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  • 昭和58年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
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労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの


(104) 労働保険の保険料の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(徴収勘定) (款)保険収入 (項)保険料収入
部局等の名称 北海道労働基準局ほか23労働基準局、北海道ほか6都県
保険料納付義務者 1,107事業主

 上記の1,107事業主から保険料を徴収するに当たって、調査が十分でなかったため、徴収額が不足していたものが931事業主分610,202,369円、徴収額が過大になっていたものが262事業主分80,186,986円あった。(注) これらについては、本院の注意により、すべて徴収決定又は還付決定の処置が執られた。これを都道府県労働基準局及び都道県ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。
 これは、北海道労働基準局ほか23労働基準局及び北海道ほか7都県管内の2,205事業主について本院が調査した結果である。 

(注)  同一事業主について年度を異にして徴収不足及び徴収過大の事態があった場合は、それぞれ1事業主として掲記した。

(説明)

 労働保険は労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)及び雇用保険を総称するものであるが、いずれも工場、事務所、商店及び建設工事等に雇われる労働者を被保険者とし、労災保険にあっては業務上の事由又は通勤による疾病、負傷等に対し療養補償給付等を、また、雇用保険にあっては失業等に対し失業給付等を行う保険である。そして、その保険料は、労災保険分については、事業主が負担し、雇用保険分については、失業給付に充てる部分は被保険者と事業主とが折半して負担し、雇用安定事業等に充てる部分は事業主が負担することになっている。これらの事業主は、原則として、毎年度の初めに、その年度の労働者に支払う賃金総額の見込額に、労災保険率(注1) と雇用保険率(注2) とを合計した保険料率を乗じた概算保険料を都道府県労働基準局又は都道府県に申告、納付し、次の年度の初めに、実際に支払った賃金総額に基づいて計算した確定保険料申告書を提出して精算することになっており、この申告書の提出を受けた都道府県労働基準局及び都道府県は申告書の記載内容を審査確認し、誤りがあるときは、正当な保険料の額を決定してこれを事業主に通知し、保険料の過不足分を精算することになっている。
 しかして、保険料徴収の適否について検査したところ、前記の24労働基準局及び7都道県では、事業主が確定保険料申告書を提出するに当たり、実際に支払った賃金の一部を脱漏しているなど賃金総額の記載が事実と相違していたり、労災保険率の適用を誤っていたりなどしていたものがあったのに、これに対する調査が十分でなかったため、本院が調査した2,167事業主分のうち、931事業主分610,202,369円が徴収不足、262事業主分80,186,986円が徴収過大になっていた。

(注1)  労災保険率 労災保険の適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害及び通勤災害に係る災害率等を考慮して定められており、事業の種類ごとに昭和58年度の場合は最低1000分の5から最高1000分の129となっている。

(注2)  雇用保険率 失業給付、雇用安定事業等に要する費用を考慮して定められており、58年度の場合は1000分の14.5(ただし、農林、水産等の事業は1000分の16.5、建設の事業は1000分の17.5)となっている。

(別表)

労働基準局・都道県名 本院が調査した事業主数 徴収不足があった事業主数
徴収過大があった事業主数
徴収不足額徴収過大額(△)
千円
北海道労働基準局 68 32
10
11,538
△3,149
秋田労働基準局 42 16
-
2,028
-
山形労働基準局 43 13
9
3,370
△1,370
茨城労働基準局 49 22
3
18,258
△696
群馬労働基準局 43 17
4
5,845
△3,407
埼玉労働基準局 173 70
19
69,353
△7,502
千葉労働基準局 81 31
12
35,152
△4,328
東京労働基準局 252 133
44
97,051
△17,503
神奈川労働基準局 169 78
25
49,956
△8,295
新潟労働基準局 47 22
8
19,022
△2,962
富山労働基準局 36 6
-
1,267
-
石川労働基準局 25 15
-
6,412
-
静岡労働基準局 39 17
4
7,299
△1,651
愛知労働基準局 138 60
34
76,692
△5,142
大阪労働基準局 154 54
19
48,125
△5,468
兵庫労働基準局 120 44
11
32,454
△3,487
島根労働基準局 29 11
-
4,482
-
広島労働基準局 90 42
19
12,488
△4,598
香川労働基準局 55 23
-
14,352
-
高知労働基準局 74 27
2
6,749
△618
福岡労働基準局 95 21
16
7,872
△4,708
長崎労働基準局 41 19
-
7,892
-
大分労働基準局 32 9
-
8,878
-
宮崎労働基準局 34 14
2
3,955
△558
北海道 36 25
-
6,661
-
千葉県 22 15
4
5,371
△633
東京都 60 25
6
24,410
△1,038
神奈川県 49 26
7
9,053
△1,172
静岡県 17 10
-
4,620
-
島根県 24 15
4
2,077
△1,891
香川県 30 19
-
7,506
-
2,167 931
262
610,202
△80,186