会計名及び科目 | 一般会計 (組識)防衛施設庁 (項)施設運営等関連諸費 | |
部局等の名称 | 防衛施設庁札幌、横浜両防衛施設局 | |
事業名 | 北海道大演習場13号道路改良舗装工事ほか5件 | |
事業主体等 | (委託) 静岡県ほか1市 | |
(補助) 千歳市ほか2町 | ||
事業の概要 | 戦車道の舗装工事を実施するもの | |
工事費 | 398,737,000円 | (委託) 223,163,000円 |
(補助) 175,574,000円 |
上記の各工事において、陸上自衛隊の戦車等の装甲車両がひん繁に走行する演習場内の道路や駐屯地と演習場を結ぶ市町村道(以下これらを「戦車道」という。)の舗装工事の設計に当たり、舗装材料の選定が適切でなかったため、工事費が約4050万円(委託費相当額1290万円、国庫補助金相当額2750万円)不経済となっていた。
このように、工事費が不経済となっているのは、低価な舗装材料で設計・施工させていた戦車道が、数年を経過した現在でも破損を生じていない状況であるのに、これを設計に反映していなかったことによるもので、適切な設計に改める要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
防衛施設庁では、戦車等の走行による騒音、砂塵、振動等を減少させるなどのため、戦車道の舗装工事を進めており、その実施に当たっては、関係のある地方公共団体に委託し又は補助金を交付して施行させている。このうち、札幌防衛施設局及び横浜防衛施設局が昭和58年度に委託又は補助金を交付して施行させた舗装工事6工事(工事費総額3億9873万余円)について検査したところ、次のとおり、舗装工事の設計が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、上記6工事はいずれもセメントコンクリート舗装で施行されており、これらの設計では、表層はセメントコンクリート厚さ25cm、上層路盤は切込砂利同15cm〜20cm及び下層路盤は切込砂利同15cm〜20cmなどとしていた。
しかしながら、仙台防衛施設局では、宮城県黒川郡大衡村に51年度から55年度までの間に実施させた王城寺原演習場周辺の戦車道の舗装工事延長3,971.6mについて、アスファルト舗装で設計・施工させており、その舗装は表層に高安定度特殊アスファルトコンクリート(注) (以下「耐キャタアスコン」という。)を厚さ5cm、基層に粗粒度アスファルトコンクリートを同5cm、上層路盤にセメント安定処理を同20cm及び下層路盤に切込砕石を同20cm使用していた。仙台防衛施設局が耐キャタアスコンを採用したのは、(1)51年度に、耐キャタアスコンほか3種の材料で施工した路面について61式戦車等による走行試験を実施した結果、耐キャタアスコンの表層の場合、旋回の際に多少の切削があるものの、直進ではほとんど影響を受けないこと、(2)耐キャタアスコンを使用した舗装(以下「耐キャタアスコン舗装」という。)は、セメントコンクリート舗装(コンクリート舗装要綱によれば耐用年数は20年)に比べて、おおむね10年後に補修を要するものの、当初の工事費が低価であり、騒音等が軽減されることなどから、耐キャタアスコン舗装は戦車道に適合するとしたためである。
しかして、(1)仙台防衛施設局で施工させた前記耐キャタアスコン舗装の戦車道が4年から8年を経過した現在でもわだち掘れ、はく離等の損傷が発生していない状況であること、(2)北海道、富士の両地区で走行している74式戦車は、そのキャタピラの平均接地圧が61式戦車のそれよりも小さいこと、(3)仙台防衛施設局及び呉防衛施設局では、日本原演習場ほか2箇所の戦車道舗装工事について58年度から耐キャタアスコン舗装で施工させるよう設計していること、(4)耐キャタアスコン舗装による1m2
当たりの単価がセメントコンクリート舗装のそれに比べて約40%低価となることなどから、戦車道の舗装工事について、セメントコンクリート舗装に代えて、耐キャタアスコン舗装を採用するのが適切であったと認められた。
いま、仮に札幌防衛施設局及び横浜防衛施設局が58年度に施行させた前記舗装工事について、耐キャタアスコン舗装で行うこととしてその工事費を修正計算すると、おおむね10年後に必要となる補修費を考慮しても、本件工事費を約4050万円(委託費相当額1290万円、国庫補助金相当額2750万円)低減できたと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、防衛施設庁では、昭和59年11月に戦車道の舗装について耐キャタアスコンを採用するよう各防衛施設局に通達を発し、12月以降の契約分から適用することとする処置を講じた。