国有財産の管理が適切を欠いているもの

---

（４３）　国有財産の管理が適切を欠いているもの

　上記国有財産について、貸し付けていない土地が無断で使用されていたり、農耕目的に貸し付けている土地が、他用途に転用されていたり、全く耕作されていなかったりなどしているものが４７件、１７，０４３．６m² あるのに、原状回復その他適切な処置が講じられておらず、管理が適切を欠いていると認められる。

（説明）

　自作農創設特別措置特別会計に所属する国有財産については、従来その管理が適切を欠いている事態が多数見受けられたことから、その根本的な是正を図る要があるとして、昭和３７年６月是正改善の処置を要求し、その後も再三にわたり注意を喚起してきたところである。
　しかして、５９年９月本院において、急速に市街地化が進んでいる東京都及び神奈川県の市街化区域内に所在する土地７０３，９５０m² のうち１５６，４３０m² について、その管理状況を実地に検査したところ、貸し付けていない土地が無断で使用されていたり、農耕目的に貸し付けている土地が、他用途に転用されていたり、全く耕作されていなかったりなどしている事態が次表のとおり、４７件、１７，０４３．６m² 見受けられた。
　これらについては、原状回復その他適切な処置を講ずるべきであるのに、その処置が執られておらず、国有財産の管理が適切を欠いていると認められる。
　いま、仮にこれらの土地について５８年度の固定資産課税台帳登録価格（当該地に登録価格が設定されていない場合は、近傍類似地の登録価格）により評価額を試算すると５７８，６８６，２１６円となる。

　これらの事態のうち、主な事例を挙げると次のとおりである。

１　貸し付けていない土地が無断で使用されているもの

＜事例１＞

　この土地は、昭和２３年３月に買収したものであるが、３０年４月耕作者２名に農耕目的に貸し付けたところ、同２名が３８年８月ごろから旅客自動車運送業者に操車場として転貸していたので農耕貸付けを解除し、この業者に原状回復させたものの、再び同じ業者に４７年ごろから操車場として無断で使用されている。

＜事例２＞

　この土地は、昭和２２年１２月に買収したものであるが、買収と同時に耕作者１名に農耕目的に貸し付けたところ、同人が３９年ごろから住宅用地に転用していたため、農耕貸付けを解除したものの、当時の状態のまま現在まで住宅用地として使用されている。

２　農耕目的に貸し付けている土地が他用途に転用されているもの

＜事例＞

　この土地は、昭和２３年３月に買収したものであるが、３０年４月耕作者１名に農耕目的に貸し付けたところ、同人により５１年４月から８４９m² のうち２２０m² を駐車場用地として使用されている。

３　農耕目的に貸し付けている土地が全く耕作されていないもの

＜事例＞

　この土地は、昭和２２年１２月に買収したものであるが、３０年４月耕作者１名に農耕目的に貸し付けたところ、５１年ごろから全く耕作しないまま放置されている。

４　土地の所在及び境界が不明となっているもの

＜事例＞

　この土地は、昭和２３年７月に買収したものであるが、公図上該当地と思料される土地に住宅が建てられていて、土地の所在及び境界が不明となっている。