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  • 昭和55年度|
  • 第4章 歳入歳出決算その他検査対象の概要|
  • 第7 政府関係機関及びその他の団体|
  • 2 政府関係機関の収入支出決算

日本国有鉄道


(2) 日本国有鉄道

 日本国有鉄道は、鉄道事業等を能率的な運営によって発展させ、もって公共の福祉を増進することを目的として設置されているもので、55年度末現在の資本金は4560億1682万余円となっている。

 55年度の収入支出決算についてみると、損益、資本及び工事の3勘定並びに特定債務整理特別勘定に区分されている。損益勘定の収入では収入済額3兆7125億2954万余円、支出では、支出済額3兆6793億7356万余円、翌年度繰越額983億8948万余円、不用額970億6352万余円となっている。資本勘定の収入では収入済額2兆2141億9345万余円、支出では、支出済額2兆2235億5524万余円、翌年度繰越額872億3140万余円、不用額13億6223万余円となっている。工事勘定の収入では収入済額1兆2589億4249万余円、支出では、支出済額1兆2590億6319万余円、翌年度繰越額2915億8578万余円、不用額197億8834万余円となっている。また、特定債務整理特別勘定では、収入済額、支出済額ともに3863億6388万余円となっている。

 なお、上記の特定債務整理特別勘定は、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(昭和55年法律第111号)の制定により、経営再建のための特別な措置として新たに設置されたものであるが、これは、51年度に日本国有鉄道法(昭和23年法律第256号)の改正により設置された従来の特定債務整理特別勘定の長期負債残高2兆5001億3400万円に一般勘定から受け入れた長期負債2兆8220億1500万円を加えた計5兆3221億4900万円について、一般会計から無利子の借入金及び利子補給金を受け入れて償還を行うなどの一連の処理を行うために、引き続き別途に経理しているものである。

 翌年度繰越額の主なものは、損益勘定の保守費(支出予算現額6751億1789万余円)の662億9613万余円、資本勘定の工事勘定へ繰入(同1兆3456億7080万余円)の863億9644万余円、工事勘定の新幹線建設費(同5375億0176万余円)の1690億4250万余円及び一般施設取替改良費(同4504億0432万余円)の921億1872万余円であり、不用額の主なものは、損益勘定の保守費の816億6346万余円及び工事勘定の建設関連利子(同1362億3987万余円)の118億5388万余円である。

 前記の経理の基礎となった全営業キロ程は、55年度末現在で鉄道21,321km、自動車14,188km等であり、損益勘定の収入に係る鉄道、船舶、自動車の主な輸送実績は、旅客1960億人キロ、貨物375億トンキロであり、また、工事勘定の支出に係る業務実績の主なものは、新幹線及び在来線30線における線路の新増設、車両2,328両(電車777両、客車307両、貨車1,001両等)の新製である。

 なお、55年度における損益についてみると、一般勘定と特定債務整理特別勘定に区分して経理されている。一般勘定では営業損益において損失1兆0005億8440万余円、営業外損益において損失77億9137万余円、計1兆0083億7578万余円の純損失を生じているが、前年度からの繰越欠損金3兆5167億1033万余円のうち2兆8220億1500万円を特定債務整理特別勘定に移し、5242億5155万余円を資本積立金の減額により整理したので、繰越欠損金は1兆1788億1955万余円となっている。特定債務整理特別勘定の特定繰越欠損金は、前年度からの2兆5401億3300万円に一般勘定から移し替えられた2兆8220億1500万円を加え、一般勘定から受け入れた399億9900万円を減額して整理したので、5兆3221億4900万円となっている。また、同年度末における一般勘定の借入金の残高は3兆7696億1383万余円(資金運用部資金、簡易生命保険及び郵便年金の積立金、一般会計、国際復興開発銀行並びに市中金融機関からの借入金)、鉄道債券の発行残高は5兆3074億0764万円、資本積立金の残高は3814億5180万余円となっており、特定債務整理特別勘定の借入金の残高は5兆3221億4900万円(資金運用部資金及び一般会計からの借入金)となっている。