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  • 昭和57年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第7 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金

補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの


(52)−(69) 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)農林水産本省 (項)農業振興費 (項)農業構造改善対策費 (項)農蚕園芸振興費 (項)水田利用再編対策費 (項)畜産振興費 (項)土地改良事業費 (項)農業施設災害復旧事業費
部局等の名称 農林水産本省、東北、関東、北陸、九州各農政局、北海道、埼玉、石川、長野、岐阜、島根各県
補助の根拠 土地改良法(昭和24年法律第195号)、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律(昭和25年法律第169号)等
事業主体 町3、農業協同組合2、その他277、計282事業主体
補助事業 北海道名寄市水田利用再編対策事業等18事業
上記に対する国庫補助金交付額の合計 276,381,860円

 上記の18補助事業において、補助の対象とは認められないものがあったり、事業費を過大に精算しているものがあったりなどしていて、国庫補助金98,006,729円が不当と認められる。これを道県別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)
 農林水産省所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同省ではこれらの事業主体に対して事業に要する費用について直接又は間接に補助金を交付している。
 しかして、これらの補助事業の実施及び経理について検査したところ、前記の282事業主体が実施した水田利用再編対策事業、地域農業生産総合振興事業等の18事業において補助の対象とは認められないものがあったり、事業費を過大に精算しているものがあったりなどしていた。
 いま、これらについて不当の態様別に示すと次のとおりである。

補助の対象とは認められないもの
8事業 不当と認めた国庫補助金 64,470,869円
補助の目的を達していないもの
1事業 不当と認めた国庫補助金 17,155,000円
事業費を過大に精算しているもの
7事業 不当と認めた国庫補助金 14,912,609円
その他
2事業 不当と認めた国庫補助金 1,468,251円

(別表)

道県名 事業 事業主体
(所在地)

事業費

左に対する国庫補助金 不当と認めた事業費 不当と認めた国庫補助金

摘要


(52)

北海道

水田利用再編対策事業(水稲の作付転換)

名寄市農業者9名
千円
48,949
千円
48,949
千円
21,857
千円
21,857

補助の対象外
 この事業は、昭和53年度から57年度までの各年度補助事業として、米の生産調整を図るなどのため、水田において転作等を実施した農業者に対して水田利用再編奨励補助金を交付するもので、農業者9名は、転作等実施計画に基づき水田延べ747,700m2 (53年度35,000m2 、54年度62,100m2 、55年度184,000m2 、56年度242,800m2 及び57年度223,800m2 )に水稲以外の飼料作物等を作付けしたなどとして同補助金の基本額33,573,800円(53年度1,798,600円、54年度3,164,700円、55年度9,340,800円、56年度10,407,200円及び57年度8,862,500円)、集落ごとに策定した水田利用再編計画の転作等目標面積を上回る計画的転作等を実施したとして計画加算額11,272,550円(53年度700,000円、54年度1,242,000円、55年度3,638,000円、56年度3,052,750円及び57年度2,639,800円)、転作等実施水田を団地化計画により一定規模にまとめたとして団地化加算額3,600,250円(56年度1,926,250円及び57年度1,674,000円)、地域の農業生産の再編を推進する上で重要と認められる作物を作付けしたとして地域振興作物加算額503,355円(56年度124,000円及び57年度379,355円)、計48,949,955円(53年度2,498,600円、54年度4,406,700円、55年度12,978,800円、56年度15,510,200円及び57年度13,555,655円)の交付を受けていた。

 しかし、農業者8名に係る水田延べ120,072m2 (53年度4,550m2 、54年度6,150m2 、55年度29,303m2 、56年度44,450m2 及び57年度35,619m2 )は補助金交付の対象とならない新規開田地(非農地又は44年度以降50年度までの間において水稲の作付けが行われたことのない農地であって、50年産の水稲の収穫期後に水稲の作付けが可能となった水田)で転作を実施したものである。また、農業者7名に係る新規開田地延べ263,431m2 (53年度15,400m2 、54年度4,400m2 、55年度72,800m2 、56年度77,400m2 及び57年度93,431m2 )は水稲の作付けが行われているが、このような新規開田地に水稲の作付けが行われた場合には、他の水田における転作等の実施面積から、新規開田地における水稲作付面積を控除して同補助金の交付額を算定することとされているので、同農業者7名に係る新規開田地以外の転作実施水田延べ263,431m2 は補助の対象とは認められない。

