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  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第1節 所管別の検査結果|
  • 第8 運輸省|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

航空保安施設及び新東京空港事務所管理棟の警備費の積算を適切なものに改善させたもの


(2) 航空保安施設及び新東京空港事務所管理棟の警備費の積算を適切なものに改善させたもの

会計名及び科目 空港整備特別会計 (項)空港等維持運営費
部局等の名称 東京航空局
契約名 航空保安施設及び新東京空港事務所管理棟の警備
契約の概要 新東京国際空港関係の航空保安施設7箇所及び新東京空港事務所の管
理棟の警備業務
契約金額 182,000,000円
契約の相手方 成田空港警備株式会社
契約 昭和62年4月1日 随意契約
支払 昭和62年6月〜63年4月 12回

  上記の警備業務の契約において、警備費の積算が適切でなかったため、積算額が約2760万円過大になっていた。
このように積算額が過大になっているのは、上記の警備業務は、勤務内容の疲労度が比較的小さく、そのうえ2人勤務体制で実施されているため、交替要員を要することなく交互に待機時間を取り、長時間にわたって勤務できるものとなっているのに、疲労度が大きく長時間にわたっで勤務をすることが困難な業務に適用する積算要領を準用したことによるもので、警備業務の実態に適合した積算をする要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

  東京航空局では、航空機の安全航行等を図ることを目的として、新東京国際空港関係の航空保安施設7箇所及び新東京空港事務所の管理棟の警備業務を部外の警備会社に請け負わせて実施している。
  この警備業務の内容は、上記航空保安施設及び管理棟の各施設において、2人勤務体制の警備員で施設内の立しょう、監視等を実施するものである。
  そして、東京航空局では、警備費の積算に当たり、この種業務の積算方法を定めていないことから、運輸省航空局が定めた「空港警務消防業務請負積算要領」(以下「積算要領」という。)を準用して、各施設について警備員の勤務体制を、1日8時間、1週間48時間の勤務を前提とした3直4交替制(注) とし、警備に要する年間の延べ時間を1人当たり年間の勤務時間(1週48時間×52週)で除して、所要人員数を3.5人、2人勤務体制であることから2倍して7人と算出し、これに国の職員の俸給等に準じて算定した1人当たりの年間人件費を乗ずるなどして警備費の総額を182,115,212円と算出していた。

  しかして、上記積算要領で定める3直4交替制による警備業務の内容は、ゲートでの立しょう(車両等の出入りの際の立入証の確認、ゲートの開閉)や夜間の空港制限区域内等の巡回点検(徒歩で、1時間に1回の割合で巡回)のように、休息等のために持場を離脱することが許されず、また、勤務内容が比較的厳しく相当の疲労を伴うため、長時間勤務を継続することが困難なものを対象としており、1箇所当たり24時間の警備体制を組むためには各警備員について必ず交替要員を必要とするものとなっている。

 しかしながら、本件警備業務の対象となる航空保安施設においては、外部の者の侵入を防止・探知するための各種の防護・警報装置が複合して設置されており、管理棟においては、警察官及び新東京国際空港公団(以下「空港公団」という。)の警備員が配備されていて、いずれも外部の者が無断で出入りすることが極めて困難となっている。このため、本件警備員の勤務内容は、施設内での立しょう及び監視室での警報・モニター装置の監視が主となっており、疲労度が比較的小さく、しかも2人勤務体制であるため交替要員を要することなく交互に待機時間を取れるので、長時間にわたって勤務できるものとなっている。また、警備員の実際の勤務内容をみても、1日24時間連続勤務することとなっていても交互に待機時間(8時間程度)を取りながら、1週間当たり3日勤、3日非番、1日公休、拘束時間72時間(勤務時間48時間、待機時間24時。以下「1週72時間の勤務」という。)、所要人員5人の勤務体制を採用し、何ら支障を生じてないと認められた。

 このように、本件警備業務は、疲労度が比較的小さく、また、実際の状況をも2人勤務体制で1週72時間の勤務を行っているのが実状であるなど、3直4交制の勤務体制とその業務内容・勤務条件に差異が認められるのに、この勤務体制を前提とする積算要領を準用して警備費を算出しているのは適切とは認められない。
 したがって、本件警備業務については、勤務内容の実態を踏まえた積算方法等を検討し、警備費の適正な算出を図る要があると認められた。
 いま、仮に、本件警備費の積算を勤務内容の実態を考慮し、2人勤務体制で1週72時間の勤務とし、1時間当たり単価については、本件と同一箇所(管理棟)で同一業者に警備業務を請け負わせている空港公団が実態に基づいて設定した1週72時間の勤務の場合の単価を採用するなどして修正計算すると、154,479,450円となり、積算額を約2760万円低減できると認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、東京航空局では、昭和63年11月に警備業務の実態に適合した積算要領を定め、同年12月以降契約を締結するものから適用することとする処置を講じた。

(注)  3直4交替制  1日24時間を原則として1人8時間ずつ3交替で勤務し、休日等もあることから4人でローテーションを組みながら行う勤務体制のこと