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  • 昭和55年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
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  • 第11 日本鉄道建設公団|
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ずい道工事の異常出水事故に伴い負担する損害額の支払が適切でなかったもの


(170) ずい道工事の異常出水事故に伴い負担する損害額の支払が適切でなかったもの

科目 (款)建設費 (項)新幹線建設費
部局等の名称 東京新幹線建設局
件名 上越新幹線中山ずい道(四方木)工事の異常出水事故に伴う損害額の負担について
負担の概要 異常出水事故に伴う建設機械器具、資材等の損害に対して損害額を負担するもの
負担額 628,144,000円
負担の相手方 佐藤工業株式会社
契約 昭和55年12月
支払 昭和55年12月

 この損害額の算定に当たり、請負人から提出された建設機械器具、資材等の取得価格等を記載した立証書類が事実と相違したものとなっているのに、これらの確認を十分に行わないまま損害額を算定したため、約1億5800万円が過大に支払われていると認められる。

(説明)
 この損害に対する負担は、日本鉄道建設公団(以下「公団」という。)が上越新幹線建設工事の一環として、昭和47年2月から施行している中山ずい道(四方木)工事において、工事中の54年3月、ずい道内で異常出水事故が発生し、請負人が搬入していた建設機械器具、工事の仮設物の資材等が埋没するなどの損害を受けたため、工事請負契約条項に基づき、公団が負担すべき損害額を628,144,000円と算定し、55年12月に支払ったものである。

 しかして、この損害額の算定に当たっては、(1)工事の出来形部分に関するもの(2)工事の材料に関するもの(3)工事の仮設物又は建設機械器具に関するものに区分し、また、坑道の一部を止水のためモルタル注入により閉そくし廃坑としたため(2)及び(3)については更に、この坑道内に埋没していて回収できない物件と回収できた物件に区分し算出している。
 そして、上記のうち、(3)の損害額の算定に当たっては、前記契約条項に基づき、公団と請負人とが協議して定めた算定方式によることとしたが、この算定の基礎とする建設機械器具、資材等の取得価格、取得年月等については請負人の減価償却費計算書、機械器具移動台帳、納品書等によることとし、請負人はこの算定方式に基づいて算定した損害額と前記(1)及び(2)の損害額を合わせた総額648,144,000円を公団に請求し、これらの算定基礎となった減価償却費計算書、機械器具移動台帳及び納品書の写し等を立証書類として提出した。

 これに対し公団では、機械類の取得価格、取得年月、再使用や修理の可否及び資材類等の損害数量、取得価格等について審査のうえ、総額628,144,000円と決定し、同額を請負人に通知するとともに請負人からこれを承諾する旨の請書を徴したうえ支払っているものである。
 しかしながら、請負人から徴した前記立証書類は原資料そのものではなく写し等であり、公団ではこれについて原資料との対査を実施していなかったところから、会計実地検査の際、これら立証書類の内容について、機械類については請負人の減価償却費計算書、機械器具移動台帳等の原資料によりその取得価格、取得年月及び現地への搬入年月を、また、資材類等については請負人の会計伝票、請求書等の原資料によりその数量、取得価格等を対査したところ、前記区分(3)の工事の仮設物又は建設機械器具に関するものについて立証書類に記載された取得価格、取得年月等が事実と相違していたものが1,088件のうち570件あり、ひいて損害額が著しく過大となっているものと認められた。

 いま、上記により損害額を計算すると469,554,255円となり、本件負担額はこれに比べ約1億5800万円が過大に支払われていると認められる。