 したがって、これらに係る同補助金の基本額14,603,446円(53年度432,178円、54年度312,559円、55年度4,257,056円、56年度4,835,522円及び57年度4,766,131円)、計画加算額4,853,784円(53年度169,107円、54年度122,984円、55年度1,664,601円、56年度1,448,861円及び57年度1,448,231円)団地化加算額1,997,249円(56年度987,827円及び57年度1,009,422円)、地域振興作物加算額403,240円(56年度107,427円及び57年度295,813円)、計21,857,719円(53年度601,285円、54年度435,543円、55年度5,921,657円、56年度7,379,637円及び57年度7,519,597円)は交付する要はなかったものである。

(53) 青森県 地域農業生産総合振興事業(樹園地の造成等) 柏村轡りんご転作組合(西津軽郡柏村) 27,469 13,734 11,305 5,652 事業費の精算過大及び工事の施工不良
 この事業は、昭和57年度補助事業として、水田を樹園地へ転換するため、樹園地4.7haの造成及び苗木5,102本、支柱5,102本の購入等を行ったもので、事業費27,469,300円で実施したこととして事業費を精算していた。
 しかして、このうち樹園地造成工事(整地工、植穴工等)については、契約額15,700,000円で請け負わせ施行したこととしていたが、実際は、請負人から5,439,000円の割戻しを受けていた。したがって、本件事業に要した費用はこの割戻金を控除した22,030,300円である。
 また、樹園地造成工事のうち植穴工(工事費相当額5,866,271円)については、設計書、図面及び仕様書によると、造成地4.5haを4m間隔で帯状に掘削し、ようりん20kg入り1,072袋、炭酸石灰20kg入り562袋、テンポロン10kg入り1,021袋を施肥し、土壌を改良することとしていたが、実際は、ようりん300袋(設計数量に対して28%)、炭酸石灰200袋(同36%)、テンポロン355袋(同35%)を施肥したにすぎず、施工が設計書等と著しく相違していて、土壌改良の目的を達していない。
(54) 岩手県 家畜畜産物流通改善対策(牛乳等共同保管配送施設の設置等) 株式会社岩手県牛乳共同保管センター(北上市) 34,641 11,545 10,982 3,660 補助の対象外
 この事業は、昭和56年度補助事業として、牛乳販売店の経営の近代化を図るため、牛乳等の仕入、保管、配送を共同で行うための牛乳等共同保管配送施設として建物1棟延べ258m2 、冷凍・冷蔵施設、保冷車1台を事業費34,641,900円で設置・導入したものである。
 しかし、事業主体は、上記建物の事務室、保管室及び仮眠室計105m2 (事業費相当額10,982,252円、国庫補助金相当額3,660,186円)を事業主体の代表者が経営する会社に建物設置の当初から年額2,400,000円で賃貸していたものであって、上記の事務室等は補助の対象とは認められない。
(55) 埼玉県 水田利用再編対策(水稲の作付転換) 越谷市農業者49名 3,929 3,929 1,076 1,076 補助の対象外
川越市農業農業者32名 3,729 3,729 854 854

