社会保険庁では、船員保険の失業保険金の支給において、受給資格要件に対する的確な調査確認の方法が定められていなかったため、失業保険部門の適用を受けることのできない者や再就職していて失業状態にない者に失業保険金を支給しているなど、適切とは認められない事態が多数見受けられたので、同庁において、これらの事態の発生を防止するため、失業保険部門の適用については、都道府県が保有する船員の被保険者名簿等に基づく船員の雇用実態の調査確認の方法を早急に定め、また、再就職している者による不正受給の防止については、同庁が保有する厚生年金保険オンラインシステムによるデータ等を活用した実効のある調査方法を確立するなどして失業保険金の支給の適正を期する要があると認め、昭和59年11月に是正改善の処置を要求した。
これに対し、社会保険庁では、本院指摘の趣旨に沿い、60年3月に「失業保険支給事務取扱要領」を改め、その後同年8月に「船員保険失業保険金給付適正化要綱」を定めて、失業保険部門の適用については、被保険者資格取得届、被保険者名簿等に基づき雇用実態を調査確認する方法を、また、不正受給の防止については、厚生年金保険のデータ等を活用する調査方法を確立するなどの処置を講じた。