国立大学では、経済的理由によって授業料の納付が困難であり、かつ、学業優秀と認められるときなどの場合は授業料の全部又は一部を免除することができることとされているが、各大学では、将来の返還を条件として奨学金の貸付事業を行っている日本育英会の第一種奨学生の推薦基準よりも緩やかな基準など合理的とは認められない任意の基準で実施していて、適切とは認められない事態が見受けられた。
これは、文部省が統一的かつ合理的な基準を示さないまま、各大学における免除枠だけを示していることによると認められたので、文部省において、速やかに合理的な基準を設定して各大学に示すとともに、各大学に対し指導を十分に行って、適切な授業料免除の実施を期する要があると認め、昭和60年12月に意見を表示した。
これに対し、文部省では、本院指摘の趣旨に沿い、61年3月に61年度に係る授業料免除について、また、同年11月に62年度以降に係る授業料免除について、各国立大学に対し通知を発して、適切な授業料免除の具体的な基準を示すとともに、指導の徹底を図る処置を講じた。