ページトップ
  • 昭和61年度|
  • 第2章 所管別又は団体別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第10 労働省|
  • 不当事項|
  • 保険給付

雇用保険の定年延長奨励金の支給が適正でなかったもの


(96) 雇用保険の定年延長奨励金の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目  労働保険特別会計(雇用勘定) (項)雇用安定等事業費
部局等の名称  埼玉県ほか4都府県(支給庁)
大宮公共職業安定所ほか6公共職業安定所(支給決定庁)
支給の相手方  8事業主
定年延長奨励金の支給額の合計  45,900,000円

 上記の8事業主に定年延長奨励金45,900,000円を支給しているが、支給決定に当たって申請に対する調査確認が十分でなかったなどのため、7,100,000円が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都府県ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。
 これは、北海道ほか20都府県(支給決定庁札幌公共職業安定所ほか209公共職業安定所)において1,243事業主に対して支給した2,141,980,000円について本院が調査した結果である。

(説明)
 定年延長奨励金は、雇用保険(前掲の「雇用保険の失業給付金の支給が適正でなかったもの」の説明参照 )で行う事業のうちの雇用改善事業の一環として、定年の引上げによる高年齢者の雇用の延長の促進を図るため、定年の引上げを行った雇用保険適用事業の事業主に対して支給するもので、その支給要件は、事業主が、

ア 労働協約の改定、就業規則の変更等により、昭和48年4月1日から60年12月31日までの間において従前の定年(以下「旧定年」という。)を60歳以上の年齢に引き上げ、これを新しい定年(以下「新定年」という。)と定めたこと、

イ 定年の引上げの際に旧定年の適用を受けており、かつ、支給基準日(12月末日)現在において旧定年を超えるとともに引上げ後の新定年の適用を受けていて、しかも55歳以上65歳未満であるなどの要件を満たす被保険者(以下「対象被保険者」という。)を雇用していること

などとなっており、支給対象期間は対象被保険者が最初に生じた日からその者が新定年により退職することとなる日までの間、支給額は対象被保険者1人当たり年額30万円又は40万円となっている。

 そして、その支給の決定は、公共職業安定所が事業主から提出された申請書に記載されている定年の引上げ日、定年の引上げの内容、対象被保険者の氏名、生年月日、雇用年月日等を審査して行い、これに基づいて各都道府県が支給することとなっている。

 しかして、定年延長奨励金の支給決定の適否について検査したところ、前記の210公共職業安定所のうち大宮公共職業安定所ほか6公共職業安定所において、58事業主のうち8事業主について、事業主が制度を十分認識していなかったなどして、定年を引き上げた日以後に雇用した労働者を対象被保険者としているものなど申請書の記載内容が支給要件に該当しないものがあったにもかかわらず、これに対する調査確認が十分でないまま支給の決定を行ったため、これに基づいて埼玉県ほか4都府県が上記8事業主に対して支給した45,900,000円のうち7,100,000円が不適正に支給されていた。

(別表)

都府県名 公共職業安定所 本院が調査した事業主数 不適正受給事業主数 左の事業主に支給した定年延長奨励金 左のうち不適正定年延長奨励金
埼玉県 大宮 15 1 千円
2,100
千円
600
東京都 立川 12 2 7,700 1,100
愛知県 犬山 4 1 29,700 3,000
京都府 京都七条ほか1 13 2 2,800 800
鹿児島県 鹿児島ほか1 14 2 3,600 1,600
 計 7箇所 58 8 45,900 7,100