科目 | (損益勘定) (項)営業費 |
部局等の名称 | 札幌、秋田、新潟、水戸、千葉、東京北、長野、静岡、大阪、天王寺、岡山、広島、門司各鉄道管理局 |
委託発売手数料の概要 | 日本国有鉄道の委託を受けて乗車券類の発売等の業務を行う業者に対して支払う手数料 |
委託発売手数料 | 294,372千円(昭和58年度) |
上記部局管内の札幌駅ほか23駅の日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)の旅行センターにおいて、国鉄職員の営業活動による乗車券類を提携業者の旅行センターに発売させ、これに係る委託発売手数料約2億6153万円を国鉄から提携業者に支払っており、不経済となっていた。
これは、国鉄の旅行センターに常備する乗車券類の範囲に関する取扱いを明確にしていなかったこと。各鉄道管理局に対する本社の指導が十分でなかったことなどによると認められた。
したがって、国鉄では、国鉄の旅行センターに常備する乗車券類の範囲に関する取扱いを明確にして各鉄道管理局に対する指導の徹底を図るなどの措置を講じて、国鉄職員の営業活動による乗車券類はできるだけ国鉄の旅行センターで直接発売することとし、委託発売手数料の節減を図るよう改善の要がある。
上記に関し、昭和59年11月29日、日本国有鉄道総裁に対して是正改善の処置を要求したが、その全文は以下のとおりである。
日本国有鉄道(以下「国鉄」という。)では、総合旅行商品の販売及び広域的な営業活動を行う拠点として、四国総局及び札幌鉄道管理局ほか22鉄道管理局管内の札幌駅ほか60駅に旅行センターを設置しており、これらの旅行センターでは、国鉄の旅行センターと同一場所に設置されている国鉄の委託を受けて乗車券類の発売等の業務を行う業者(以下「提携業者」という。)の旅行センターと提携して、国鉄の乗車券類の発売等の業務を行っており、昭和58年度における乗車券類の発売による収入は、国鉄の旅行センターで28,987,216千円、提携業者の旅行センターで49,274,715千円、計78,261,931千円となっている。そして、上記の提携業者の旅行センターでの乗車券類の発売による収入49,274,715千円のうちには、国鉄職員の得意先訪問等の営業活動による乗車券類を提携業者の旅行センターで発売したことによる収入が5,988,035千円含まれており、国鉄では、これに係る委託発売手数料として309,816千円を支払っている。
しかして、札幌鉄道管理局ほか12鉄道管理局管内(注1)
の札幌駅ほか23駅(注2)
の旅行センターについてみると、提携業者の旅行センターで発売した額25,827,089千円のうちに、国鉄職員の営業活動によるものが5,703,356千円(これに係る委託発売手数料294,372千円)含まれており、これについて調査したところ、次のような事態が見受けられた。
すなわち、国鉄職員の営業活動による乗車券類を提携業者の旅行センターに発売させているもののなかには、
(ア) 国鉄の旅行センターに急行回数乗車券等の乗車券類を常備していなかったため提携業者の旅行センターに発売させているが、旅客営業取扱基準規程(昭和41年旅・自達第3号)等により、各鉄道管理局長が乗車券類の発売箇所を乗車券類の種類ごとに定めることとなっているのであるから、国鉄の旅行センターに急行回数乗車券等を常備すれば発売することができるもの
(イ) 国鉄の旅行センターで旅客運賃・料金の後払いの取扱いをしていなかったため提携業者の旅行センターに発売させているが、「旅客運賃及び料金の後払の取扱いについて」(昭和57年旅営第435号通達)により、乗車券類の年間購入額が1000万円以上の大口顧客が旅客運賃・料金の後払いを希望する場合に各鉄道管理局長が大口顧客と「旅客運賃・料金の後払扱に関する契約」を締結すれば国鉄の旅行センターで発売することができるもの
(ウ) 旅客から乗車券類とあわせて他運輸機関の船車券や旅館等の宿泊券(以下「船車券等」という。)の申込みを受けたため提携業者の旅行センターに乗車券類を船車券等とあわせて発売させているが、乗車券類を船車券等と分離して国鉄の旅行センターで取り扱えば発売することができるもの
などが見受けられた。
したがって、国鉄職員の営業活動による乗車券類のうち普通周遊乗車券等、国鉄の旅行センターで発売することが困難なものを除き、国鉄の旅行センターにおいて直接発売して委託発売手数料の節減を図る要があると認められる。
いま、仮に前記24駅の旅行センターにおいて、国鉄職員の営業活動による乗車券類を提携業者に発売させたもの5,703,356千円のうち、国鉄の旅行センターで発売することが困難であると認められる普通周遊乗車券等645,079千円を除き、5,058,276千円を国鉄の旅行センターで発売していたとすれば、この金額に係る委託発売手数料約2億6153万円が節減できたものと認められる。
このような事態を生じたのは、国鉄では47年に定めた「旅行センターの設置等について」(昭和47年旅営第400号通達)により、国鉄の旅行センターで乗車券類の発売を行わず、これを提携業者の旅行センターにゆだねることとしていたのを、51年に定めた「旅行センターの業務の運営等について」(昭和51年旅営第417号通達)により国鉄の旅行センターでも乗車券類を発売できることとしたが、国鉄の旅行センターに常備する乗車券類の範囲に関する取扱い及び船車券等とあわせて乗車券類の申込みを受けた場合の取扱いを明確にしていなかったこと、各鉄道管理局に対する本社の指導が十分でなかったことなどによるものと認められる。
ついては、国鉄では、今後も旅行センターを拠点として広域的な営業活動を積極的に行っていくこととしているのであるから、上記の事態にかんがみ、国鉄の旅行センターに常備する乗車券類の範囲に関する取扱いなどを明確にして各鉄道管理局に対する指導の徹底を図るとともに、前記通達「旅客運賃及び料金の後払の取扱いについて」についてもさらに周知徹底を図ることにより、国鉄職員の営業活動による乗車券類はできるだけ国鉄の旅行センターで直接発売することとし、もって委託発売手数料の節減を図る要があると認められる。
よって、会計検査院法第34条の規定により、上記の処置を要求する。
(注1) 札幌鉄道管理局ほか12鉄道管理局 札幌、秋田、新潟、水戸、千葉、東京北、長野、静岡、大阪、天王寺、岡山、広島、門司各鉄道管理局
(注2) 札幌駅ほか23駅 札幌、山形、新潟、長岡、水戸、千葉、小山、長野、浜松、京都、大阪、三ノ宮、姫路、天王寺、和歌山、岡山、福山、広島、下関、呉、徳山、岩国、小倉、博多各駅