科目 | (項)固定資産取得費 | |
部局等の名称 | 中部支社 | |
(1) 工場新築工事 | (2) 結露防止工事 | |
工事名 | 日本専売公社新東海工場(仮称)たばこ工場新築その他工事 | 日本専売公社東海工場C2 たばこ工場内壁補修その他工事 |
工事の概要 | たばこ工場の原料加工工場、製品工場等を建設する工事 | 製品工場の天井裏に表面結露が生じたため、2階天井裏内壁727m2 及び屋根6,592m2 等に結露防止を施す工事 |
工事費 | 5,175,329,000円 (当初契約額5,240,000,000円) |
93,300,000円 (当初契約額94,000,000円) |
請負人 | 日本専売公社新東海工場(仮称)たばこ工場新築その他工事建設共同企業体 | フジタ工業株式会社 |
契約 | 昭和52年2月 指名競争契約 | 昭和55年10月 指名競争契約 |
支払 | 昭和52年3月〜53年10月5回 | 昭和55年11月〜56年6月3回 |
これらの工事のうち、(1)の昭和51年度の工事において、製品作業場の天井裏を防露構造とする検討を行わないまま設計したところ、工事完成後、工場が操業を開始した54年度の冬季に天井裏内面に表面結露を生じ、内壁等を汚損などしたため、当初設計すべきであった結露防止工事を(2)の55年度の工事において施行することとなり、工事費約3360万円が不経済になったと認められる。
(説明)
日本専売公社においては、工場の近代化を図るため、新鋭工場を建設してきており、(1)の東海工場の建設(以下「建築工事」という。)はその一環として、昭和52年2月に契約し、53年9月にしゅん功したものである。そして、同工場が54年9月に操業開始したところ、同年度の冬季間において、製品工場(鉄筋コンクリート造り2階建)の2階製品作業場西側(延長59.5m)と北側(延長155.5m)の天井裏の内壁、屋根スラブの内側等に表面結露を生じ、製品作業場の天井、内壁、床等を結露水で汚損したり、内壁等にかびが発生したりしたため、その対策として天井裏等の補修を行うこととなり、55年度に(2)の工事として屋根表面の既設アスファルト露出防水層の上に、断熱材とアスファルト露出防水層を敷設するなどの結露防止工事を93,300,000円で施行していた。
しかして、建築工事に際して、原料加工工場の屋根や壁、製品工場の空調機械室等の屋根、製品作業場内の壁等については、表面結露が生じるか否かを判定するための計算(以下「防露計算」という。)に基づいて当該箇所に防露可能な厚さの断熱材をはりつけて表面結露を防止するための設計を行っていたが、表面結露を生じた2階製品作業場の天井裏については、同作業場の天井裏が非空調部分であるためこの部分は湿度が高くならないとして、このような設計をしていなかった。
しかしながら、
(1) 製品作業場の天井裏は、高さが4mを占める規模の大きい空間となっており、特に2階天井裏は、鉄筋コンクリートの壁面と屋根スラブ面の両面にわたって外気と接するため、冬季間、外気により冷却される面積が大きく、しかも、本工場が立地している付近は、1月の日最低気温の月平均値が1.5℃で、かつ、北西風が特に強いので、2階天井裏の温度が相当低下すること
(2) 製品作業場内は、製品の品質管理上、冬季は気温20℃、湿度60%に空調されるが、天井に使用した材料は、断熱性は良いが、透湿抵抗の値が低いものとなっているので、2階天井裏は温度が低下する一方、湿度が上昇することが見込まれるが、空調の効率上、この湿気を抜かない構造となっていることなどから、2階製品作業場の天井裏は非空調部分ではあるが、表面結露を生じ易い状況にあった。
したがって、建築工事の設計に際して、上記の状況を考慮して当該天井裏内面の防露計算をしておくべきであったと認められ、この計算結果によれば、表面結露が発生することになるから、防露設計を行い断熱材をはりつけるなどの方法により表面結露を防止しなければならなかったのに、これを全く行わなかったため上記のように表面結露を生じたものであり、建築工事の設計は適切を欠いていたと認められる。
いま、仮に建築工事の設計の際に2階製品作業場天井裏内面について防露計算を行い、これを防露構造に設計したとすれば、結露防止工事において新たに施工することとなったアスファルト露出防水層や2階天井の一部取り壊しのための仮設工事費等が不要となるから、結露防止工事費は59,679,851円で足りることとなり、約3360万円が不経済になっていると認められる。