ページトップ
  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第5 厚生省|
  • 不当事項|
  • その他

児童扶養手当の支給が適正でなかったもの


(61) 児童扶養手当の支給が適正でなかったもの

会計名及び科目 一般会計(組織)厚生本省(項)児童扶養手当給付諸費
部局等の名称 厚生本省(支給庁) 厚生本省(国庫負担金支出庁)
北海道ほか17都府県
(支給決定庁)
北海道ほか16都府県
(事業主体)
支給の相手方 199人 59人 計 258人
児童扶養手当の支給額の合計 352,859,200円 27,717,700円 計 380,576,900円
うち国庫負担金相当額 19,493,330円 うち国の負担額
 372,352,530円

 上記の258人に児童扶養手当380,576,900円を支給しているが、支給に当たって、請求に対する指導及び調査確認が十分でなかったため、国の支給額62,353,100円及び都道府県の支給額10,566,600円(これに対する国庫負担金相当額7,411,920円)計72,919,700円(国の負担額計69,765,020円)が不適正に支給されていた。これらについては、本院の注意により、すべて返還の処置が執られた。これを都道府県ごとに集計して掲げると別表 のとおりである。
 これは、北海道ほか24都府県において児童扶養手当の支給を受けた者について本院が調査した結果である。

(説明)

 児童扶養手当(以下「手当」という。)は、父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与することを目的として、児童の父母が婚姻を解消したり、父が死亡したりなどしている場合に、これらの児童を監護する母又は養育する者に対し支給するものであるが、その児童が父と生計を同じくしているとき、母の配偶者に養育されているとき、母又は養育者が公的年金(国民年金法(昭和34年法律第141号)に基づく老齢福祉年金を除く。以下同じ。)の給付を受けることができるときなどには、手当の全部又は一部を支給しないことになっている。また、昭和60年6月の児童扶養手当法(昭和36年法律第238号)の改正により、60年7月以前に受給資格の認定請求をして認定を受けた者に係る手当については国が支給し、同年8月以降にその請求をして認定を受けた者に係る手当については都道府県が支給し、これに要する経費の一部(60年度については10分の8、61年度から63年度までは10分の7)として国が負担金を交付することとなっている。

 手当の支給に当たっては、上記のいずれの場合においても、市町村(特別区を含む。以下同じ。)が、申請者から提出された児童扶養手当認定請求書について、記載漏れ又は誤記は無いか、婚姻関係の有無等を確認するための戸籍謄本、住民票等の書類が添付されているかなどについて審査を行ったうえ、都道府県に進達し、都道府県は、住民票等の添付書類や関係部局等から提供を受けた資料等により申請事実の調査確認を行い、受給資格があると認定した者に対して、児童扶養手当認定通知書及び児童扶養手当証書を交付し、毎年4月、8月及び12月に支給することとなっている。 そして、受給者から毎年1回、住民票等の書類を添付した児童扶養手当現況届を提出させ、上記の認定請求書についてと同様の手続により受給資格について調査確認し、上記の現況届を提出しない者については追跡調査を行うことにより受給者の実態の把握に努めることとなっており、また、児童の母が婚姻をしたなどのため受給資格を喪失した場合には、速やかに児童扶養手当資格喪失届を提出させ、住民票等で確認のうえ、受給資格喪失の手続を行うこととなっている。

 しかして、手当の支給の適否について検査したところ、前記25都道府県のうち北海道ほか17都府県では、児童の母が婚姻をしていて児童が母の配偶者に養育されていたもの、児童の母又は養育者が公的年金の支給対象となっていたもの、児童が父と生計を同じくしていたものなど上記の認定請求書、現況届又は資格喪失届の記載内容が事実と相違しているものがあったにもかかわらず、これに対する指導及び調査確認が十分でないまま、支給すべきでないのに支給の決定をしたため、本院が調査した受給者5,467人のうち258人に支給した380,576,900円(うち国の負担額計372,352,530円)について、国の支給額352,859,200円のうち62,353,100円及び都道府県の支給額27,717,700円のうち10,566,600円(これに対する国庫負担金相当額7,411,920円)計72,919,700円(うち国の負担額計69,765,020円)が不適正に支給されていた。

(別表)

都道府
県名
本院が調査した市町 本院が調査した受給者数 不適正給者数 左の受給者に支給した児童扶養手当 左のうち不適正児童扶養手当 左のうち国庫負担額

北海道

札幌市ほか10市町

682

20
千円
27,073
千円
3,066
千円
2,883
山形県 山形市ほか2市 325 3 3,713 1,768 1,734
栃木県 宇都宮市ほか4市 326 19 41,030 7,007 6,986
東京都 中央区ほか4市区 548 9 18,208 2,708 2,688
石川県 金沢市ほか2市 215 7 12,760 5,127 4,974
岐阜県 岐阜市ほか4市 215 10 15,745 7,866 7,846
愛知県 名古屋市ほか2市 175 20 20,566 4,017 3,471
大阪府 大阪市ほか2市 616 31 45,547 6,094 5,662
奈良県 奈良市ほか4市 305 24 28,996 4,848 4,404
鳥取県 鳥取市ほか2市 158 9 8,584 2,124 2,086
島根県 松江市ほか2市 213 4 8,948 1,597 1,550
岡山県 岡山市ほか2市 281 2 3,151 1,111 1,111
山口県 下関市ほか3市町 178 13 24,532 1,850 1,685
福岡県 福岡市ほか6市町 312 17 12,085 6,972 6,458
佐賀県 佐賀市ほか4市町 215 11 13,936 1,310 1,235
大分県 大分市ほか3市 258 23 42,942 5,620 5,579
宮崎県 宮崎市ほか4市町 286 29 39,113 7,058 6,707
鹿児島県 鹿児島市ほか3市町 159 7 13,639 2,769 2,698
81箇所 5,467
(1,013)
258
(59)
380,576
(27,717)
72,919
(10,566)
69,765
(7,411)

 (注) 計欄における( )書きは都道府県の支給に係る分で内数である。