社会保険庁が行っている福祉年金の支給において、受給権者からの福祉年金支給停止関係届の提出が遅延していたこと、都道府県等で公的年金の受給状況を迅速的確に把握していなかったこと及び同庁で公的年金の受給開始月まで遡及して支給を停止し、二重払となったものについて返還させる措置を十分執っていなかったことのため、福祉年金と公的年金が二重に支給されている事態が多数見受けられたので、同庁において、これらの事態の発生を防止するため、受給権者に対して法令の規定に基づく届出の励行を周知徹底させ、公的年金の受給状況を迅速的確に把握する体制を整備するとともに、適正な併給調整を実施し、二重払となったものについては返還させる措置を講じて年金支給の適正化を図る要があると認め、昭和61年12月に是正改善の処置を要求した。
これに対して、社会保険庁では、本院指摘の趣旨に沿い、62年3月に都道府県に対し通知を発して、広報等により届出の励行についての受給権者に対する周知徹底を図り、厚生年金保険の新規裁定者一覧表の送付を年1回の送付から毎月送付に改めるなど公的年金の受給状況を迅速的確に把握する体制を整備するとともに、併給調整に係る支給停止処分については公的年金受給開始月まで遡及して実施し、二重払となったものについては返還させることとして年金支給の適正化に必要な処置を講じた。