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  • 昭和55年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第2 日本国有鉄道|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

駅舎等の鉄骨現場建方工事における高力ボルト締付け費の積算について


(1) 駅舎等の鉄骨現場建方工事における高カボルト締付け費の積算について

 日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)では、東北新幹線等の建設工事において駅舎等の鉄骨構造物を構築するため、鉄骨を現場において組み立てる工事(これを国鉄では「鉄骨現場建方工事」と称している。)を施行しているが、東京第一工事局ほか3工事局(注) が昭和55年度中に施行している上野地下駅南部3他工事ほか17工事(工事費総額155億2522万余円)について検査したところ、次のとおり、鉄骨現場建方工事における高カボルト締付け費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
 すなわち、上記の18工事は、鉄骨約3万2千tを現場で組み立てて、駅舎等を建設するものであるが、この鉄骨の組立てにおける高カボルト約125万本の締付け費の積算に当たっては、国鉄制定の「鉄骨現場建方積算要領」に基づいて総額4億7745万余円と積算していた。

 しかして、上記高カボルト締付け費の積算内容についてみると、圧縮空気を動力源とする空気式の締付け機を使用することとして、労務費は作業編成人員を鉄骨工2人、これを補助する普通作業員1人、コンプレッサーを操作する特殊作業員1人、計4人として算出し、これにコンプレッサーの機械損料等を加えて算定していた。
 しかしながら、近年、鉄骨の組立てに使用する高カボルト締付け機としては、上記の空気式とは別の電気を動力源とする電動式が主として使用されており、これは、空気式に比べて騒音が少なく、締付け精度も高く、しかも、コンプレッサーを必要としないので、その運転労務費、機械損料等が不要で、締付け費としては経済的であることなどから、電動式が普及してきたものである。現に、本件各工事の高カボルト締付け機は、ほとんど電動式が使用されている状況である。
 したがって、本件各工事について高カボルト締付け機を空気式に代えて電動式を使用することとして、高カボルト締付け費を積算したとすれば、積算額を約1億6100万円程度低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、日本国有鉄道では、56年9月に「鉄骨現場建方積算要領」を改定し、同月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。

 (注)  東京第一工事局ほか3工事局 東京第一、東京第二、盛岡、岐阜各工事局