社会保険庁が行っている国民年金保険料の免除において、被保険者が、国民年金制度及び免除制度についての理解と認識が十分でないこと、社会保険事務所において、管内の市町村に対する審査等についての指導が十分でなかったり、申請書の内容についての調査を十分行っていなかったりしていることなどのため、前年分の所得税が賦課されているなどしていて保険料の負担能力があると認められる者について免除していた不適切な事態が多数見受けられたので、同庁において、これらの事態の発生を防止するため、事業運営通知等を整備して、被保険者に対して国民年金制度及び免除制度の趣旨を周知徹底したり、特例免除、農業者年金の加入者及び生命保険料の実支払額についての審査の適正化を図ったりするとともに、社会保険事務所に対して市町村における審査を充実させたりするなどの措置を講じ、申請免除事務の適正化を図り、もって年金給付財源の確保と国民年金法(昭和34年法律第141号)の適正な運用を図る要があると認め、昭和62年12月に是正改善の処置を要求した。
これに対して、社会保険庁では、本院指摘の趣旨に沿い、63年1月及び3月に都道府県に対し通知を発して、広報紙を活用するなどにより保険料免除制度等についての被保険者に対する一層の周知徹底を図り、免除申請時に、特例免除については申請事由を客観的に確認できる資料を提示させ、農業者年金の加入者については免除申請書に農業者年金の保険料の納付状況欄等を設けて所定の事項を記載させ、生命保険料についてはその実支払額を把握するための客観的な資料を提示させるなどするとともに、社会保険事務所に対して管内の市町村における審査の適正化についての指導を徹底させるなどして、社会保険事務所等における申請免除事務の適正化に必要な処置を講じた。