北埼玉郡大利根町農業者12名 1,556 1,556 361 361
北葛飾郡庄和町農業者5名 372 372 279 279
計 農業者98名 9,587 9,587 2,572 2,572
 この事業は、昭和56年度及び57年度補助事業として、米の生産調整を図るなどのため、水田において転作等を実施した農業者に対して水田利用再編奨励補助金を交付するもので、農業者98名は、転作等実施計画に基づき水田延べ263,411m2 (56年度151,540m2 及び57年度111,871m2 )に、野菜等を作付けしたなどとして同補助金の基本額8,722,285円(56年度5,058,805円及び57年度3,663,480円)、集落ごとに策定した水田利用再編計画の転作等目標面積を上回る計画的転作等を実施したとして計画加算額752,184円(56年度546,109円及び57年度206,075円)、転作等実施水田を団地化計画により一定規模にまとめたとして団地化加算額52,192円(56年度分)、地域の農業生産の再編を推進する上で重要と認められる作物を作付けしたとして地域振興作物加算額60,980円(56年度38,785円及び57年度22,195円)、計9,587,641円(56年度5,695,891円及び57年度3,891,750円)の交付を受けていた。

 しかし、上記の水田のうち延べ74,540m2 (56年度30,551m2 及び57年度43,989m2 )は、当該年度の11月30日(転作作物の収穫が終わっている場合は10月15日)までに、農地転用の許可を受け若しくはその申請がなされた土地又は市街化区域内では農地転用の届出が受理された土地であって、農業以外の用途に供されるものであるから、補助の対象とは認められない。

 したがって、これらに係る同補助金の基本額2,433,111円(56年度1,007,536円及び57年度1,425,575円)、計画加算額131,605円(56年度100,617円及び57年度30,988円)、地域振興作物加算額7,420円(56年度4,820円及び57年度2,600円)、計2,572,136円(56年度1,112,973円及び57年度1,459,163円)は交付する要はなかったものである。

(56) 新潟県 畜産総合対策推進事業(転作飼料作物の流通促進) 吉川農業協同組合(中頸城郡吉川町) 2,035 2,000 1,299 1,263 事業費の精算過大
 この事業は、昭和57年度補助事業として、水田転作に伴う飼料作物の流通促進を図るため、需給調整会議の開催、生産計画等の策定、取引契約のあっ旋等を行ったもので、事業費2,035,545円で実施したこととして事業費を精算していた。
 しかし、実際は、事業費のうち会議費、機械損料等1,299,150円は架空のものであり、本件事業に要した費用はこの架空の事業費を控除した736,395円である。
 なお、会計実地検査当時(58年6月)事業主体は1,299,150を貯金として保有していた。
(57) 石川県 山村等振興対策(農産物処理加工施設の設置等) 能登島あけぼの農産物加工組合(鹿島郡能登島町) 18,141 9,070 2,290 1,144 事業費の精算過大
 この事業は、昭和57年度補助事業として、農業者の所得の増大及び就労の安定を図るため、農産物処理加工施設1棟164m2 等を設置・導入したもので、事業費18,141,000円で実施したこととして事業費を精算していた。
 しかして、このうち農産物処理加工施設については、契約額14,500,000円で請け負わせ施行したこととしていたが、実際は、この工事を一括下請した業者から2,290,000円の割戻しを受けていた。 したがって、本件事業に要した費用はこの割戻金を控除した15,851,000円である。
(58)  同 地域農業生産総合振興事業(サイロの設置等) 農事組合法人富来川畜産生産組合(羽咋郡富来町) 34,406 17,155 34,406 17,155 補助目的の不達成
 この事業は、昭和55年度補助事業として、粗飼料を安定的に供給し、酪農経営を長期的に安定させるため、サイロ1基、ボトムアンローダー(注1) 1台及びブロワ(注2) 1台を事業費34,406,713円で設置・導入したものである。
 しかして、本件事業の計画策定時点で事業主体が既に多額の負債を保有し、新規事業の実施が困難な状況にあったのに、資金計画の審査について十分な配慮を欠いたまま補助事業として採択されていた。そして、本件事業実施後、ボトムアンローダー及びブロワは購入代金の決済が不能となって56年7月に納入業者に引き取られ、サイロは58年4月に競売に付されて処分されていた。また、事業主体は57年1月に事実上解散しており、58年6月の会計実地検査当時全く活動していない状況であった。

