ページトップ
  • 昭和58年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第4 文部省|
  • 不当事項|
  • 補助金

補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの


(15)−(21) 補助事業の実施及び経理が不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)文部本省 (項)公立文教施設整備費
部局等の名称 秋田、千葉、神奈川、滋賀、広島各県
補助の根拠 義務教育諸学校施設費国庫負担法(昭和33年法律第81号)等
事業主体 市5、町1、計6事業主体
補助事業 鹿角市立花輸第2中学校校舎増築等7事業
上記に対する国庫補助金交付額の合計 948,180,000円

 上記の7補助事業において、補助の対象とは認められないものを事業費に含めていたり、契約の処置が適切を欠いていたりしていて、国庫補助金146,960,000円が不当と認められる。これを県別に掲げると次表のとおりである。

県名

補助事業 事業主体 補助対象事業費 左に対する国庫補助金 不当と認めた補助対象事業費 不当と認めた国庫補助金

摘要


(15)

秋田県

花輪第2中学校校舎増築等

鹿角市
千円
366,016
千円
238,957
千円
12,283
千円
8,049

契約処置不適切

 この事業は、昭和56年度補助事業として、花輪第二中学校の校舎2,734m2 (うち補助対象面積2,632m2 )を増改築等したもので、鹿角市では補助対象外のものを含めて校舎主体工事、電気設備工事、機械設備工事及び屋外給排水井戸ポンプ設備工事を3業者に計404,833,000円(うち補助対象事業分366,016,000円。なお、当初契約額は398,545,000円)で請け負わせ施行していた。
 しかして、上記工事のうち、校舎主体工事の契約を指名競争に付するに当たり、予定価格は276,425,000円、最低制限価格は予定価格の95.9%に当たる265,257,000円と設定し、6業者を指名して入札を行ったところ、そのうちの2業者の入札価格は最低制限価格を下回る239,500,000円(予定価格の86.6%)及び251,300,000円(同90.9%)であったので、これらの入札者を失格として排除し、予定価格と最低制限価格の範囲内で最低の 265,260,000円(予定価格の95.9%)で入札した業者を落札者と定め契約していた。
 しかし、本件契約は、上記のとおり指名競争入札によっており、同市では、資力、信用、能力等を審査のうえ、契約の内容に適合した履行を十分に期待できる業者を選定して入札に参加させているにもかかわらず、予定価格に対して95.9%という著しく高率な最低制限価格を設定したため、契約の適正な履行が確保できると認められる価格で入札した2業者を排除することとなり、競争契約における競争の利益を著しく阻害し、その結果、最低価格で入札した業者と契約したとした場合に比べて25,760,000円(これに対する補助対象事業費12,283,000円、国庫補助金相当額8,049,000円)割高な契約を締結することとなったのは適切とは認められない。

 

(16) 千葉県 幸谷小学校校舎新築 松戸市 448,492 224,246 51,136 25,568 補助の対象外

 この事業は、昭和58年度補助事業として、馬橋小学校ほか3校から58年4月に1年から5年までの児童による変則開校校として分離新設した幸谷小学校の校舎を新築したもので、同小学校の58年5月1日現在の学級数12学級に応ずる校舎の必要面積2,982m2 から所定の計算方法により差し引くこととなっている関連学校の遊休面積(注) を0m2 であるとして、補助対象面積を2,982m2 とし、これに1m2 当たりの補助単価150,400円を乗じて算出した額を補助対象事業費としていた。
 しかし、上記関連学校の遊休面積を0m2 としたのは誤りで、正当な遊休面積を算定すると1,096m2 であって、これを差し引くべきであったものである。そして、同小学校は59年4月普通開校校となることなどを考慮して、59年4月の予定学級数を算定すると16学級となり、これに応ずる校舎の必要面積は3,738m2 となる。
 したがって、補助対象面積は、この3,738m2 から上記1,096m2 を差し引いた2,642m2 となり、過大な面積340m2 に対する事業費相当額は補助の対象から除外すべきであると認められる。

(注)  関連学校の遊休面積 分離新設校の補助対象面積は、新設校の必要面積から関連学校(分離新設校の開校に伴って、通学区域が変更される学校)の遊休面積を差し引いて算定することになっているが、この関連学校の遊休面積とは、国庫補助金の交付決定年度前3年度内に関連学校が新増改築事業により補助を受けた面積又は、交付決定年度後3年度内に最小となる遊休面積のいずれか小の面積をいう。

(17) 神奈川県 港南台第一小学校校舎増築 横浜市 19,094 12,199 19,094 12,199 補助の対象外

 この事業は、昭和57年度補助事業として、港南台第一小学校の校舎を増築したもので、同小学校の57年5月1日現在の29学級に応ずる校舎の必要面積5,989m2 から保有面積5,833m2 を差し引いた156m2 を補助対象面積とし、これに1m2 当たりの補助単価122,400円を乗じて算出した額を補助対象事業費としていた。しかして、上記の29学級は、57年5月1日現在の同小学校の在籍児童数に基づいた学級数であるとしており、このうち3学年については在籍児童数を181人として、5学級としていた。
 しかし、上記の在籍児童数には既に他に転学していて在籍していない3人を含めていたので、正しい3学年の児童数は178人、学級数は4学級となり、これによれば同小学校の同日現在の学級数は28学級となる。
 したがって、この28学級に応ずる校舎の必要面積5,818m2 に対して保有面積はこれを上回る5,833m2 であるから、本件事業は補助の対象にならないものである。

