運輸省では、自動車検査登録出力用紙を毎年度多数調達しているが、昭和55年度における調達状況(契約総額2億9773万余円)について検査したところ、次のとおり、印刷の仕様が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記の出力用紙は、各都道府県陸運事務所(支所等を含む。)において、道路運送車両法(昭和26年法律第185号)に基づき、自動車の所有権の取得、移転、まっ消等の登録の申請があったときや登録事項等の証明書の請求があったときに交付する自動車検査証、まっ消登録証明書、登録事項等証明書及び登録事項等通知書を電子情報処理組織によって作成する際使用するもので、その様式は、自動車の登録及び検査に関する申請書等の様式等を定める省令(昭和45年運輸省令第8号)により定められており、また、同省令においてこれら証明書等には発行機関である都道府県知事の公印を押印しないものとすることも定められているが、自動車検査証及び各種証明書の作成に使用する出力用紙の仕様についてみると、所定の様式が黒色刷りされているほか、更に、当該様式の都道府県知事の名称を印字する箇所の横にてん書体の公印印影状のものが朱色刷りされている。
しかしながら、現在、国及び地方公共団体等において法令の規定に基づき責任機関が発行している証明書等の例についてみると、同一様式のものを多数発行するものについては、本件のように専用の用紙を印刷している事例が多数見受けられ、その中には発行機関の公印の印影を様式の文字等と同色で印刷している事例が少なくない状況である。そして、本件出力用紙についてみると、公印印影状のものは公印の印影を印刷したものではなく、また、偽変造防止の対策が必要なものには用紙の表面に精巧かつ特殊な意匠の地紋を印刷していることでもあるので、公印印影状のものを印刷するとしても、様式の文字等と同色で格別の支障はないと認められ、このようにすると印刷工程を減らすことができるので、仮に本件調達分についてこのようにしたとすれば、調達経費を約1400万円程度低減できたと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、運輸省では、56年11月に公印印影状のものを様式の文字等と同色で印刷することに仕様を改め、新規調達分(56年度第4・四半期所要分)から実施することとする処置を講じた。