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  • 昭和55年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第10 新東京国際空港公団|
  • 不当事項|
  • 工事

航空燃料取卸し施設の増設に当たり、計画が適切でなかったため、不経済になったもの


(169) 航空燃料取卸し施設の増設に当たり、計画が適切でなかったため、不経済になったもの

科目 (款)建設費 (項)新空港建設費
部局等の名称 新東京国際空港公団本社
工事名 土屋石油ターミナルタンク貨車荷卸し施設増設工事
工事の概要 土屋石油ターミナルに集油管設備、油配管設備、貯油タンク等を増設するもの
工事費 656,600,000円(当初契約額615,000,000円)
請負人 千代田化工建設(株)、日本鋼管(株)共同企業体
契約 昭和54年6月 指名競争後の随意契約
しゅん功検査 昭和55年8月
支払 昭和55年9月

 この工事の施行に当たって、鉄道の輸送施設等と適合した航空燃料増量計画に基づく施設の設計を行う要があったのに、その配慮を欠いて過大な集油管等を建設したため、工事費が約1940万円不経済になったと認められる。

(説明)
 この工事は、新東京国際空港における航空燃料の需要の増大に対処するため、同空港の燃料経由基地である土屋石油ターミナルに集油管、ローディングアーム等を設置したものである。
 すなわち、新東京国際空港公団(以下「公団」という。)では、鹿島港から土屋石油ターミナルを経て同空港に至る間の暫定輸送ルートでタンク貨車により輸送する航空燃料の輸送量を、従来のタンク貨車18両編成2列車、14両編成1列車、13両編成2列車、計76両で1日当たり3,800klから、新たに22両編成5列車計110両で1日当たり5,500klに増量する計画(以下「22両化計画」という。)に基づいて、土屋石油ターミナルの既設の引込線沿いに、直径2.3m、長さ325mの集油管を建設するとともに、ローディングアーム22基等の油配管設備等を設置することとしたものである。

 しかして、公団における上記計画策定の経緯についてみると、日本国有鉄道千葉鉄道管理局管内における機関車のけん引能力及び輸送施設の状況からみてタンク貨車の列車編成を19両とすることまでは可能であったが、公団では独自に22両けん引できると判断し、昭和54年6月、請負契約を締結し工事に着手したところ、22両化計画実現の見通しが立たないため、同年11月に至りこれを19両編成とする計画に縮減したものの、既にその時点では集油管、ローディングアーム等の工場製作が相当進ちょくしていたため、これらについてはほとんど設計変更を行えないまま工事を施行したものである。
 しかしながら、22両化計画を実施するに当たっての機関車のけん引能力の不足等の解消については、関連鉄道施設の増強等が不可欠なことであるから、公団ではこれらについて事前に関係機関と十分協議を行い、計画の実現性を確認する必要があったと認められるのに、その配慮を欠いて計画の実現を急ぐ余り、安易に22両化計画に基づく工事を施行したため、過大な集油管等を建設したのは適切な処置とは認められない。

 いま、仮に上記集油管等をタンク貨車19両編成に対応するものとして設計したとすれば、工事費は642,326,676円で足り、本件工事費を約1940万円節減できたと認められる。
 なお、本件増設工事は55年8月にしゅん功し、56年5月から在来の施設と併用して航空燃料の取卸しを開始しているが、関係機関との調整がついていないため、貨車19両編成による航空燃料の輸送はいまだに実現していない状況となっている。