建設省では都道府県及び市町村(以下「事業主体」という。)に対し毎年度多額の公営住宅建設費補助金を交付しており、これにより事業主体が建設し管理している公営住宅において、多数の新築住宅等が長期間空家のまま遊休していて、事業の効果が発現していないと認められる事態が見受けられたので、これらの事態について適切な措置を執るとともに、事業主体に対して、公営住宅を建設するに当たり、当該住宅の立地条件等及び既存の公的賃貸住宅の入居状況等を検討するなどして当該住宅に対する需要を的確に把握し、需要に応じた事業計画の策定に努めるよう指導し、また、同省においても事業計画の審査の充実を図り、公営住宅建設事業の適切な実施を期する要があると認め、昭和61年12月に是正改善の処置を要求した。
これに対し、建設省では、本院指摘の趣旨に沿い、62年2月及び5月に各都道府県に対し通達を発するとともに、担当者会議を通ずるなどして、事業主体に対し、現在新築空家等が発生している団地については、募集体制の強化充実及び関連公共施設の整備の促進を図るなどの措置を講じて速やかに空家の解消を図ること、新たな公営住宅の建設に当たっては、地域の住宅需要を一層慎重に把握したうえで計画を策定し、需要に適合した建設に努めることなどを指導するとともに、審査のための提出書類を拡充するなどして審査を充実するなどの処置を講じた。