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  • 昭和58年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第7 通商産業省|
  • 不当事項|
  • 補助金

中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの


(49)−(60) 中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)中小企業庁 (項)中小企業対策費
部局等の名称 札幌、東京、大阪、広島、福岡各通商産業局、沖縄総合事務局
助成の根拠 中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号)
事業主体 北海道ほか9府県
事業の内容 中小企業者に無利子で貸し付ける設備近代化資金の貸付け
貸付先 12中小企業者
貸付額の合計 126,553,000円(国庫補助金相当額63,276,500円)

 上記の12中小企業者に対する126,553,000円の貸付けにおいて、69,345,541円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額34,672,770円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。これを道府県別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)

 この事業は、都道府県が国の補助金と自己資金等によって資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、必要と認めた資金の額の2分の1以内を無利子で貸し付ける事業であり、その貸付けに当たっては次のような条件により貸付けを行うこととしている。すなわち、貸付対象設備は新品又は新品と同程度の性能を有する設備であること、設備設置代金の支払期限について都道府県からの貸付金相当額については貸付年度中(ただし、年度末の3月から翌年度の5月までに資金を交付した場合はその交付後1箇月以内)に支払うものとし、貸付限度額は20万円以上、1500万円以下とするほか、償還期間は5年以内(公害防止設備は12年以内)としている。

 しかして、この事業の実施について調査したところ、前記の12中小企業者に対する126,553,000円の貸付けにおいて、借主が、設備を貸付対象事業費より低額で設置したり、中古品を設置したりしていたなどのため、69,345,541円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額34,672,770円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。

(別表)

道府県名 貸付先 貸付対象 貸付
昭和年月
貸付対象事業費
(同上に対する貸付額)
貸付対象として適切でない事業費
(同上に対する貸付金相当額)
補助の目的に沿わない結果になった国庫補助金相当額

摘要


(49)

北海道

運送業者

特殊車両

58.11
千円
21,700
(10,850)
千円
21,700
(10,850)
千円
5,425


貸付対象外

 この貸付けは、特殊車両2両の所要資金23,050,000円(うち貸付対象事業費分21,700,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は23,050,000円で設備を設置し、その代金のうち貸付金相当額を昭和58年11月に支払ったとしているが、実際は、22,493,350円(うち貸付対象事業費分20,000,000円)で設置していたばかりでなく、その支払も、所定の額について所定の期限までに行われていなかった。
 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。

(50) 茨城県 印刷業者 印刷機 57.9 23,000
(11,472)
23,000
(11,472)
5,736 貸付対象外

 この貸付けは、印刷機1台の所要資金23,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で新品の設備を設置したとしているが、実際は、昭和48年8月に販売され、数会社の間で転売された中古品であった。
 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。

(51) 埼玉県 食料品製造業者 自動製きく装置 58.2 30,000
(15,000)
10,000
(5,000)
2,500 低額設置

 この貸付けは、自動製きく装置(こうじ発酵装置)1基の所要資金30,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象事業費より低額な20,000,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は10,000,000円となり、本件貸付額15,000,000円との差額5,000,000円は過大な貸付けとなっている。

(52) 新潟県 可そ物製品製造業者 成型機 57.9 21,700
(10,800)
5,105
(2,502)
1,251 低額設置

 この貸付けは、成型機1台の所要資金22,000,000円(うち貸付対象事業費分21,700,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は22,000,000円で設備を設置したとしているが、実際は、この価格より低額な17,630,000円(うち貸付対象事業費分16,594,849円)で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は8,297,424円となり、本件貸付額10,800,000円との差額2,502,576円は過大な貸付けとなっている。

(53)  同 建設業者 建柱車 57.10 13,000
(6,500)
5,512
(2,756)
1,378 低額設置

 この貸付けは、建柱車1台の所要資金13,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象事業費より低額な7,487,270円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は3,743,635円となり、本件貸付額6,500,000円との差額2,756,365円は過大な貸付けとなっている。

(54) 大阪府 可そ物製品製造業者 成型機及び乾燥装置 57.9 25,010
(12,505)
10,590
(5,295)
2,647 低額設置

 この貸付けは、成型機1台及び乾燥装置1台の所要資金25,010,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象事業費より低額な14,420,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は7,210,000円となり、本件貸付額12,505,000円との差額5,295,000円は過大な貸付けとなっている。

(55) 和歌山県 小売業者 冷蔵ケースほか13 57.12 31,137
(14,036)
20,737
(8,836)
4,418 低額設置

 この貸付けは、冷蔵ケースほか13設備の所要資金31,137,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象事業費より低額な10,400,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は5,200,000円となり、本件貸付額14,036,000円との差額8,836,000円は過大な貸付けとなっている。

(56) 広島県 一般産業用機械器具製造業者 立体マシニングセンター 57.8 29,450
(14,120)
9,338
(4,064)
2,032 低額設置

 この貸付けは、立体マシニングセンター(自動金属加工機)1台の所要資金29,450,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象事業費より低額な20,111,800円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は10,055,900円となり、本件貸付額14,120,000円との差額4,064,100円は過大な貸付けとなっている。

(57) 山口県 食料品製造業者 汚水処理設備 57.9 25,000(12,000) 5,939
(2,469)
1,234 低額設置

 この貸付けは、汚水処理設備一式の所要資金25,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置したとしているが、実際は、貸付対象事業費より低額な19,061,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は9,530,500円となり、本件貸付額12,000,000円との差額2,469,500円は過大な貸付けとなっている。

(58) 福岡県 木製品製造業者 乾燥装置 58.3 18,000
(9,000)
18,000
(9,000)
4,500 貸付対象外

 この貸付けは、乾燥装置2基の所要資金18,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は貸付対象事業費どおりの価格で設備を設置し、その代金のうち貸付金相当額を昭和58年3月に支払ったとしているが、実際は、15,000,000円で設置していたばかりでなく、その支払も所定の期限までに行われていなかった。
 したがって、本件設備は貸付対象にならないものである。

(59) 福岡県 製材業者 バーカほか4 58.3 11,280
(5,640)
4,940
(2,470)
1,235 低額設置

 この貸付けは、バーカ(原木皮はぎ機)ほか4設備の所要資金11,804,760円(うち貸付対象事業費分11,280,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は11,804,760円で設備を設置したとしているが、実際は、この価格より低額な6,636,396円(うち貸付対象事業費分6,340,000円)で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は3,170,000円となり、本件貸付額5,640,000円との差額2,470,000円は過大な貸付けとなっている。

(60) 沖縄県 建設業者 掘削機 58.4 9,260
(4,630)
9,260
(4,630)
2,315 重複融資

 この貸付けは、掘削機1台の所要資金11,500,000円(うち貸付対象事業費分9,260,000円)の一部として貸し付けたものであるが、借主はこの貸付けを受ける以前に本件貸付対象を事業費13,500,000円(うち貸付対象事業費10,000,000円)として沖縄振興開発金融公庫から長期資金10,000,000円を借り入れていた。
 したがって、本件貸付けはその要はないものである。

258,537
(126,553)
144,122
(69,345)
34,672