科目 | (款)高速道路建設費 (項)建設工事費 |
部局等の名称 | 名古屋建設局 |
工事名 | 中央自動車道恵那山トンネル立坑工事 |
工事の概要 | 中央自動車道恵那山トンネル上り線(延長8,625m)建設工事の一環として、岐阜県側の坑口から2,730mの地点に、直径6.6m深さ571.2mの送排気用立坑を新設する工事 |
工事費 | 1,107,000,000円 |
請負人 | 三井建設株式会社 |
契約 | 昭和55年9月 指名競争契約 |
支払 | 昭和55年10月〜56年9月 6回 |
(うち55年度中の支払額64,610,000円、うち前払金26,560,000円) |
この工事は、送排気用立坑の新設工事に使用する機械器具等の損料の補正及びコンプレッサ−の所要台数などの算定を誤ったため、契約額が約3360万円割高になったと認められる。
(説明)
この工事は、中央自動車道恵那山トンネル上り線(延長8,625m)建設工事の一環として、岐阜県側坑口から2,730mの地点に直径6.6m、深さ571.2mの送排気用立坑を新設するもので、立坑の掘削、築造に当たって必要となる設備として、コンクリート等の資材を搬入したり、掘削ずり(注1)
を搬出するための櫓(やぐら)設備及び各種巻上機を立坑の坑口に据え付けるとともに、スカフォード(作業用つり足場)、ずり積込機、ずりキブル(注2)
及びコンクリートキブル等を坑内に設備するほか、積込機、グラブウィンチ等を作動させるためのコンプレッサーを坑外に設置することとしている。
しかして、この工事の予定価格の内訳についてみると、次のとおり積算が過大になっていると認められた。
1 坑口及び坑内で使用する機械器具等の損料額の積算に当たっては、運転時間の把握が可能なもの(コンプレッサー)については、運転時間当たり損料、運転日数の把握が可能なもの(各種巻上機等10品目)については運転日当たり損料に、それぞれこれらの機械等が工事現場に存置される日数(供用日)により算定した供用日当たり損料を加えた額を損料の基本額とし、また、予備として設置されるもの(コンプレッサー、ずり積込機等5品目)については供用日当たり損料を、更に、本件工事で使用した後は他工事に転用できないもの(櫓設備、スカフォード等10品目)については全損扱いとしてそれらの経費の全額を、それぞれ損料の基本額としていた。そして、本件工事では掘削等の作業が昼夜2交替となるところから、それに伴う運転時間の増加を考慮して、運転時間当たり損料については増加時間に対応した額を加算し、運転日当たり損料についてはその50%相当額を割増し補正したほか、上記のコンプレッサー、各種巻上機等11品目の供用日当たり損料、予備として設置されるものの供用日当たり損料及び全損扱いとしているものの損料についても、同様に一律25%の割増しをしていた。しかし、日本道路公団本社制定の土木工事積算要領によれば、これらの供用日当たり損料として算定されるものは当該機械が工事現場に存置される日数を基に計算され、損料の割増しをする必要のないものであり、また、全損扱いとしている設備等はもともと損料補正の対象とはならないものである。
2 コンプレッサーの運転経費については、その規格及び台数を掘削ずりの積込みに使用するグラブウィンチ2台の空気消費量38m3
/分に対応した150kW級のもの(空気吐出量23m3
/分)2台と想定してその経費を見込んでいるが、グラブウィンチのうち1台は予備として設置されるものであるから、コンプレッサーはグラブウィンチ1台に対応した150kW級のもの1台で足り、また、コンプレッサーの運転保守は、1方(ひとかた)(注3)
当たり機械工1人、土工1人を見込んでいるが、前記積算要領には、機械工1人、土工0.5人と定められているものである。
いま、仮に上記各項により、本件工事費を修正計算すると、積算漏れとなっていたコンプレッサーの運転時間当たり損料、コンクリートの骨材貯蔵設備費等15,947,556円を
(参考図)
考慮しても総額1,073,387,483円となり、本件契約額はこれに比べて約3360万円割高であったと認められる。
(注1) ずり トンネル等の施工において、掘削によって生じた土砂、岩石のくず
(注2) キブル 立坑でずり等を入れてつり上げる鋼板製の容器
(注3) 1方 トンネル工事等のように掘削作業を1日当たり2交替又は3交替で連続して行うときの1勤務単位のこと