社会保険庁では、厚生年金保険の老齢年金、通算老齢年金、障害年金、遺族年金及び通算遺族年金並びに国民年金の老齢年金及び通算老齢年金の支給において、届出義務者からの死亡届の提出が遅延していたこと、届け書を受理した後これを迅速に処理する体制になっていなかったこと及び受給権者の現況の調査確認が十分でなかったことのため、死亡により受給権が消滅している者に年金を支給していて適切を欠くと認められる事態が多数見受けられたので、同庁において、これらの事態の発生を防止するため、届出義務者等に対して法令の規定に基づく届出の励行を周知徹底させ、届け書の提出を容易にできるようにするなどして受給権消滅の事実の早期把握の方途を講じ、また、届け書の進達方法を改善し、受給権の消滅が確認された者に対しては速やかに支払を留保する体制を整備するとともに、受給権者の現況確認の徹底を図るなどして年金支給の適正化を図る要があると認め、昭和60年12月に是正改善の処置を要求した。
これに対し、社会保険庁では、本院指摘の趣旨に沿い、61年2月及び3月に都道府県に対し通知を発して、届出義務者等に対する広報等により届出の励行の周知徹底を図り、届け書の用紙の入手やその提出を容易にし、年金の支払に係る電子計算機への入力期限に適応した進達を励行させるとともに、受給権者の現況確認の徹底を図り、また、同年4月に電子計算機への入力期限後に受給権消滅の事実が確認された者に係る年金の支払を留保するためのシステムの開発に着手し、62年4月からこれを実施することとして作業を進めるなどして年金支給の適正化に必要な処置を講じた。