 上記のとおり、本件事業はその効果が発現しておらず、補助の目的を達していない。

(注1) ボトムアンローダー 塔形サイロに装着し、サイロ内に貯蔵されている飼料をカッターで切り取ってサイロの下部から取り出すための機械
(注2) ブロワ 刈り取った飼料作物を細断したうえ塔形のサイロの上部に吹き上げて、サイロ内に詰め込むための機械
(59) 石川県 水田利用再編対策事業(水稲の作付転換) 七尾市農業者21名 3,986 3,986 3,475 3,475 補助の対象外
 この事業は、昭和56年度及び58年度補助事業として、米の生産調整を図るなどのため、水田において転作等を実施した農業者に対して水田利用再編奨励補助金を交付するもので、農業者21名は、転作等実施計画に基づき、水田延べ66,425m2 (56年度29,235m2 及び57年度37,190m2 )にそば等を作付けしたなどとして同補助金の基本額3,006,525円(56年度1,362,765円及び57年度1,643,760円)、集落ごとに策定した水田利用再編計画の転作等目標面積を上回る計画的転作等を実施したとして計画加算額482,927円(56年度146,237円及び57年度336,690円)、転作等実施水田を団地化計画により一定規模にまとめたとして団地化加算額497,300円(56年度247,900円及び57年度249,400円)計3,986,752円(56年度1,756,902円及び57年度2,229,850円)の交付を受けていた。

 しかし、上記の水田のうち、農業者18名に係る水田延べ54,571m2 (56年度21,920m2 及び57年度32,651m2 )は、和倉・石崎地区土地区画整理組合が55年度から実施している土地区画整理事業施行地区内の土地であって、しかも、そのうち、31,979m2 (56年度11,358m2 及び57年度20,621m2 )は土地区画整理事業の工事が施行中であったり、12,984m2 (56年度6,492m2 及び57年度6,492m2 )は既にれき等が混入した山土により道路高以上に盛土、整地されていたり、9,608m2 (56年度4,070m2 及び57度5,538m2 )は道路等の公共用地や保留地等となっていたりしていて、いずれも水稲の作付けが不可能となっており、補助の対象とは認められない。

 また、水田利用再編計画を策定した和倉地区は、上記の水田延べ54,571m2 が補助の対象から除外される結果、転作等実施水田面積の合計が水田利用再編計画の転作等目標面積(56年度9,881m2 及び57年度9,353m2 )を下回って計画加算及び団地化加算の要件を満たさないこととなるので、この地区内で計画加算額又は団地化加算額の交付を受けていた農業者7名に係る水田延べ8,014m2 (56年度4,165m2 及び57年度3,849m2 )は交付対象とは認められない。

 したがって、これらに係る同補助金の基本額2,495,429円(56年度1,074,080円及び57年度1,421,349円)、計画加算額482,927円(56年度146,237円及び57年度336,690円)、団地化加算額497,300円(56年度247,900円及び57年度249,400円)、計3,475,656円(56年度1,468,217円及び57年度2,007,439円)は交付する要はなかったものである。

(60)(61)(62)(63)(64)(65) 長野県 水田利用再編対策事業(水稲の作付転換)ほか5件 上伊那郡箕輪町ほか 224,266 93,136 20,672 9,589 事業費の精算過大ほか
(長野県上伊那郡箕輪町の項)
(66) 岐阜県 水田利用再編対策(水稲の作付転換) 郡上郡和良村農業者119名 18,215 18,215 5,392 5,392 補助の対象外
 この事業は、昭和55年度及び56年度補助事業として、米の生産調整を図るなどのため、水田において転作等を実施した農業者に対して水田利用再編奨励補助金を交付するもので、農業者119名(宮代地区37名、法師丸地区26名、鹿倉地区20名、野尻地区1名、方須地区2名、下洞地区29名及び宮地地区4名)は転作等実施計画に基づき水田延べ293,053m2 (55年度120,956m2 及び56年度172,097m2 )に水稲以外の飼料作物等を作付けしたとして同補助金の基本額13,072,730円(55年度5,607,250円及び56年度7,465,480円)、集落ごとに策定した水田利用再編計画の転作等目標面積を上回る計画的転作等を実施したとして計画加算額4,197,780円(55年度2,117,844円及び56年度2,079,936円)、転作等実施水田を団地化計画により一定規模にまとめたとして団地化加算額944,782円(56年度分)、計18,215,292円(55年度7,725,094円及び56年度10,490,198円)の交付を受けていた。
 しかし、

