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  • 昭和58年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第7 日本道路公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

高速道路等の通行料金の本社への送金回数を適切なものに改善させたもの


(1)  高速道路等の通行料金の本社への送金回数を適切なものに改善させたもの

科目 (款)業務外収入 (項)利息収入
部局等の名称 日本道路公団本社
送金の概要 各地の料金所で収受した通行料金を本社へ送金するもの
料金所箇所数 381箇所
通行料金収受額 564,197,584,867円
(うち日平均収受額1000万円以上の32料金所の額200,353,755,282円)
受取利息額 1,303,564,922円(昭和58事業年度)

 上記の通行料金の本社への送金に当たり、送金回数が適切でなかったため、利息収入額が約5500万円低額となっていた。
 このように利息収入額が低額となっていたのは、近年通行料金収入の額が著しく増大しており、また、通行料金を収受する料金所間で収受額に開差が生じているにもかかわらず、通行料金の本社への送金回数を一律に月3回としていたことによるもので、料金収受額の規模等を勘案して適切な送金回数に改める要があると認められた。

上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 日本道路公団(以下「公団」という。)では、高速道路及び一般有料道路の管理を行っており、これらの道路を通行する車両から通行料金(以下「料金」という。)を381箇所の料金所で収受しており、この収受した料金は、毎月定期的に本社へ送金(以下「集中」という。)されていて、昭和58事業年度における料金収受額は5641億余円(1日平均15億余円)に上っている。

 そして、本社ではこの集中した資金を他の収入金と併せ、工事費、管理費等の支出に充てるまでの間は、業務上の余裕金として、譲渡性預金の条件付売買、債券の条件付売買及び短期国債の売買等により運用しており、これによる受取利息は58事業年度で13億0356万余円となっている。

 しかして、料金の集中状況について本院が検査したところ、次のとおり、本社への集中回数が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、収受した料金の取扱いについては、公団の管理事務所等が料金所付近の銀行と集金、集中についての協定を締結し、銀行はこの協定に基づき毎日集金して、これを公団名義の普通預金口座に入金し、毎月原則として3回の指定期日に本社資金課長通知預金口座に集中させている。そして、集中回数は46年に経理部長通達(昭和46年経資第141号)で道路別にその上限を3回と定めて以来、現行の経理部長通達(昭和58年経資第80号)に引き継がれたもので、1箇月の集中回数を原則として3回としたのは、本社から建設局、管理局等への資金の送金回数を原則として月3回としていることなどから、これにならったとのことである。

 しかしながら、集中回数を支払資金の送金回数に合わせる必要はなく、さらに、料金収入規模は、46事業年度には836億余円であったものが道路の延伸等に伴い58事業年度には5641億余円と飛躍的に増加し、日平均1000万円を超える多額の料金を収受している料金所が32箇所もあって、その年間料金収受額も2003億余円と全体の35%を占めている状況であり、一方、日平均料金収受額が100万円に満たない料金所もあって、料金所間で著しい開差を生じているのに、集中回数を一律に月3回としているのは適切でなく、このため多額の資金が利回りの低い普通預金口座に平均5.6日間滞留する結果となっていて、資金が効率的に運用されていないと認められた。

 したがって、集中に当たっては、日平均料金収受額の多少及び集中回数の増加に伴う事務処理の増加度合等を総合的に勘案し、集中回数をできる限り多くして資金の効率的運用を図る要があると認められた。

 いま、仮に日平均料金収受額1000万円以上の料金所については、それぞれの収受額の規模を勘案して1箇月当たりの集中回数を4回から10回とし、この早期に集中した資金を高利回りの譲渡性預金の条件付売買等(58事業年度の平均運用利回りは6.176%)で運用したとすれば、58事業年度の運用益は約5500万円増加し、資金の効率的な運用が図れたものと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、日本道路公団では、昭和59年11月、「料金収入金の本社集中回数の変更について」の通達を発して、資金の効率的運用が図られるよう料金所の収受額の規模に応じて集中回数を適切なものに改め、60年1月より実施することとする処置を講じた。