(18)  同 港南台第四方面校(現小坪小学校)校舎新築 横浜市 568,713 352,875 73,048 36,200 補助の対象外

 この事業は、昭和57年度補助事業として、日野小学校ほか2校から58年4月に分離新設した小坪小学校の校舎を新築したもので、同小学校の60年4月の予定学級数19学級に応ずる校舎の必要面積4,282m2 から所定の計算方法により差し引くこととなっている関連学校の遊休面積を0m2 であるとして、補助対象面積を4,282m2 とし、これに1m2 当たりの補助単価131,500円を乗じて算出した額を補助対象事業費としていた。
 しかし、上記関連学校の遊休面積を0m2 としたのは誤りで、正当な遊休面積を算定すると550m2 であって、これを差し引くべきであったものである。
 したがって、補助対象面積は、前記の19学級に応ずる校舎の必要面積4,282m2 から上記550m2 を差し引いた3,732m2 となり、過大な面積550m2 に対する事業費相当額は補助の対象から除外すべきであると認められる。

(19) 神奈川県 池上中学校校舎増築 横須賀市 96,341 64,227 72,020 48,013 補助の対象外

 この事業は、昭和58年度補助事業として、池上中学校の校舎を増築したもので、同中学校の58年5月1日現在の学級数19学級に応ずる校舎の必要面積5,375m2 から保有面積4,927m2 を差し引いた448m2 に、61年4月までに増加することが明らかである2学級分の校舎面積374m2 を加えた822m2 から差し引かなけれぽならないこととなっている健全建物の事前取壊し面積などを考慮することなく、補助対象面積を822m2 とし、これに1m2 当たりの補助単価116,900円を乗じて算出した額を補助対象事業費としていた。
 しかし、同校では、健全建物の事前取壊し(55年度取壊し)面積が1,310m2 あったのであるから、この面積から、55年度にその年度の必要面積を超えて保有していた面積254m2 と55年度以降横須賀市が単独で復旧した面積440m2 とを除いた616m2 を、上記822m2 から差し引くべきであったと認められる。
 したがって、補助対象面積は、この822m2 から616m2 を差し引いた206m2 となり、過大な面積616m2 に対する事業費相当額は補助の対象から除外すべきであると認められる。

(20) 滋賀県 南郷小学校校舎増築 大津市 52,907 35,271 20,655 13,770 補助の対象外

 この事業は、昭和57年度補助事業として、南郷小学校の校舎を増築したもので、同小学校の58年4月の予定学級数31学級に応ずる校舎の必要面積6,328m2 から保有面積5,890m2 を差し引いた438m2 を補助対象面積とし、これに1m2 当たりの補助単価119,600円を乗じて算出した額を補助対象事業費としていた。しかして、上記の31学級は、57年5月1日現在の同小学校の1年から5年までの在籍児童数に、同日現在の住民台帳に基づく58年度の入学予定児童数を加え、これらに集団住宅327戸の建設に伴い増加が予測される各学年ごとの児童数25人をそれぞれ加えた数に基づいて算定していたものである。
 しかし、上記の集団住宅戸数には誤りがあり、正当な集団住宅戸数130戸によればその建設に伴う各学年ごとの増加予測児童数は10人で、予定学級数は30学級となる。
 したがって、補助対象面積は、この30学級に応ずる校舎の必要面積6,157m2 から保有面積5,890m2 を差し引いた267m2 となり、過大な面積171m2 に対する事業費相当額は補助の対象から除外すべきであると認められる。

(21) 広島県 南海田小学校校舎増築 安芸郡海田町 40,810 20,405 6,322 3,161 補助の対象外

 この事業は、昭和57年度補助事業として、南海田小学校の校舎を増築したもので、同小学校の60年4月の予定学級数27学級に応ずる校舎の必要面積5,650m2 から保有面積4,826m2 を差し引いた824m2 のうち368m2 を補助対象面積とし、これに1m2 当たりの補助単価109,800円を乗じて算出した額を補助対象事業費としていた。しかして、上記の27学級は、57年5月1日現在の同小学校の1年から3年までの在籍児童数に、同日現在の住民台帳に基づく58年度から60年度までの入学予定児童数を加えた数に基づいて算定していたものである。
 しかし、上記の入学予定児童数には誤りがあって、正当な入学予定児童数によれば60年4月の予定学級数は23学級となる。そして、同小学校の場合、57年5月1日現在の学級数は24学級であるから、補助対象面積は、これによりその24学級に応ずる校舎の必要面積5,137m2 から保有面積4,826m2 を差し引いた311m2 となり、過大な面積57m2 に対する事業費相当額は補助の対象から除外すべきであると認められる。

1,592,373 948,180 254,558 146,960