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  • 昭和58年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第7 日本道路公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

道路土工工事におけるボックスカルバートの設計を設計条件の変化に応じて適切に行うよう改善させたもの


(3) 道路土工工事におけるボックスカルバートの設計を設計条件の変化に応じて適切に行うよう改善させたもの

科目 (款)高速道路建設費
(款)一般有料道路建設費
(項)建設工事費
(項)建設工事費
部局等の名称 札幌、仙台、東京第一、東京第二、新潟、大阪、広島、福岡各建設局
工事名 道央自動車道青葉工事ほか26工事
工事の概要 高速道路等建設の一環として、土砂等の切盛及びボックスカルバート等の構造物の築造を行う工事
工事費 68,125,000,000円
請負人 佐藤工業株式会社・三井建設株式会社道央自動車道青葉工事共同企業体ほか26共同企業体
契約 昭和55年10月〜59年3月 指名競争契約

 上記の各工事において、ボックスカルバート(以下「カルバート」という。)の設計が適切でなかったため、設計額が約1億1500万円過大となっていた。
 このように、設計額が過大となっているのは、カルバート上の盛土高(土被り厚)の変化に応じた経済的な設計とすべきであるのに、設計要領にそのような場合の設計方法が具体的に示されていなかったため、カルバートの全延長を最大土被り厚を基とした断面によって設計していたことによるもので、具体的な運用基準を設ける要があると認められた。

上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 日本道路公団(以下「公団」という。)では、高速道路等建設工事を毎年多数実施しているが、このうち、札幌建設局ほか7建設局が昭和58事業年度に施行している道路土工等工事27工事(工事費総額681億2500万円)について検査したところ、次のとおり、カルバートの設計が適切でないと認められる点が見受けられた。

 すなわち、上記27工事は、土砂等の切盛及びカルバート等の構造物の築造を行うものであるが、このうち高速道路本線等の盛土部で交差道路又は交差水路に供するカルバート32基設計額27億2067万余円の設計についてみると、公団本社制定の「設計要領第二集」(54年改定。以下「設計要領」という。)に基づき、いずれもその全延長について当該カルバートの最大土被り厚を用いて計算した部材断面(頂版、底版、側壁の部材厚及び鉄筋配筋量)によることとしていた。

 しかして、上記のようにカルバートの全延長をそれぞれ同一の部材断面で設計したのは、設計要領において、原則として最大土被り厚を用いて計算した部材断面を全体に用いてよいとされていて、車線分離等の影響で土被り厚が極端に変化する場合には、おのおのの土被りで部材断面を決めてもよいとされているものの、土被り厚の変化に応じて設計する場合の具体的な運用方法を定めていないことによるものである。

 しかしながら、上記32基のカルバートの施工延長は56mから127mもあって、その施工区間の中には盛土法面下や本線から分岐した進入路などのように盛土高の低くなっている部分があり、当該部分のカルバート上の盛土高は最大土被り厚が4.5mから21.2mであるの対し1.9mから11.2mも少ないものとなっていたので、本院において設計の妥当性について調査したところ、最大土被り厚の基準とした盛土の法肩から45度の勾配の線より外側(法面側)の部分で、かつ、伸縮目地で分割された区間については、一般的に最大土被り厚の土圧及び路肩からの輪荷重の影響を受けないとされていて、当該区間の実最大土被り厚に基づいて部材断面を設計しても支障がなく、また、部材断面の変更に伴う設計費の増額分を考慮しても経済的となることから、実最大土被り厚により部材断面を決定すべきであったと認められた。

 したがって、上記カルバート32基について、土被り厚の低減している区間の部材断面を当該区間の実最大土被り厚を基として設計したとすると、本件設計額は約25億8846万余円となり、別途この部材断面の設計に要する費用が1635万余円増加することを考慮しても約1億1500万円低減できたと認められる。

 上記についての本院の指摘に基づき、日本道路公団では、昭和59年10月に設計要領の適正な運用基準を定め、11月以降設計する工事から適用することとする処置を講じた。

上記についての本院の指摘に基づき、日本道路公団では、昭和59年10月に設計要領の適正な運用基準を定め、11月以降設計する工事から適用することとする処置を講じた。