科目 | (工事勘定) (項)一般施設取替改良費 |
部局等の名称 | 信濃川工事局 |
工事名 | 磐西線白崎、五十島(いがしま)間御前T他工事 |
工事の概要 | 磐越西線白崎、五十島間の線路付替工事の一環として、単線型断面のトンネル延長161m等を施工する工事 |
工事費 | 291,774,578円(当初契約額189,000,000円) |
請負人 | 株式会社 間組 |
契約 | 昭和55年8月 指名競争契約 |
しゅん功検査 | 昭和56年5月 |
支払 | 昭和55年11月〜56年11月 4回 |
この工事は、監督及び検査が適切でなかったため、トンネル延長161mのうち36m(工事費相当額67,693,501円)の施工が設計と相違し、吹付けコンクリート及び覆工コンクリートの強度が設計に比べて著しく低くなっているなど工事の目的を達しておらず、また、残りの125mのうち96mのアーチ部の吹付けコンクリート及び覆工コンクリート(工事費相当額27,508,224円)の施工が設計と相違し、その強度が設計に比べて低くなっていると認められる。
(説明)
この工事で施工するトンネル延長161mのうち、開削工法で施工する7mを除いた154mは、NATM工法(注)
により施工するもので、設計図書によると、掘削した地山に150mm規格の鋼製H型支保工を1m間隔に建て込み、吹付けコンクリートを厚さ15cmで吹き付け、鋼製H型支保工の建込間隔内に径24mm、長さ3mのロックボルト15本を吹付けコンクリートの表面から地山に打ち込んで定着させた後、吹付けコンクリート表面に厚さ0.4mmの止水シートを取り付けて覆工コンクリートを厚さ30cmで施工することとなっていた。
しかるに、覆工コンクリートの表面にモルタルをこて塗りして手直ししていた箇所が数箇所見受けられたので、ハンマーで打撃したところ、モルタルがはく離して覆工コンクリートの裏側に取り付けられる止水シートが露出したり、打撃音が鈍く空げきがあると判断される箇所があったりしたため、特に施工が不良と認められる36mについては98箇所、残りの118mについては75箇所、計173箇所についてコアを採取するなどして出来形を調査したところ、次のとおり施工が不良となっているものが見受けられた。
1 トンネル延長36mの区間について
(1) 吹付けコンクリートの設計巻き厚(余巻き分を除いた仕上り厚さ)は15cmとなっているのに、設計巻き厚より不足している箇所が上記調査箇所のうち61箇所あり、なかには施工巻き厚が10cmにも達しない箇所が31箇所もあった。
(2) 覆工コンクリートの設計巻き厚(余巻き分を除いた仕上り厚さ)は30cmとなっているのに、設計巻き厚より不足している箇所が上記調査箇所のうち64箇所あり、なかには施工巻き厚が20cmにも達しない箇所が24箇所もあるほか、吹付けコンクリートと覆工コンクリートとの間に3cmから24cmの空げきを生じている箇所が17箇所あった。
(3) 止水シートは吹付けコンクリート面に密着するように取り付けた後、覆工コンクリートを施工することとなっているのに、所定の位置からずり落ちたり、はがれたりして、覆工コンクリートの中にはいり込んでいて施工が粗雑となっている箇所が、上記調査箇所のうち24箇所もあり、このため止水シートの表裏の覆工コンクリートがモルタルと骨材とに分離して豆板状となっていたり、覆工コンクリートの表面に地下水が漏水したりしていた。
上記のとおり、トンネル延長36m(工事費相当額67,693,501円)は、強度が設計に比べて著しく低くなっていて工事の目的を達していないと認められる。
2 上記36mのほか118mのうち、96m の区間のアーチ部については、吹付けコンクリートと覆工コンクリートとの間に3cmから49cmの空げきを生じている箇所がアーチ部で調査した39箇所のうち11箇所あったほか、覆工コンクリートの施工巻き厚が不足している箇所が10箇所あり、アーチ部の吹付けコンクリート及び覆工コンクリート(工事費相当額27,508,224円)の施工が設計と相違し、強度が設計に比べて低くなっ
(参考図)
ていると認められる。
(注) NATM工法 New Austrian Tunnelling Method の略でナトム工法と呼ばれる。トンネルを掘削した後、支保工、吹付けコンクリート、ロックボルトなどを適宜組み合わせ、覆工コンクリートを施工して、地山を支保し、地山の持っている保持力を最大限に生かす工法