会計名及び科目 | 厚生保険特別会計 船員保険特別会計 |
(年金勘定) | (項)保険給付費 (項)保険給付費 |
部局等の名称 | 社会保険庁 | ||
支給の相手方 | 40人 | ||
老齢年金等の支蛤額の合計 | 45,687,246円 |
上記の40人に老齢年金等45,687,246円を支給しているが、社会保険事務所等において、年金の受給権者が厚生年金保険の被保険者資格を取得した場合の届出に対する調査確認が十分でなかったり、事務処理が適切でなかったりなどしたため、23,517,351円(厚生年金保険の老齢年金19,219,013円、通算老齢年金1,675,352円、船員保険の老齢年金2,622,986円)が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。
これは、社会保険庁及び栃木県ほか11都県の19社会保険事務所管内(注1)
の老齢年金等の受給権者について本院が調査した結果である。
(説明)
厚生年金保険(前掲の「健康保険及び厚生年金保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたもの」の説明参照 )及び船員保険(前掲の「船員保険の保険料の徴収に当たり、徴収額が不足していたもの」の説明参照 )において給付を行う年金のうち老齢年金は、所定の被保険者期間を満たしている者が一定の年齢に達したときに受給権者となるもので、その給付額は、受給権者の被保険者期間及びその期間における報酬を基に算定される基本年金額と配偶者等についての加給年金額との合計額となっており、また、通算老齢年金は、老齢年金の給付を得るのに必要な被保険者期間を満たしていない者で、他の公的年金制度の被保険者期間又は組合員期間と通算することにより所定の被保険者期間を満たしている者が一定の年齢に達したときに受給権者となるもので、その給付額は、上記の基本年金額に相当する額となっている。そして、これらの年金の受給権者が厚生年金保険又は船員保険の適用事業所等に使用される被保険者である期間は、
(ア) 受給権者が60歳以上65歳未満で、その者の現に受けている報酬月額が標準報酬等級(注2) の第1級から第12級に該当する場合は基本年金額の100分の20、第13級から第17級に該当する場合はその100分の50、第18級から第20級に該当する場合はその100分の80に相当する部分、また、第21級以上に該当する場合は全額(この場合は加給年金額を含む全額)
(イ) 受給権者が65歳以上で、第21級以上に該当する場合は基本年金額の100分の20に相当する部分
の支給を停止し、残りの部分の年金額を支給することとなっている。その支給に当たっては、厚生年金保険又は船員保険の適用事業所等の事業主等は、新たに使用した者が受給権者であるときはその者の生年月日、資格取得年月日、報酬月額、受給権を有すること等を記載した被保険者資格取得届に、その者から提出を受けた年金手帳及び年金証書を添えて所轄の社会保険事務所に提出すること、さらに、同事務所では、これを調査確認のうえ、老齢年金等受給権者の被保険者資格取得報告書を作成して社会保険庁に報告することとなっており、同庁では、これに基づいて受給権者に係る年金の支給停止額を算定のうえ、支給額を決定して支給することとなっている。
しかして、厚生年金保険及び船員保険の年金受給権者で厚生年金保険の被保険者となっている者に対する老齢年金及び通算老齢年金の支給の適否について検査したところ、
(1) 事業主が資格取得届の提出を怠っていたり、受給権者が誠実でなかったことなどにより資格取得届に受給権がないと表示していたりしていたものなどがあったにもかかわらず、これに対する社会保険事務所の調査確認等が十分でなかったこと
(2) 事業主から適正な資格取得届が提出されているのに、社会保険事務所が資格取得報告書の作成、報告をしていなかったこと
などのため、社会保険庁では、年金の全部又は一部について支給停止をすることなく受給権者40人について45,687,246円を支給し、このうち23,517,351円(厚生年金保険の老齢年金19,219,013円、通算老齢年金1,675,352円、船員保険の老齢年金2,622,986円)が不適正に支給されていた。
(注1) 栃木県ほか11都県の19社会保険事務所 (栃木県)大田原、栃木両社会保険事務所、(東京都)港、新宿、練馬、八王子各社会保険事務所、(神奈川県)横浜南、横須賀両社会保険事務所、(静岡県)静岡、浜松東両社会保険事務所、(兵庫県)兵庫社会保険事務所、(岡山県)津山社会保険事務所、(山口県)山口社会保険事務所、(愛媛県)松山社会保険事務所、(長崎県)長崎北、佐世保両社会保険事務所、(大分県)別府社会保険事務所、(宮崎県)宮崎社会保険事務所、(沖縄県)那覇社会保険事務所
(注2) 標準報酬等級 厚生年金保険では第1級45,000円から第35級410,000円まで、船員保険(年金部門)では第1級45,000円から第36級440,000円までの等級にそれぞれ区分されているもので、被保険者に実際に支給される報酬月額はこの等級のいずれかに当てはめられる。