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中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの


(90)−(101) 中小企業設備近代化資金の貸付けが不当と認められるもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)中小企業庁 (項)中小企業対策費
部局等の名称 東京、名古屋、福岡各通商産業局
助成の根拠 中小企業近代化資金等助成法(昭和31年法律第115号)
事業主体 茨城県ほか7都県
事業の内容 中小企業者に無利子で貸し付ける設備近代化資金の貸付け
貸付先 12中小企業者
貸付額の合計 113,975,000円(国庫補助金相当額56,987,500円)

 上記の12中小企業者に対する113,975,000円の貸付けにおいて、78,193,885円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額39,096,942円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。これを都県別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)

 この事業は、都道府県が、国の補助金と自己資金等によって資金を造成し、設備の近代化に必要な資金の調達が困難な中小企業者に対して、設備の設置に必要と認めた資金の額の2分の1以内を無利子で貸し付ける事業で、その貸付額は原則として20万円以上1500万円以下、償還期間は5年以内となっている。そして、貸付対象設備については新品であることなどが貸付けの条件となっている。
 しかして、この事業の実施について調査したところ、前記の12中小企業者に対する113,975,000円の貸付けにおいて、借主が、設備を貸付対象事業費より低額で設置したり、中古品を設置したりしていたなどのため、78,193,885円の貸付けが不当と認められ、ひいては国庫補助金相当額39,096,942円が補助の目的に沿わない結果になっていると認められる。

(別 表)

都県名 貸付先 貸付対象 貸付
昭和年月
貸付対象事業費
(同上に対する貸付額)
貸付対象として適切でない事業費
(同上に対する貸付金相当額)
補助の目的に沿わない結果になった国庫補助金相当額 摘要

(90)

茨城県

輸送用機械器具製造業者

金属工作機械

62.4
千円
13,000
(6,480)
千円
6,000
(2,980)
千円
1,490

低額設置

 この貸付けは、NC旋盤1台の設置に必要な資金13,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は7,000,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は3,500,000円となり、本件貸付額6,480,000円との差額2,980,000円が過大な貸付けとなっている。
 
(91) 千葉県 建設業者 掘削機 60.12 12,000
(6,000)
6,000
(3,000)
1,500 低額設置

 この貸付けは、掘削機1台の設置に必要な資金12,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、実際は、値引きを受けて6,000,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は3,000,000円となり、本件貸付額6,000,000円との差額3,000,000円が過大な貸付けとなっている。
 
(92)  同 鉄骨加工業者 金属工作機械 61.11 14,000
(7,000)
14,000
(7,000)
3,500 貸付対象外

 この貸付けは、形鋼NCドリルマシン1台の設置に必要な資金14,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、新品の設備を貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、実際は、中古品を設置していた(設置金額5,500,000円)ので、本件設備は貸付対象にならないものである。
 
(93) 東京都 金属加工機械製造業者 金属工作機械 60.10 35,612
(15,000)
35,612
(15,000)
7,500 貸付対象外

 この貸付けは、立形マシニングセンタ1台の設置に必要な資金36,300,000円(うち貸付対象事業費分35,612,000)円)の一部として貸し付けたもので、借主は、36,300,000円で設置し、その代金のうち貸付金相当額15,000,000円を貸付金受領後直ちに支払うこととしていたが、実際は、その設置は長期の割賦販売契約(昭和60年11月から63年12月までの38回払い、このうち61年8月までは金利分)によるものであって、貸付金相当額は所定の期限(61年3月)までに全く支払われていなかったので、本件設備は貸付対象にならないものである。
 
(94)  同 工具製造業者 金属工作機械 61.1 22,000
(11,000)
7,700
(3,850)
1,925 低額設置

 この貸付けは、数値制御立フライス盤1台の設置に必要な資金22,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は14,300,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は7,150,000円となり、本件貸付額11,000,000円との差額3,850,000円が過大な貸付けとなっている。
 
(95) 長野県 自動車板金塗装業者 塗装装置 61.9 20,000
(9,600)
18,000
(8,600)
4,300 低額設置

 この貸付けは、自動車塗装ブース1基の設置に必要な資金20,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は2,000,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は1,000,000円となり、本件貸付額9,600,000円との差額8,600,000円が過大な貸付けとなっている。
 
(96)  同 自動車板金塗装業者 フレーム修正機システム 61.9 20,000
(9,600)
12,500
(5,850)
2,925 低額設置

 この貸付けは、フレーム修正機システム一式の設置に必要な資金20,000,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は7,500,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は3,750,000円となり、本件貸付額9,600,000円との差額5,850,000円が過大な貸付けとなっている。
 
(97) 静岡県 精密機械器具製造業者 金属工作機械 61.8 21,800
(9,810)
21,800
(9,810)
4,905 貸付対象外

 この貸付けは、マシニングセンタ1台の設置に必要な資金22,000,000円(うち貸付対象事業費分21,800,000円)の一部として貸し付けたもので、借主は、新品の設備を設置したとしているが、実際は、中古品(2台)を設置していたので、本件設備は貸付対象にならないものである。
 
(98)  同 クリーニング業者 ウォッシャーエキストラクターほか2 61.10 34,650
(14,910)
15,910
(5,540)
2,770 貸付対象外

 この貸付けは、全自動洗濯脱水機1台、シーツロール機1台及び乾燥機1台の設置に必要な資金34,650,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、新品の設備を貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、実際は、全自動洗濯脱水機(貸付対象事業費12,550,000円)について中古品を設置するなどして、本件貸付対象設備を21,000,000円(うち貸付対象事業費分18,740,000円)で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は9,370,000円となり、本件貸付額14,910,000円との差額5,540,000円が過大な貸付けとなっている。
 
(99) 愛知県 メリヤス製造業者 横編みメリヤス編立機 61.12 12,450
(6,225)
12,450
(6,225)
3,112 貸付対象外

 この貸付けは、横編みメリヤス編立機1台の設置に必要な資金12,450,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、貸付年度に貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、実際は、前年度に設置していた(設置金額11,310,000円)ので、本件設備は貸付対象にならないものである。
 
(100) 福岡県 工具製造業者 金属工作機械 62.4 21,183
(10,580)
7,860
(3,918)
1,959 低額設置

 この貸付けは、放電加工機1台の設置に必要な資金21,183,000円の一部として貸し付けたもので、借主は、貸付対象事業費どおりの額で設置したとしているが、この額は契約額を水増ししたもので、実際は13,323,000円で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は6,661,500円となり、本件貸付額10,580,000円との差額3,918,500円が過大な貸付けとなっている。
 
(101) 鹿児島県 旅館業者 消防用設備ほか1 61.4 15,552(7,770) 12,853
(6,420)
 3,210 貸付対象事業費の過大計上

 この貸付けは、ホテルの建築に伴う消防用設備一式及び冷凍冷蔵庫2台の設置に必要な資金18,703,000円(うち貸付対象事業費分15,552,400円)の一部として貸し付けたもので、借主は、18,703,000円で設置したとしているが、このうち消防用設備費17,000,000円(貸付対象事業費14,190,000円)については、消防用ではない一般用照明設備等を含めるなどして過大に計上しており、実際は、本件貸付対象設備を3,527,308円(うち貸付対象事業費分2,699,230円)で設置していた。
 したがって、適切な貸付額は1,349,615円となり、本件貸付額7,770,000円との差額6,420,385円が過大な貸付けとなっている。
 
242,247
(113,975)
170,685
(78,193)
39,096