工業技術院では、筑波研究学園都市に置かれているエネルギーセンター、中央本館等の共同利用施設において使用する動力用、電灯用の電力について、東京電力株式会社(以下「電力会社」という。)との間に、契約種別を業務用電力として電気需給契約を締結し、昭和55年度分の使用電力量13,549,339kWHに対する電気料金として389,984,162円を支払っているが、これに係る電気需給契約の内容について検査したところ、次のとおり、契約種別が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、本件契約においては、契約電力を4,300kWから4,500kWまで、標準電圧を60,000Vの特別高圧とし、また、上記共同利用施設には専ら動力(附帯電灯を含む。)を使用するエネルギーセンター及び公害処理施設(以下「エネルギーセンター等」という。)と動力及び電灯を使用する中央本館等の施設とが併存していることから、電力会社の電気供給規程に定める業務用電力の条項に該当するとして、その契約種別を業務用電力としていた。
しかしながら、電気供給規程によると、20,000V以上の特別高圧で電気の供給を受けて動力(附帯電灯を含む。)を使用するもので、契約電力が原則として2,000kW以上であるものについては、業務用電力に比べて割安な特別高圧電力によることができることになっており、上記のエネルギーセンター等(55年度のこの施設の使用電力量8,900,120kWHは、共同利用施設の総使用電力量の約65.6%を占めている。)の場合は、負荷設備容量7,946kW(附帯電灯分258kWを含む。)はすべて動力であり、また、この容量による契約電力は2,000kW以上となるから、上記の特別高圧電力の要件を満たしており、かつ、供給系統上も中央本館等の施設の分と区分することができるのであるから、特別高圧電力により契約すべきであると認められ、このようにしたとすれば、供給系統を区分するために必要となる配電盤等の設備費として当初約3250万円を要するものの電気料金が年間約4200万円程度節減できると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、工業技術院では、エネルギーセンター等に係る電力の供給系統を他の施設に係る分と区分することとし、その電気需給契約種別を特別高圧電力によることとする旨の覚書を電力会社との間で締結するとともに、56年11月にこれに必要な配電盤等の製作を発注し、電気料金の節減を図ることとした。