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  • 昭和55年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 日本電信電話公社|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

ステップバイステップ交換機の撤去工事における不用品の搬出費の積算について


 ステップバイステップ交換機の撤去工事における不用品の搬出費の積算について

 日本電信電話公社では、昭和53年度以降、老朽化しつつあるステップバイステップ交換機を電子交換機又はクロスバ交換機に更改する工事を計画的に施行しているが、東海電気通信局ほか2電気通信局等(注1) が55年度中に施行している瑞穂通局形式変更III期工事(自機)ほか30工事(工事費総額26億2664万円)について検査したところ、次のとおり、更改に伴い不用となる各種機器の搬出費の積算が適切でないと認められる点が見受けられた。
 すなわち、上記の31工事はステップバイステップ交換機の撤去、電子交換機等の新増設、加入者回線の収容替え等を行う工事であるが、このうち撤去工事(積算総額12億8385万余円)における不用品の搬出費の積算については、「電気通信設備請負工事予定価格の積算要領」(以下「積算要領」という。)に基づき、搬出重量8,695,901kg、包装数76,278個と算出し、これに重量及び包装数に対する搬出単金(注2) を乗じてそれぞれ5321万余円及び7031万余円、計1億2353万余円と算定していた。

 しかして、上記各工事の積算に当たって適用した積算要領は、各撤去機器を再用することを前提に、一定数量ごとに木箱等で梱(こん)包し、1個の梱包を1回のつり下ろしで搬出する作業形態を想定して、搬出する重量は、梱包状態における容積1m3 を252kgで換算した容積重量と実重量とのうちいずれか大きい方の重量とし、その包装数は、再用する場合に必要となる梱包の数とし、また、搬出単金の基礎となる工数は、手動ウィンチ、ロープ等を使用する作業方法を前提としたものとなっていた。
 しかしながら、現に施行している7電話局の搬出作業等の実態について調査したところ、撤去機器の搬出の際には、工事前にあらかじめその再用、不用の認定を行い、不用品はスクラップとして売却するため梱包しないで搬出していながら、一方、機器別の積算重量については、そのほとんどを梱包した場合の容積重量によっているため、実重量の1.33倍から6倍となっていて、不用品の総積算重量約859tに対する総実重量は約449tと著しく低いものとなっており、また、その搬出作業は、鉄線かごに収納するなどした後、ハンドリフトで横引き運搬し、トラッククレーン等を使用して1回に多量のつり下ろしを行っていて、実際の作業工数は、積算工数の2分の1程度となっているなど著しく省力化されている状況であった。このような施工の実態からみて、上記の積算は適切とは認められない。
 したがって、本件各工事の不用品搬出費について施工の実態に即して積算したとすれば、積算額を約4600万円程度低減できたと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、日本電信電話公社では、56年10月に「電気通信設備請負工事予定価格の積算要領」における不用品搬出費の積算方法を施工の実態に適合したものに改め、同月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。

 (注1)  東海電気通信局ほか2電気通信局等 東海、近畿、中国各電気通信局、東京港、東京豊島、大阪東、大阪南、大阪中各地区管理部、三重、兵庫、佐賀各電気通信部、神戸、京都両都市管理部、近畿電気通信保全工事事務所

 (注2)  搬出単金 搬出費に係る労務費、機械器具損料及び経費を算出合計して、搬出作業の単位数量当たりの金額として示したもの