その後大集会施設の設計に着手したことから、上記費用配分を行うに当たり、両施設の工事費135,161,000円のうち基礎等の鉄筋コンクリート工事費、屋上防水工事費等構造上個々に分離できない経費については、上記概算設計の経費をそのまま補助対象施設の工事費に配分して58,657,000円とし、これに両施設の本体工事費の比率により算出した設計監理料等を加え事業費を60,088,000円としたものである。 しかし、本件建物の合体施行の場合は、基礎や屋上等を共用するものであるから、このような両施設に直接配分できない共用部分の経費は、両施設の面積比率により算出した額をそれぞれ両施設に配分すべきであり、これにより補助対象事業費を計算すると、精算不足となっていた鉄骨工事費等を考慮しても、総額57,550,859円となる。 |
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(73) | 島根県 | 林業構造改善事業(林道立目市谷線の舗装) | 邇摩軍仁摩町 | 22,000 | 11,000 | 6,453 | 3,226 | 工事の設計過大 |
この工事は、地域の林業振興を図るため、昭和54年度に仁摩町内の林道立目市谷線延長1,642m、車道幅員2mの砂利道をアスファルトで舗装するとともに、在来の側溝延長1,402mの車道側の側壁にコンクリートによる嵩(かさ)上げ等を施工したものである。 しかして、舗装の設計については、路床土の設計CBR(注) が8%であるので、その舗装厚は、将来大型自動車の通行量の増大を見込んで「アスファルト舗装要綱」のA交通に準拠している「林道技術指針」の表層厚を5cmとする場合の基準により、表層はアスファルト厚さ5cm、上層路盤は粒度調整砕石厚さ10cm、下層路盤は在来の砂利層で厚さ20cm、計35cmとしている。また、在来側溝(U字側溝)の車道側の側壁の設計については、本件舗装に伴い在来路面が嵩上げされて舗装厚が増すこと及び大型自動車の輸荷重による影響を考慮して在来の側壁天端に幅25cm、高さ0cmから28cmのコンクリート嵩上げを行い、側壁の車道側部分に深さ36cm、厚さ20cmのコンクリートを打設し、側溝を補強することとしていた。 しかし、この林道は、小型自動車の交通を前提とした車道幅員2mの3級林道であって、大型自動車の通行に必要な車道幅員3mを満たしておらず、このような場合は上記指針の表層厚を3cmから4cmとする場合の基準によるべきであり、これによれば、設計CBR8%の場合の舗装厚は表層4cm、上層路盤7cm、下層路盤9cm、合計20cmとなり、表層と上層路盤の舗装厚は合計4cmが過大となっている。また、側壁の嵩上げコンクリートは、大型自動車の輸荷重を考慮する要がないのであるから舗装止めのみを施工すれば足り、嵩上げコンクリート高さ4cm、補強コンクリート深さ32cmが過大となっていると認められる。 |
(注) 設計CBR アスファルト舗装の設計に用いる路床土の強さを表すもので、舗装厚の決定に使われる指標
(参考図)
(74) | 山口県 | 海岸保全施設整備事業(海岸堤防の整備) | 山口県 | 29,950 | 14,975 | 3,774 | 1,887 | 工事費の積算過大 |
この工事は、津波、高潮等から農地を保全するため、小野田市西高泊地内の老朽化した海岸堤防総延長2,350mを補強する工事(事業計画昭和51年度から59年度まで)の一環として、昭和55年度において延長190mについて堤防の表法尻(のりじり)にPCぐい39本を打ち込んで受台コンクリートを施工した後、その上部に陸上部で製作した梁(はり)コンクリートを据え付け、これを基礎として堤防の表法面に沿って厚さ50cm程度、高さ4mの巻立コンクリート等を施工したものである。そして、工事費の積算についてみると、コンクリートの型枠費はすべて木製型枠を使用することとして1m2
当たり単価を、巻立コンクリート及び梁コンクリート(型枠面積1,183.3m2
)については3,283円から4,863円、また、受台コンクリート等(型枠面積68.9m2
)については3,788円及び4,863円、型枠面積計1,252.2m2
分で5,227,127円と算定していた。 しかし、近年のこの種工事の施工事例や山口県が定めた「設計標準単価歩掛表」によると、木製型枠は複雑な小構造物や曲線が変化して鋼製型枠又は合板型枠の使用が不可能な場合に使用することとしているものであるから、単純な構造の梁コンクリート及び巻立コンクリートについては鋼製型枠を使用することとし、小構造の受台コンクリート等については合板型枠を使用することとして算定すべきであったと認められ、これによれば鋼製型枠費は1m2 当たり1,758円から2,170円、合板型枠費は2,371円又は2,987円となる。 いま、仮に上記により工事費を修正計算すると、総額26,176,000円となり、本件工事費はこれに比べて約3,774,000円割高になっていると認められる。 |
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(75) | 長崎県 | 食料品等流通消費改善対策事業(小売センターの設置) | 協同組合昭和町ショッピングプラザ(長崎市) | 146,816 | 41,000 | 14,175 | 3,958 | 事業費の精算過大 |
この事業は、中小規模の食料品小売業の近代化を促進し、食料品価格の安定と消費者利便に資するため、昭和55年8月に食料品の販売等を行う小売センター789m2
(店舗、倉庫及び事務室等)を設置したもので、事業費146,816,005円の小売センター部分と補助対象外である住居部分を合わせて契約額260,000,000円で請負により施工したこととして事業費を精算していた。 しかし、実際は、補助対象外の部分を合わせて230,000,000円で契約して施工していて、小売センター部分の設置に要した費用は132,640,717円である。 |
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(76) | 大分県 | 食料品等流通消費改善対策事業(荷さばき施設の設置等) | 津久見生活協同組合(津久見市) | 25,702 | 5,100 | 14,000 | 2,778 | 補助の対象外 |
この事業は、昭和54年度補助事業として、生鮮食料品等について産地と直結した新たな流通経路を形成するため、荷さばき施設及び冷凍・冷蔵庫等の流通施設を事業費25,702,000円で設置したもので、このうち、荷さばき施設は、54年8月に事業費17,900,000円(うち建物買取り分14,000,000円)で設置したこととしていた。 しかし、上記荷さばき施設の建物14,000,000円については、事業主体が53年9月に補助対象外の同建物敷地を合わせて44,000,000円で売買契約を締結し、自力によって事業を実施中であったものであるから、補助の対象とは認められない。 |
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計 |
709,795 | 319,946 | 263,608 | 119,805 |