(1) 上記農業者のうち12名(宮代地区4名、法師丸地区2名、鹿倉地区1名、野尻地区1名、方須地区2名、下洞地区1名及び宮地地区1名)が55年度及び56年度に転作を実施したとしている水田のうち延べ53,927m2 (55年度宮代地区8,053m2 、法師丸地区2,256m2 、鹿倉地区743m2 、野尻地区1,929m2 、方須地区384m2 計13,365m2 及び56年度宮代地区21,311m2 、下洞地区13,152m2 、宮地地区1,981m2 、方須地区4,118m2 計40,562m2 )は、転作等の実施確認を行った村当局の担当者が転作等実施計画等を作為して、転作が実施されていない水田等を転作が実施されたように偽って補助金の交付を受けたものであるから、これらに係る同補助金の基本額2,484,735円(55年度8名13,365m2 分659,445円及び56年度5名40,562m2 分1,825,290円)、計画加算額713,943円(55年度8名13,365m2 分254,545円及び56年度3名34,235m2 分459,398円)、団地化加算額54,290円(56年度2名5,429m2 分)、計3,252,968円(55年度8名分913,990円及び56年度5名分2,338,978円)は交付する要はなかったものである。

(2) 上記の補助の対象外の水田を含めて転作等目標面積を達成したとして、55年度に計画加算額の交付の対象としていた水田112,688m2 (宮代地区53,329m2 、法師丸地区30,839m2 及び鹿倉地区28,520m2 )は、第1項のとおり、当該地区の水田11,052m2 (宮代地区、法師丸地区及び鹿倉地区)が補助の対象から除外される結果、転作等実施水田面積の合計が水田利用再編計画の転作等目標面積108,443m2 (宮代地区51,300m2 、法師丸地区28,970m2 及び鹿倉地区28,173m2 )を達成できないこととなるから、これらの地区の農業者73名(宮代地区27名、法師丸地区26名及び鹿倉地区20名)に交付された計画加算額1,778,169円は交付する要はなかったものである。

(3) 前記の補助の対象外の水田を含めて転作等目標面積を達成したとして、56年度に計画加算額の交付の対象としていた水田139,722m2 (宮代地区79,123m2 及び下洞地区60,599m2 )は、第1項のとおり、当該地区の水田34,463m2 (宮代地区及び下洞地区)が補助の対象から除外される結果、計画加算額算定の基礎とした転作率(宮代地区37%及び下洞地区34%)が両地区共に27%に低下するため、転作率に応じて適用される補助金単価が低額となるから、これらの地区の農業者48名(宮代地区19名及び下洞地区29名)に交付された計画加算額は290,773円減額されることとなる。

(4) 前記の補助の対象外の水田を含めて転作等実施水田を団地化計画により一定規模(1ha以上)にまとめたとして、56年度に団地化加算額の交付の対象としていた宮地地区の水田10,486m2 は、第1項のとおり、当該地区の水田3,448m2 が補助の対象から除外される結果、当該団地の面積が1ha未満となって、団地化加算の交付要件を満たさないこととなるから、宮地地区の農業者3名に交付された団地化加算額70,380円は交付する要はなかったものである。

 以上のとおり、同補助金の基本額2,484,735円(55年度659,445円及び56年度1,825,290円)、計画加算額2,782,885円(55年度2,032,714円及び56年度750,171円)、団地化加算額124,670円(56年度分)、計5,392,290円(55年度2,692,159円及び56年度2,700,131円)は交付する要はなかったものである。

