水産庁が補助金を交付している沿岸漁業構造改善事業等の実施に当たり、漁獲量や加工技術等に関する調査検討が十分でないまま事業計画を策定し実施したため、施設の利用実績が30%以下と低い利用率となっていて事業効果の発現が十分でなく、なかには施設が設置後全く使用されていなかったり、目的外に使用されていたり、無断で貸し付けられていたりしているなど補助の目的を達していないと認められるものも見受けられたので、同庁においてこれらの不適切な事態となっていた施設の効率的な利用の促進を図るなどの措置を講じさせるとともに、今後実施する事業についてはその適格性を見極め、事業完了後における運営状況を的確に把握するなどして、補助事業の効果的な実施を図る要があると認め、昭和57年11月に是正改善の処置を要求した。
これに対し、水産庁では、上記の不適切な事態となっていた施設については、実態に即して改善を行わせたうえ、その状況の報告を徴することとし、改善の目途がたたないものは、補助金の返還の処置を講じた。また、今後実施する事業については、本院指摘の趣旨に沿い、58年1月及び同年5月に都道府県に対して、適切な事業計画を策定させるため、事前調査の徹底、既存施設等との機能分担の検討、施設の適正規模の検討等についての具体的な留意事項を定めた通達を発し、補助事業の効果的な実施を図ることとした。