会計名及び科目 | 郵政事業特別会計 (項)業務費 |
部局等の名称 | 東京、信越、近畿、中国、四国、九州、北海道各郵政局及び沖縄郵政管理事務所 |
契約名 | 郵便物運送委託契約(委託期間昭和58年4月〜59年3月随意契約) |
委託業務の概要 | 船舶による郵便物の運送及びこれに伴う附帯作業 |
契約の相手方 | 琉球海運株式会社ほか20会社 |
契約金額 | 1,383,827,498円 |
上記の部局では、船舶による郵便物の運送委託契約に当たり、船舶請負料の算定が適切でなかったため、請負料が約3億9900万円過大となっていた。
このように、請負料が過大となっているのは、算定基準に定める1t当たりの換算郵袋数が運送の実態と著しく相違しているのに、これを算定基準に反映していなかったことによるもので、運送の実態に即した算定基準に改める要があると認められた。
上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。
(説明)
郵政省では、東京・那覇航路ほか129航路に水路郵便線路を設定し、郵便物運送委託法(昭和24年法律第284号)に基づき、船舶による郵便物の運送業務を琉球海運株式会社ほか109会社等に委託し、郵便物を原則として郵袋の荷姿で海上運送させ、港湾での荷役作業等を併せて行わせることとしている。このうち東京郵政局ほか7郵政局等が昭和58年度に請け負わせている東京・那覇線路ほか23線路の郵便物の運送業務について検査したところ、次のとおり、船舶請負料の算定が適切でないと認められる点が見受けられた。
すなわち、本件船舶請負料は、海上運送料とこれに附帯する港湾作業料(船内荷役料、沿岸荷役料、はしけ運送料)等から構成されており、これらは郵便集配運送請負料等算出内規(昭和43年3月9日付け郵務局長通達郵郵輸第15号。以下「算出内規」という。)に基づいて次のように算定することとなっている。
(1) 海上運送料は、郵便物運送委託法第5条の規定に基づいて運輸大臣が航路別に定めた1t・1km当たりの料金に、郵便受渡港の区間のキロ程を乗じ、さらに、当該線路における各郵便受渡港の区間ごとの1日(上り下りの別、便別、区間別)当たりの郵袋数を、航路別に定めた1t(1.133m3 を1tとする容積トン。以下「1t」という。)当たりの換算郵袋数である15個、17個又は21個で除して算出した標準積載トン数を乗じて得た額に運行便数を乗ずるなどして算定することとしている。
(2) 港湾作業料は、指定港(港湾運送事業法(昭和26年法律第161号)第2条第4項に定める港湾)の場合は、運輸大臣の認可料金を勘案して定めた1t当たりの料金を、海上運送料の場合と同様に航路別に定めた1t当たりの換算郵袋数で除し、さらに、郵便受渡港における郵袋数及び運行便数を乗ずるなどして算定することとしている。指定港以外の港湾の場合は、郵政省が定めた郵袋1個当たりの基本料を基礎として算定することとしている。
このように、海上運送料及び指定港における港湾作業料の算定については、算出内規で定めている1t当たりの換算郵袋数が海上運送料等の算定の重要な要素となっている。
しかして、近年において郵袋を取り扱う職員の腰痛防止及び作業性の観点等から郵袋が小型、軽量化していると思料されたので、58年度請負料の大部分を占める全国の主要な上記24線路において、会計実地検査の際、郵袋10,014個の体積の実態を調査したところ、郵袋1個当たりの各線路別の体積は0.020m3 から0.045m3 となっており、これを1t当たりの郵袋数に換算すると、算出内規で1t当たりの換算郵袋数を15個と定めている航路では34個から36個でその加重平均は36個、17個と定めている航路では25個から49個でその加重平均は34個、また、21個と定めている航路では30個から56個でその加重平均は40個となる状況であり、算出内規で定めている1t当たりの換算郵袋数との間に著しい開差を生じていた。
いま、仮に郵便物の運送を委託している実情等を考慮し、郵袋1個当たりの平均体積が最大となっている線路の1t当たりの郵袋数である25個をすべての航路に適用することとして計算したとしても、請負料を約3億9900万円低減できたと認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、郵政省では、昭和59年10月に郵便集配運送請負料等算出内規の1t当たりの換算郵袋数を運送の実態に即したものに改め、11月以降更新する契約から適用することとする処置を講じた。