事業内容 | 主として日本中央競馬会に対する発馬機の賃貸、整備の請負業務 |
損益 | 昭和54営業年度 損失625,466,924円 |
日本発馬機株式会社では、昭和54営業年度の経理において、発馬機等の保守整備用部品代を水増しして支払うなど真実な取引に基づかない処理を行っていて、その経理が著しくびん乱している。
(説明)
日本発馬機株式会社(以下「発馬機会社」という。)は、日本中央競馬会が従来直営で実施していた発馬機部門の業務を分離して外部請負とすることに伴い、昭和40年9月、資本金5,000,000円で設立されたもので、同競馬会は52年2月に資本金の50%に当たる2,500,000円を出資している。
しかして、55年1月、会計検査院法第23条の規定により、発馬機会社の52、53、54各営業年度の会計を検査することに決定し、55年2月及び56年8月検査を実施したところ、次のように経理がびん乱していて著しく適正を欠く事態が54営業年度において見受けられた。
すなわち、発馬機会社は発馬機等の保守整備に要する各種部品の仕入れに際し、発馬機会社と製造業者等との間に発馬機会社の役員の一部(54年12月、発馬機会社を辞任)らが53年11月に設立した株式会社エスイーエス(以下「SES」という。)を介在させて、SESに仕入部品の数量、単価を水増し請求させるなどして過大な部品代を支払い、過大に支払った代金の全部又は一部を別途経理する操作を行うなど真実な取引に基づかない処理を行っていた。
これらの経理のうちには、実在しない会社(SESの前身の名称)に対し未払金を支払ったとして別途に預金していたり、SESへ振り出した手形の一部について内払いしているのにその書換えを行っていなかったり、SESに対して架空の未払金を支払ったり、支払伝票を起票しないで支払ったりするなどしていたものもあった。
このことは、発馬機会社が保有していた54営業年度分の会計関係書類等の写しを調査した結果判明したもので、これより以前にも同様の経理が行われていたと認められる52、53営業年度分については関係書類が破棄されていることなどから確認の方途がなかった。
上記のように真実な取引に基づかない経理を行ったため、54営業年度決算において、貸借対照表の流動負債の部に未決算勘定を設け、同勘定にSESからの部品等の仕入に係る未払金として150,545,910円及びSESからの手形による借入金として253,000,000円計403,545,910円を計上していた。そして、この未払金のうち62,451,230円を55営業年度決算において債務がないことを確認したとして未決算勘定から減額したうえ特別利益として計上しているものの、なお341,094,680円は債務の存否が明らかでないとして同勘定に計上したままとなっている。
なお、前記発馬機会社の役員らのSESを介した部品代の水増し支払に係る54営業年度中の損害額は1億8778万余円と見込まれる。