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  • 昭和58年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第6 医療金融公庫|
  • 不当事項|
  • 貸付金

新築資金等の貸付けが不当と認められるもの


(146)−(148) 新築資金等の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 医療金融公庫
貸付けの根拠 医療金融公庫法(昭和35年法律第95号)
貸付金の種類 新築資金、機械購入資金
貸付けの内容 私立の診療所の開設者に対する新築資金等の貸付け
受託金融機関 株式会社東邦銀行ほか2受託金融機関
貸付件数 3件
貸付金の合計額 178,184,000円

 上記の貸付けは、貸付けの目的に沿わない結果になっていて、貸付金21,751,000円が不当と認められる。これを貸付先別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)

 医療金融公庫では、医療金融公庫法の規定により、私立の病院、診療所等を開設する個人又は医療法人等に対し、病院、診療所等の設置、整備又は運営に必要な資金であって、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。
 このうち、金融機関に委託して貸付けを行う場合は、借入申込者からの借入申込書とその添付書類等について受託金融機関が審査した後、同公庫において所定の条件に合致していると認定したものについて貸付決定し、事業の進ちょく状況に応じて受託金融機関を経由して貸し付けることになっている。そして、受託金融機関においては、事業の完成及び事業費の支払状況等を確認して、貸付金が適正な使途に充てられているか調査確認することとしている。
 しかして、上記の貸付け3件についてみると、同公庫の指導監督が十分でなく、受託金融機関における調査確認が適切でなかったため、貸付金額を過大に算定していたり、貸付けの対象とならないものに貸し付けていたりしていて、貸付けが不当と認められるものが21,751,000円見受けられた。

(別表)

受託金融機関
(取扱店)
貸付先 貸付対象

貸付 
昭和年月
(貸付利率)

貸付金額

貸付金額のうち不当と認めた額

摘要

        千円 千円  

(新築資金)

(146) 株式会社東邦銀行
(白河支店)
内科医師 診療所の新築 57.8
(年7.3%)
67,000 10,018 貸付過大
 この貸付けは、診療所の新築に必要な資金104,100,000円について所定の方式により標準建設費の額を84,151,000円と算定し、67,000,000円を貸し付けたものである。しかし、借受人は工事費のうち廃棄物処理設備費、空気調和設備費等の特殊附帯設備費を31,710,000円としていたが、実際は17,190,000円であったなどのため、標準建設費の額は71,228,000円となり、これにより適正な貸付金額を計算すると56,982,000円となるので、本件貸付金額との差額10,018,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、昭和59年9月、繰上償還の措置が執られた。

(147) 株式会社関西相互銀行
(平野支店)
外科医師 診療所の新築 58.10
(年7.3%)
103,184 3,733 貸付過大
 この貸付けは、診療所の新築に必要な資金177,500,000円について貸付対象面積の計算基礎となる病床数を19床として所定の方式により標準建設費の額を128,980,000円と算定し、103,184,000円を貸し付けたものである。しかし、借受人が実際に設置したのは医療法(昭和23年法律第205号)に基づく使用許可が得られた15床であったなどのため、標準建設費の額は124,314,000円となり、これにより適正な貸付金額を計算すると99,451,000円となるので、本件貸付金額との差額3,733,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、昭和59年6月、繰上償還の措置が執られた。

(機械購入資金)

(148) 株式会社鹿児島銀行
(荒田支店)
外科医師 診療所の機械器具の購入 57.3
(年8.3%)
8,000 8,000 貸付対象外
 この貸付けは、ファイバースコープ1台ほか20品目の購入に必要な資金10,232,000円について貸付限度額である8,000,000円を貸し付けたものである。しかし、借受人は本件資金によってこれら機械器具を購入したとしているが、実際は、貸付日前に購入設置していたり、リース契約により賃借したりなどしていたものであって、本件機械器具はいずれも本件資金により購入したものではないから貸付対象とはならないものである。
 なお、昭和59年6月末現在の不当貸付金残高は4,200,000円で、これについては、本院の注意により、同年7月、繰上償還の措置が執られた。

178,184 21,751