水産庁が都道府県等に補助金を交付している増養殖場造成事業において、事業実施に当たり増殖場及び養殖場の管理運営について関係者間の調整等が十分でなかったこと、同庁において事業の推進体制等についての審査の体制や増殖場及び養殖場の利用状況等の把握が十分でなかったことなどから、養殖場の管理運営体制が十分整っていないもの、増殖場への種苗の放流が計画どおり行われていないものなど所期の事業効果が発現しておらず、適切とは認められない事態が見受けられたので、同庁において、都道府県等に対し、事前の調査検討を十分に行い、適切な事業実施計画を策定するよう指導するとともに、事業実施計画に対する審査を十分に行い、事業完了後の管理運営状況等を的確に把握するなどの処置を講ずることにより、事業の実施の適正を期する要があると認め、昭和61年11月に是正改善の処置を要求した。
これに対し、水産庁では、本院指摘の趣旨に沿い、62年1月に関係都道府県に対し通達を発するなどして、事前の調査検討及び関係者等との協議を十分に行い、適切な事業実施計画を策定するよう指導し、増殖場及び養殖場の適切な管理運営を確保するため、新たに種苗放流の計画の実行を確保する資料を関係都道府県から提出させることとするなど審査の強化を図るとともに、事業完了後、造成した増殖場及び養殖場の管理運営状況等の的確な把握を行い、効率的な利用を図るよう指導の徹底を図り、さらに、62年7月に「沿岸漁場整備開発事業の運用について」(51水漁第4460号水産庁長官通達)を改正し、増殖場及び養殖場の管理運営状況を的確に把握するため、全施設を対象として施設管理・運営状況報告書を関係都道府県から毎年度提出させることとして、事業実施の適正を期する処置を講じた。