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  • 昭和55年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第5 農林漁業金融公庫|
  • 不当事項

漁業経営再建整備資金等の貸付けが不当と認められるもの


(159)−(164) 漁業経営再建整備資金等の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 仙台、東京、関東、鹿児島各支店(注)
貸付けの根拠 農林漁業金融公庫法(昭和27年法律第355号)、南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法(昭和43年法律第17号)、原材料の供給事情の変化に即応して行われる水産加工業の施設の改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律(昭和52年法律第93号)
貸付金の種類 漁業経営再建整備資金、主務大臣指定施設資金、水産加工資金、畑作営農改善資金
貸付けの内容 農林漁業者等に対する漁業経営再建整備資金等の貸付け
貸付件数 6件
貸付金の合計額 711,000,000円

 (注)  鹿児島支店分は委託貸付け(受託金融機関鹿児島県信用農業協同組合連合会)である。

 上記の貸付けは、貸付けの目的に沿わない結果になっていて貸付金63,512,395円が不当と認められる。これらについては、本院の注意によりすべて繰上償還の措置が執られた。
 これを貸付先別に掲げると、別表 のとおりである。

(説明)
 農林漁業金融公庫では、農林漁業金融公庫法等の規定に基づき農林漁業者等に対し、農林漁業の生産力の維持増進等に必要な長期かつ低利の資金であって、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。
 そして、同公庫が直接貸付けを行う場合は、借入申込者の借入申込書類等について、関係法令等に照らし、適当と認められたときは貸付決定をした後、借用証書その他必要な条件を整備させたうえ貸付実行をし、事業の進ちょくに応じて貸付金を払い出すものであるが、その払出しは借受者から事業費支払先の請求書や事業完成報告書等を提出させるとともに努めて実査を行うことにより、貸付対象の事業量及び事業費を確認して行うこととしている。また、金融機関に委託して貸付けを行う場合は、受託金融機関が同公庫の直接貸付けの場合に準じて行うこととしている。
 しかして、本院で昭和56年中に、漁業経営再建整備資金等の資金の貸付けについて調査したところ、上記の貸付け6件において貸付対象事業の全部又は一部が実施されていなかったり、値引きなどにより貸付対象事業費よりも低額で事業が実施されていたりするなどしていて、貸付対象事業費の70%又は80%とされている貸付限度額を超えて貸し付けられていたのに同公庫の審査及び調査確認が適切でなかったり、受託金融機関に対する指導監督が十分でなかったため受託金融機関における審査及び調査確認が適切でなかったりしていて貸付けが不当と認められるものが63,512,395円見受けられた。

(別表)

支店名
(受託金融機関名)
貸付先 貸付対象 貸付昭和年月
(貸付利率)
貸付対象事業費 左に対する貸付金額 左のうち不当と認めた額

摘要

(漁業経営再建整備資金)

(159)

東京支店

漁業者

漁船の建造

55.8
(年6.5%)
千円
375,500
千円
300,000
千円
7,600

低額建造
 この貸付けは、漁船の建造に必要な資金375,500,000円の一部として300,000,000円を貸し付けたものであるが、実際は、割戻しを受け、貸付対象事業費より低額な365,500,000円で建造していた。
 したがって、適切な貸付金額は実際の事業費の80%に相当する292,400,000円となり、本件貸付金額との差額7,600,000円は過大な貸付けとなっている。
(主務大臣指定施設資金)

(160)

仙台支店 漁業者 大目流し網等の取得 55.5
(年7.5%)
41,900 32,000 21,446 事業の一部不実施及び低額取得

 この貸付けは、大目流し網及び中型さけます流し網の購入に必要な資金41,900,000円の一部として32,000,000円を貸し付けたものであるが、実際は、大目流し網は購入しておらず、また、中型さけます流し網は資材を購入し直営で加工したことにより、貸付対象事業費より低額な13,192,143円で取得していた。
 したがって、適切な貸付金額は実際の事業費の80%に相当する10,553,714円となり、本件貸付金額との差額21,446,286円は過大な貸付けとなっている。

(水産加工資金)

(161)

関東支店 水産加工業者 冷凍冷蔵施設の設置等 53.7
(年6.05%)
278,112 194,000 7,021 低額設置

 この貸付けは、冷凍冷蔵施設の設置等に必要な資金278,112,400円の一部として194,000,000円を貸し付けたものであるが、実際は、値引きを受け、貸付対象事業費より低額な267,112,400円で設置していた。
 したがって、適切な貸付金額は実際の事業費の70%に相当する186,978,680円となり、本件貸付金額との差額7,021,320円は過大な貸付けとなっている。

(162) 東京支店 水産加工業者 冷凍冷蔵施設の設置 54.8
(年6.5%)
85,246 59,000 12,342 低額設置
 この貸付けは、冷凍冷蔵施設の設置に必要な資金85,246,840円の一部として59,000,000円を貸し付けたものであるが、実際は、値引きを受け、貸付対象事業費より低額な66,653,874円で設置していた。
 したがって、適切な貸付金額は実際の事業費の70%に相当する46,657,711円となり、本件貸付金額との差額12,342,289円は過大な貸付けとなっている。

(163)

 同 水産加工業者 冷凍冷蔵施設の設置等 55.6
(年6.5%)
174,645 120,000 9,102 貸付対象外
 この貸付けは、冷凍冷蔵施設の設置及びフォークリフト等の購入に必要な資金174,645,000円の一部として120,000,000円を貸し付けたものであるが、実際は、上記施設のうち受電設備及びフォークリフトについては、買取り予約付き賃貸借契約により設置又は導入していて貸付けの対象とはならないものであり、これを除いた事業費は158,425,000円である。
 したがって、適切な貸付金額は上記の事業費の70%に相当する110,897,500円となり、本件貸付金額との差額9,102,500円は過大な貸付けとなっている。
(畑作営農改善資金)
(164) 鹿児島支店
(鹿児島県信用農業協同組合連合会)
農業者  畜舎の設置等 55.2
(年5%)
8,504 6,000 6,000 事業の不実施
 この貸付けは、畜舎の設置及び肥育牛の購入に必要な資金8,504,000円の一部として6,000,000円を貸し付けたものであるが、実際は、貸付対象事業を実施していなかった。

963,908 711,000 63,512