食糧庁では、政府サイロに保管する外国産小麦(以下「小麦」という。)を売渡し又は移送する場合には、搬出経費を買受者から徴収することとしており、昭和55年度中に横浜、名古屋両港の政府サイロで取り扱つた数量は196,359tで、この搬出経費として1t当たり200円総額3927万余円を徴収しているが、この搬出経費の徴収について検査したところ、次のとおり適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、食糧庁では、搬出経費の1t当たり単価は、民間サイロに適用されている運輸省の「サイロ倉庫荷役料金表」(以下「タリフ」という。)による搬出料金293円(55年12月8日以降308円)の約70%の額としているが、これは搬出経費を低額とすることにより政府サイロの回転率の向上が期待できること、また、政府サイロにおいてはトラックなどへ小麦を積み込む際の誘導等の作業を、運送業者に行わせていて、その経費を買受者に負担させていることなどを考慮したことによるものである。
しかしながら、政府サイロの回転率の向上を図ることについては、輸入された小麦は全量食糧庁の管理下に置かれており、しかも政府サイロは背後地の需要状況からみて立地条件に恵まれたところにあるから、買受者の需要の大きい銘柄の搬入に努めることなどにより十分可能であると認められる。
したがって、政府サイロの搬出経費については、その回転率の向上を図るためタリフの搬出料金より低額としなければならない理由はなく、タリフに基づく料金を基準とし、この額から前記の作業の経費を控除することとすれば、その搬出経費は約1400万円程度増額徴収できたと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、食糧庁では、タリフに基づく搬出料金から前記運送業者による作業の経費を控除した額とすることに改め、56年11月以降の売却分からこれを適用することとする処置を講じた。