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  • 昭和55年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第10 労働省|
  • 不当事項|
  • 保険

雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの


(128) 雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(雇用勘定)  (項)失業給付費
部局等の名称 札幌公共職業安定所ほか196箇所
受給者 893人
失業給付金の支給額の合計 316,032,931円

 上記の893人に失業給付金316,032,931円を支給しているが、支給に当たって調査が十分でなかったため、105,795,786円が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都道県ごとに集計して掲げると、別表 のとおりである。
 これは、札幌公共職業安定所ほか216箇所において失業給付金の支給を受けた者のうち、再就職した者16,036人について本院が調査した結果である。

(説明)
 雇用保険は、原則としてすべての雇用労働者を被保険者とし、被保険者が失業したときにその生活の安定を図るなどのため失業給付金の給付を行う保険で、このほか、雇用安定事業、雇用改善事業等を併せて行っている。このうち、失業給付金の給付は、受給資格者(注) について公共職業安定所が受給資格者から同人が就職、就労等の事実があればこれを記載することが義務付けられている失業認定申告書を提出させることにより定期的に失業の認定を行い、その認定の都度失業給付金を支給することにより行うこととしている。
 しかして、失業給付金の支給の適否について検査したところ、前記の217箇所のうち札幌公共職業安定所ほか196箇所では、受給者が再就職しているのにこれを上記の申告書に記載していないなど申告書の内容が事実と相違しているものがあったのに、これに対する調査が十分でなかったため、本院が調査した受給者15,191人分の給付のうち893人分316,032,931円について105,795,786円が不適正に支給されていた。

 (注)  受給資格者 事業所を管轄する公共職業安定所が事業主から提出された離職証明書に基づいて離職票を作成して離職した被保険者に交付し、その被保険者はこれを居住地の公共職業安定所に提出し、原則として離職日以前1年間に被保険者期間が通算して6箇月以上あり、かつ、労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあることなどの認定を受けることになっており、この認定を受けた者が受給資格者である。

(別表)

都道県別 公共職業安定所等 本院が調査した受給者数 不適正受給者数 左の受給者に支給した失業給付金 左のうち不適正失業給付金

北海道

札幌ほか7

1,084

56
千円
20,942
千円
8,119
岩手県 盛岡ほか7 570 33 8,617 2,628
宮城県 仙台ほか6 530 29 11,485 3,469
福島県 平ほか2 181 21 7,209 2,399
群馬県 前橋ほか7 596 35 12,506 3,775
埼玉県 川口ほか6 640 23 9,842 2,723
千葉県 千葉ほか8 738 47 19,394 8,010
東京都 飯田橋ほか14 1,320 50 24,048 9,042
神奈川県 横浜ほか10 794 43 20,927 6,512
山梨県 甲府ほか6 356 17 4,244 1,518
長野県 長野ほか8 868 47 15,209 3,626
岐阜県 岐阜ほか4 294 23 5,041 2,167
愛知県 名古屋東ほか14 804 55 17,793 5,958
三重県 四白市ほか5 492 34 10,399 3,317
兵庫県 神戸ほか13 1,063 64 20,382 6,868
奈良県 奈良ほか2 155 11 2,816 1,515
岡山県 岡山ほか5 508 24 9,927 3,439
広島県 広島ほか6 553 26 10,091 3,187
徳島県 徳島ほか6 463 39 12,411 5,410
愛媛県 松山ほか7 699 30 12,913 4,265
高知県 高知ほか6 510 27 8,499 1,900
長崎県 長崎ほか6 528 36 13,212 5,419
熊本県 熊本ほか4 289 20 7,510 1,387
鹿児島県 鹿児島ほか11 929 93 27,375 8,090
沖縄県 那覇ほか2 227 10 3,226 1,039
 計 197箇所 15,191 893 316,032 105,795