(67) 島根県 水田利用再編対策事業(水稲の作付転換) 大田市農業者20名 2,862 2,862 2,138 2,138 補助の対象外
 この事業は、昭和56年度及び57年度補助事業として、米の生産調整を図るなどのため、水田において転作等を実施した農業者に対して水田利用再編奨励補助金を交付するもので、農業者20名は転作等実施計画に基づき水田延べ60,970m2 (56年度32,110m2 及び57年度28,860m2 )に野菜等を作付けしたなどとして同補助金の基本額2,403,530円(56年度1,250,350円及び57年度1,153,180円)、集落ごとに策定した水田利用再編計画の転作等目標面積を上回る計画的転作等を実施したとして計画加算額458,932円(56年度237,875円及び57年度221,057円)、計2,862,462円(56年度1,488,225円及び57年度1,374,237円)の交付を受けていた。
 しかし、上記の水田のうち農業者18名に係る延べ44,510m2 (56年度24,240m2 及び57年度20,270m2 )は、土地区画整理事業の工事が完了した地区内で造成盛土された土地であって、しかも水稲の作付けが不可能となった土地であり、補助の対象とは認められない。

 また、本件水田利用再編計画を策定していた地区は、転作等の計画面積の2分の1以上が水の条件、機械の運行等を勘案して地縁的なまとまりのある団地に適合するとして2団地を設定し計画加算額の交付を受けていたが、上記の水田延べ44,510m2 が補助の対象から除外される結果、いずれの団地も地縁的なまとまりのある団地とは認められないこととなるので、農業者9名に係る水田延べ12,530m2 (56年度5,650m2 及び57年度6,880m2 )に係る計画加算額は交付対象とは認められない。
 したがって、これらに係る補助金の基本額1,699,930円(56年度902,280円及び57年度797,650円)、計画加算額438,292円(56年度225,875円及び57年度212,417円)、計2,138,222円(56年度1,128,155円及び57年度1,010,067円)は交付する要はなかったものである。

(68) 熊本県 農業構造改善事業(多目的研修集会施設の設置) 下益城郡中央町 46,233 22,748 46,233 22,748 補助の対象外
 この事業は、昭和55年度補助事業として、農業経営の合理化、農業者等の生活の改善を図るため、多目的研修集会施設1棟延べ299m2 を設置するもので、事業費46,233,000円で実施したとしていた。
 しかし、実際は、事業主体が自己負担金相当額のすべてを下益城郡畜産農業協同組合に負担させることとして、老朽のため改築の必要が生じていた同組合の事務所を多目的研修集会施設の名目で建設したものであって、補助の対象とは認められない。
(69) 大分県 農業用施設災害復旧事業(ため池54年災害復旧) 玖珠郡玖珠町 24,190 23,391 1,403 1,356 工事費の積算過大
 この工事は、昭和54年6月の豪雨により決壊した玖珠町山下地内のため池の堤体等を復旧するため、56年度に堤体盛土等を施工したもので、工事費の積算についてみると、堤体盛土費については、盛土材料は堤体から160m離れた土取場で採取し、既設の道路を利用しダンプトラックで現場の手前60mの地点まで運搬して仮置きし、現場へは小車で運搬して敷きならし、転圧することとして1m3 当たりの経費を4,088円と算出し、総量1,108.3m3 分を4,530,730円と算定していた。また、生コンクリート、割栗石、鉄筋等は牧野を利用しトラックミキサ等で現場の手前200mの地点まで運搬し、現場へはテーラーで運搬することとして、運搬費を742,729円と算定していた。
 しかし、現場の近くまで既設の道路があり、現場周辺は高低差のほとんどない平たんな地形となっているので、この道路等を利用して盛土材料及び生コンクリート等の資材をダンプトラック等により現場へ直接搬入し、作業を行うことが十分可能であるから、これに見合った歩掛かりにより積算すべきであったと認められ、これによると堤体盛土費は1m3 当たり1,180円から4,059円、計1,746,333円、また、生コンクリート等の資材の運搬費は201,219円となる。
 いま、仮に上記により工事費を修正計算すると、積算漏れとなっていた工事用道路の維持補修費1,525,636円等を考慮しても総額22,787,000円となり、本件工事費はこれに比べて約1,403,000円割高となっていると認められる。
494,986 276,381 164,028 98,006