ページトップ
  • 昭和61年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第6 農林水産省|
  • 昭和60年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項に対する処置状況

地区再編農業構造改善事業の効果について


(1) 地区再編農業構造改善事業の効果について

(昭和60年度決算検査報告参照)

 農林水産省では、農業構造の改善を図る施策の一環として、〔1〕 農業生産の担い手(以下「担い手」という。)の育成・確保、〔2〕 農用地の適正な利用・管理、〔3〕 農業生産の再編成などを基本目標とした地区再編農業構造改善事業(以下「地区再編事業」という。)を国庫補助事業として実施しているが、担い手の概念が明確でなかったこと、市町村及び地域農業者等が構造改善計画の策定に当たって上記基本目標に関する話合いを十分に行っていなかったため、事業目標に対する認識が十分でなかったことなどから、当該地域の担い手として評価し難い実態となっていたり、担い手への農用地の利用集積が十分達成されていなかったり、農業生産の再編成が十分達成されていなかったりしていて、上記基本目標が十分達成されていない地区が見受けられたので、同省において、担い手の概念を明確にするとともに、その育成・確保の実状を把握して本事業の効果を的確に評価すること、及び市町村、地域農業者等に対し、この事業の基本目標の重要性を認識させ、地域の話合いを十分行うよう指導することなどにより、本事業の基本目標を達成させ、その事業効果の発現を確保する要があると認め、昭和61年12月に意見を表示した。

 これに対し、農林水産省では、本院指摘の趣旨に沿い、既往に実施した地区再編事業(前期対策)等の先進地事例を選出し、担い手の育成・確保の実状を分析、評価し、これに基づいて現在実施している地区再編事業(後期対策)に反映させるため、62年10月、地方農政局等に通達を発して、地方公共団体等に本事業の基本目標の重要性を認識させるとともに、担い手の明確化の手法として先進地事例を示し、また、担い手は原則として青壮年者であるが高齢者の場合には後継者を有することなどの基本的考え方を示したうえ、地域の実情に即して担い手の要件を自主的に設定させることとし、さらに、構造改善計画の認定時に担い手の年齢、経営規模等を明確にした資料を提出させることとしたなどのほか、事業実施期間中に基本目標の達成状況について見直しを行わせることとするなどの処置を講じた。