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  • 昭和58年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第12 中小企業事業団|
  • 不当事項|
  • 貸付金

中小企業高度化資金の貸付けが不当と認められるもの


(149)−(151) 中小企業高度化資金の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 中小企業事業団(昭和55年10月1日以前は「中小企業振興事業団」)
貸付けの根拠 中小企業事業団法(昭和55年法律第53号)等
貸付けの内容 中小企業者に対し中小企業高度化資金の貸付けを行う都道府県に対する資金の貸付け
事業団の貸付先 北海道ほか2県
同上貸付金額 619,093,000円
道県の貸付先 3中小企業者
同上貸付金額 927,620,000円(中小企業事業団貸付金相当額619,093,000円)

 上記の3中小企業者に対する927,620,000円の貸付けにおいて、820,099,664円の貸付けが不当と認められ、ひいては中小企業事業団の貸付金相当額549,733,290円が貸付けの目的に沿わない結果になっていると認められるものが、別表 のとおりある。

(説明)

 中小企業事業団(以下「事業団」という。)では、中小企業者が企業規模の適正化、事業の共同化、工場・店舗等の集団化等を図るための事業の用に供する土地、建物その他の施設の取得等を行う場合に、これに必要な資金として中小企業高度化資金の貸付けを行う都道府県に対して、その財源の一部を貸し付けており、その貸付条件は、貸付利率を無利子から年4.1%、償還期限を16年以内とし、都道府県はこれに自己資金を合わせて中小企業者に貸し付けていて、その貸付条件は、貸付利率を無利子又は年2.7%、償還期限を上記と同様としていて、極めて低利かつ長期のものとなっている。そして、事業団が都道府県に貸し付ける場合は、あらかじめ都道府県において借入申込者の事業計画に対する診断を実施し、事業団で当該事業計画の内容を審査のうえ妥当と認めたものについて貸し付けることとしている。
 しかして、上記の貸付けについて調査したところ、事業団及び北海道ほか2県において、借入者の不実な借入申込み等によるとはいえ、これに対する審査が的確に行われていなかったなどのため、貸付対象施設が貸付けの目的を達していなかったりしていて、820,099,664円の貸付けが不当と認められ、ひいては事業団の貸付金相当額549,733,290円が貸付けの目的に沿わない結果になっていると認められる。

(別表)

道県名 道県の貸付先(所在地) 貸付対象 貸付
昭和年月
(貸付利率)
償還期限
昭和年月
貸付金額
(同上に対する事業団の貸付金相当額)
左のうち不当と認めた貸付金相当額 貸付けの目的に沿わない結果になった事業団の貸付金相当額 摘要

(149)

北海道

株式会社百貨店
(千歳市)

土地、建物

58.3
(無利子)

73.12
千円
687,700
(464,190)
千円
687,700
千円
464,190

貸付目的の不達成

 この貸付けは、地域小売商業の近代化に資するため、特定小売商業店舗共同化事業の用に供する土地、建物の取得に必要な資金2,419,233,259円(うち貸付対象事業費分859,625,000円)の一部として貸し付けたものである。しかして、この貸付けに当たっては、借入者に対し、商品の仕入、販売等に関して経営の主体性を保持させるなどのため、昭和57年9月、大手総合スーパーからの仕入高の限度を総仕入高の50%とすること、同スーパーから社員の派遣を受けないことなどを内容とする勧告を行っており、借入者はこれを受けて、同年12月、同スーパーとの間に経営の不干渉などを規定した商品供給契約を締結していた。
 しかるに、借入者は、上記商品供給契約の締結日と同日付でこれを無効とする旨の覚書を取り交わしているばかりでなく、経営について同スーパーから全面的な指導、承認を受けなければならないような別途の契約を締結しており、また、同スーパーに対して仕入手数料を支払っている商品の供給は総仕大高の76%に上っていたり、同スーパー及びその子会社等から6名の社員の派遣を受けていたりしていて上記勧告に従っていない状況になっていると認められた。
 したがって、本件は、地域小売商業の近代化に資するものとは認められないので、貸付けの目的を達しておらず不当な貸付けとなっている。
 なお、本件不当貸付金額については、本院の注意により、59年11月、繰上償還の措置が執られた。


(150) 佐賀県 厚型スレート製造業協業組合
(藤津郡塩田町)
土地、建物ほか 50.3
(年2.7%)
62.3 113.520
(73,230)
5,999 3,870 低額実施及び無断処分
 この貸付けは、厚型スレート製造の共同施設事業の用に供する土地、建物、機械設備等の取得に必要な資金178,804,838円の一部として貸し付けたものである。しかし、借入者は、機械設備のうち、移動ラック300台を8,400,000円で購入したとしていたが、実際は、この価格より低額な3,900,000円で購入しており、また、自動製瓦機1台(取得額5,500,000円)を設置後の昭和53年7月、無断で売却していた。
 したがって、移動ラックに係る本件貸付金相当額5,333,035円と適切な貸付金相当額2,476,052円との差額2,856,983円(これに対する事業団の貸付金相当額1,842,995円)が過大な貸付けとなっており、また、上記売却時における自動製瓦機に係る貸付金残高相当額は3,142,681円(同2,027,295円)となっている。
 なお、59年3月末現在の不当貸付金残高は1,904,655円(事業団の貸付金相当額1,228,663円)で、これについては、本院の注意により、同年11月、繰上償還の措置が執られた。

(151) 長崎県 鮮魚仲卸協同組合
(島原市)
建物、構築物ほか 57.4
(年2.7%)
69.4 126,400
(81,673)
126,400 81,673 貸付目的の不達成

 この貸付けは、ふぐ等の購入、加工、保管等の共同施設事業の用に供する建物、構築物等の設置に必要な資金194,550,000円の一部として貸し付けたもので、事業計画によると、組合員7名が共同で施設を利用し、年間ふぐ200t等を取り扱うこととしていた。しかし、中核となる1組合員の経営内容が既に悪化していたことなどから、他の組合員6名は本件事業への参加を取り止めており、中核となる組合員も施設設置直後から3箇月間施設を利用したにすぎず、その取扱量はふぐ4t、雑魚30t程度のみであり、施設は昭和57年7月以降遊休しており、その後、同組合員が同年11月に事実上倒産したため事業再開の具体的方策は立っていない状況である。
 したがって、本件は、組合員が共同で利用するための施設として貸し付けた目的を達しておらず不当な貸付けとなっている。


927,620
(619,093)
820,099 549,733