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  • 昭和60年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第7 水資源開発公団|
  • 昭和59年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

琵琶湖開発事業における旅客船に対する補償の処理について


琵琶湖開発事業における旅客船に対する補償の処理について

(昭和59年度決算検査報告参照)

 水資源開発公団では、琵琶湖開発事業の実施に伴い、琵琶湖汽船株式会社ほか4名に対しその所有に係る旅客船の運行について同事業施行により将来発生することが予想される損失をあらかじめ事業損失として補償していた。この補償は、琵琶湖における旅客船運航事業の公益性を重視し、非常渇水による水位低下時においてもその運航が確保されることを前提に軽合金製による喫水深1.0m以内の代替船を建造するための機能回復費用相当額を補償したものであって、この経緯からみて、建造された代替船のうちに喫水深が1.0mを超えているものがあったり、琵琶湖に就航することなく大阪市内の河川に就航しているものがあったりなどしている事態は、多額の機能回復費用相当額を補償した趣旨が生かされているとはいえないものであり、また、一部の船舶について補償対象船として選定したことなどの適否を確認するための資料の保管が十分でなかったと認められたので、今後、同公団が行う水資源開発事業の実施において、この種の補償を行う場合には、機能回復の実現を確保するための処置を講じるなど、適切な配慮を要すると認め、昭和60年12月に意見を表示した。

 これに対し、水資源開発公団では、本院指摘の趣旨に沿い、61年3月に支社長等に対して総裁通達を発するなどして、補償業務の適正化のための体制を確立し、今後、この種の補償を行う場合には、協定書等において機能回復措置の完了確認を補償金完済の条件とするなど機能回復の実現を確保するための処置を講ずるとともに、補償の根拠を明確にした関係資料の整理、保管の確実を期することとした。