ページトップ
  • 昭和56年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第8 労働省|
  • 不当事項|
  • 保険

雇用保険の中高年齢者雇用開発給付金の支給が適正でなかったもの


(145) 雇用保険の中高年齢者雇用開発給付金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計 (雇用勘定) (項)雇用安定等事業費
部局等の名称 北海道ほか22都府県(支給庁)
札幌公共職業安定所ほか85公共職業安定所(支給決定庁)
事業主 133事業主
中高年齢者雇用開発給付金の支給額の合計 1,048,438,339円

 上記の133事業主に中高年齢者雇用開発給付金1,048,438,339円を支給しているが、支給に当たって調査が十分でなかったため、343,384,158円が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都道府県ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。

 これは、北海道ほか22都府県において1,809事業主に対して支給した8,674,942,346円について本院が調査した結果である。

(説明)

 中高年齢者雇用開発給付金は、雇用保険(前掲の「雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの」の説明参照 )で行う事業のうち、雇用安定事業の一環として、中高年齢者(中高年齢者のうち中年齢者とは45歳以上55歳未満の者、高年齢者とは55歳以上65歳未満の者をいう。以下同じ。)の雇用機会の増大を図るため、一定の条件の下に中高年齢者を雇用した事業主に対してその中高年齢者に支払った賃金の一部を助成するものである。そして、この給付金は、事業主が公共職業安定所の紹介により新たに中年齢者又は高年齢者を継続して雇用する労働者として雇い入れること、中年齢者を雇い入れる場合にはその雇い入れるときに労働大臣の定める期間の初日の前日(以下「基準日」という。)に比べ45歳以上の者の雇用の割合を高め又はその数を増加させているとともに55歳以上の者の数を減少させていないこと、また、高年齢者を雇い入れる場合にはその雇い入れるときに基準日に比べ55歳以上の者の雇用の割合を高め又はその数を増加させていることなどを支給要件にしており、その支給対象期間及び支給率は、中年齢者を雇い入れた場合、その支給対象期間は1年で、中小企業事業主(注) にあっては前半6箇月は支払った賃金額の5分の4、後半6箇月は3分の2、中小企業事業主以外の事業主にあっては前半6箇月は5分の3、後半6箇月は2分の1となっており、また、高年齢者を雇い入れた場合、その支給対象期間は1年半で、中小企業事業主にあっては前半1年は5分の4、後半6箇月は3分の2、中小企業事業主以外の事業主にあっては前半1年は5分の3、後半6箇月は2分の1となっている。そして、その支給の決定に当たっては、事業主から主たる事業、常時雇用する労働者数、対象中高年齢者名、生年月日、雇用年月日、支払賃金額等を記載した申請書を提出させ、各公共職業安定所で支給要件に適合しているかどうかを審査して決定し、これに基づいて各都道府県が支給することになっている。

 しかして、中高年齢者雇用開発給付金の支給の適否について検査したところ、前記の北海道ほか22都府県では、事業主が既に継続して雇用している中年齢者又は高年齢者を新たに雇用したこととしていたり、高年齢者を雇い入れたときに、55歳以上の者の雇用の割合を高めておらずその数も増加させていなかったりしているものなどがあったのに、これに対する審査確認が十分でなかったため、本院が調査した1,809事業主に対する支給額のうち、133事業主分1,048,438,339円について343,384,158円が不適正に支給されていた。

(注)  中小企業事業主 資本の額又は出資の総額が1億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については1千万円、卸売業を主たる事業とする事業主については3千万円)を超えない事業主及びその常時雇用する労働者の数が300人(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業を主たる事業とする事業主については100人)を超えない事業主

(別表)

都道府県名 本院が調査した事業主数 不適正受給事業主数 左の事業主に支給した中高年齢者雇用開発給付金 左のうち不適正中高年齢者雇用開発給付金

北海道

123

15
千円
138,506
千円
38,128
青森県 57 3 10,358 3,188
秋田県 40 1 6,066 1,361
山形県 71 4 11,955 5,141
栃木県 37 5 39,536 5,741
埼玉県 71 8 67,729 27,170
千葉県 83 2 11,595 5,876
東京都 133 7 126,771 39,753
神奈川県 101 6 30,047 18,752
新潟県 97 4 25,913 5,377
富山県 58 7 58,813 9,416
静岡県 48 8 53,496 30,876
愛知県 78 1 15,180 8,758
京都府 116 13 54,999 13,191
大阪府 102 6 104,253 38,069
和歌山県 60 4 27,330 2,320
岡山県 64 4 24,384 4,317
広島県 45 5 74,684 16,496
山口県 92 3 17,266 5,305
香川県 76 5 23,910 12,308
福岡県 88 13 73,602 41,130
大分県 60 5 33,240 6,307
宮崎県 109 4 18,795 4,392
 計 1,809 133 1,048,438 343,384