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  • 昭和55年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第11 建設省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

防雪柵(さく)設置工事費の積算について


 防雪柵(さく)設置工事費の積算について

 建設省では、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法(昭和31年法律第72号)に基づき、積雪寒冷の度が特にはなはだしい地域における道路の交通を確保するため、当該地域の道路を管理する地方公共団体が新たに防雪柵を設置した場合にこれに要する費用の3分の2を補助している。しかして、北海道及び管内27市町村並びに青森県が事業主体となって昭和54、55両年度中に施行している奈井江・上砂川線防雪柵設置工事ほか157工事(工事費総額17億5094万円、国庫補助金11億6729万余円)について検査したところ、次のとおり、防雪柵設置工事における共通仮設費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記の158工事はいずれも道路沿いに防雪柵(工場製品であって、購入に際して現場持込みの条件で荷渡しされ、請負人により組み立てられるもの。)を設置する工事であって、各事業主体においては、この工事費の積算に当たり、建設省が定めている積算要領等を適用することとしているが、このうち機械器具の運搬、準備及び仮設等に要する共通仮設費の算定についてみると、防雪柵の購入代価を、一般の工事に使用する資材費と同様にその全額を直接工事費に含めて算出し、土木請負工事の共通仮設費算定基準(以下「算定基準」という。)に定める率を乗じて総額1億5377万余円と算定していた。

 しかしながら、本件各工事は、工場製作された資材を現地で加工することなく組み立てて設置するだけのものであり、かつ、防雪柵資材費が直接工事費に占める割合も高いので、算定基準においても、本件防雪柵と類似する簡易組立式橋梁(りょう)、PC桁(けた)、門扉及びポンプ(以下「簡易組立式橋梁等」という。)については、共通仮設費を算定する際の直接工事費に含めないこととしているものであるから本件各工事の共通仮設費の算定に当たっては、これらと同様に資材費を除いた設置費についてのみ計上すれば足りるものと認められる。現に、本件各工事と同様の工事を多数実施している秋田、福島両県においては、簡易組立式橋梁等を設置する工事の場合と同様に取り扱って積算している状況である。
 したがって、防雪柵資材費について、算定基準に定める簡易組立式橋梁等を設置する場合と同様に取り扱うこととして積算したとすれば、工事費を約1億4500万円(国庫補助金相当額9700万円)程度低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、建設省では共通仮設費等の調査を行って積算の適正化を図ることとし、とりあえず、56年11月に関係地方公共団体にあて、防雪柵の購入費は共通仮設費の算定の対象に含まないものとする旨の通達を発し、同月以降積算を行う工事から適用することとする処置を講じた。