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この契約の予定価格の積算に当たり、給水作業を必要とする車両は水タンクの付いている車両に限られているのに、水タンクの付いていない車両についても給水作業を行うこととしたため、昭和57年度約1960万円、58年度約1490万円計約3460万円が過大に支払われているものと認められる。
(説明)
この作業は、東京駅において折返し運転する東海道線列車のうち当局が指定した列車について、車内清掃作業及び車両の水タンクヘの給水作業を請負により行わせるものである。そして、それらの作業を請け負わせるに当たっては、特急車、急行車、普通車別に定めた車両1両当たり単価により行っている。
しかして、各列車種別の車両1両当たり単価の予定価格の積算についてみると、列車内清掃等作業の実態調査の結果を基にして特急車、急行車、普通車別に定めた清掃作業の時分に給水作業の時分を加えた1両当たり作業時分を基に車内清掃作業及び給水作業に直接従事する作業員(以下「直接作業員」という。)の車両1両当たり直接作業人工を、昭和57年度は0.070人から0.145人、58年度は0.070人から0.146人と算出し、これに1人1日当たり労務費を乗じて直接作業員に係る1両当たり労務費を算出の上、これに作業の指導監督等の間接作業に従事する作業員に係る労務費、物件費及び管理費を加えて、1両当たり単価を57年度は712円26から1,444円90、58年度は754円22から1,509円90と算定している。
しかしながら、上記の予定価格の内訳についてみると、次のとおり積算が過大になっていると認められる点が見受けられた。
すなわち、予定価格の積算に当たり当局が指定した列車のすべての車両について車内清掃作業及び給水作業を行うこととしているが、給水作業を必要とする車両は水タンクの付いている車両に限られているのであるから、これらの車両については車内清掃作業及び給水作業を行うこととし、その他の車両については車内清掃作業だけを行うこととして、1両当たり単価を積算すべきであったと認められる。
したがって、車内清掃作業だけを行う車両の1両当たり単価の予定価格については、1両当たりの清掃作業だけの時分を基に積算すべきであり、これにより車両1両当たり直接作業人工を算出すると、57年度は0.052人から0.127人、58年度は0.052人から0.128人となるので、これに所要の経費を加えて1両当たり単価を計算すると、57年度は536円29から1,268円73、58年度は571円32から1,326円47となる。
いま、仮に作業実施車両を車内清掃作業だけを実施した車両(57年度167,563両、58年度156,520両)、車内清掃作業及び給水作業を実施した車両(57年度168,414両、58年度151,688両)に区分して、上記により57年度及び58年度の支払額を修正計算すると、当局の積算における過少積算額を考慮しても57年度237,464,323円、58年度230,559,646円計468,023,969円となり、本件支払額はこれに比べ57年度約1960万円、58年度約1490万円計約3460万円が過大に支払われているものと認められる。