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  • 昭和62年度|
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  • 貸付金

農業基盤整備資金等の貸付けが不当と認められるもの


(145)-(151)  農業基盤整備資金等の貸付けが不当と認められるもの

科目 貸付金
部局等の名称 仙台、新潟、北陸、岡山、松江各支店
受託金融機関 新潟県信用農業協同組合連合会ほか4金融機関
貸付けの根拠 農林漁業金融公庫法(昭和27年法律第355号)
貸付金の種類 農業基盤整備資金、総合施設資金、農林漁業構造改善事業推進資金、
沿岸漁業構造改善事業推進資金、農林漁業施設資金
貸付けの内容 農林漁業者に対する農業基盤整備資金等の貸付け
貸付件数 7件
貸付金の合計額 205,811,000円

 上記の貸付けは、貸付けの目的に沿わない結果になっていて、貸付金28,618,633円が不当と認められる。これを貸付先別に掲げると別表 のとおりである。

(説明)

  農林漁業金融公庫(以下「公庫」という。)では、農林漁業者に対して、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期かつ低利の資金で、一般の金融機関から融通を受けることが困難な資金を直接又は金融機関に委託して貸し付けている。
  このうち、公庫が直接貸付けを行う場合は、公庫が借入申込書類を審査して、所定の条件を満たしていると認めたものに対して貸し付け、完成状況、事業費の支払状況等によって貸付金の使途などを確認することとしており、また、金融機関に委託して貸付けを行う場合は、受託金融機関が借入申込書類の審査を行い、一部の資金については公庫が貸付決定を行うこととしているが、そのほかは受託金融機関が公庫の直接貸付けの場合に準じて上記の貸付け等の事務を行うこととしている。
  しかして、上記の貸付け7件についてみると、借入者から事実と相違した内容の借入申込みや報告がなされていたり、借入者から貸付対象事業費の減額についての報告がなされていたりしているにもかかわらず、これに対する審査及び確認が適切でなかったなどのため、貸付対象事業の一部が実施されていなかったり、貸付金額を過大に算定していたり、貸付対象事業費の減額に伴う貸付金の繰上償還の措置を執っていなかったりしていて貸付けが不当と認められるものが28,618,633円見受けられた。

(別表)

支店名
(受託金融機関名)
貸付先
(所在地)
貸付対象 貸付
昭和年月
(貸付利率)
貸付対象事業費 左に対する貸付金額 貸付金額のうち不当と認めた額 摘要

(農業基盤整備資金)
千円
千円
千円
(145) 岡山支店 農業協同組合 ほ場整備事業に係る分担金 61.3
(年3.5%)
102,060 98,191 3,750 債権管理不適切
広島県信用農業協同組合連合会 転貸先
農業者
転貸先所在地広島県賀茂郡福富町
 この貸付けは、ほ場13.2haの整備に係る転借者の分担金の負担に必要な資金102,060,000円の一部として98,191,000円を貸し付けたものであるが、その後、実際の分担金が98,191,000円に減額されたため、適正な貸付金額は94,440、103円となり、減額部分に係る貸付金3,750,897円は貸付けの必要がなくなっており、このことは、貸付後における借入者からの報告により明らかであったのに、繰上償還の措置を執っていない。
 なお、本件の不当貸付金額については、昭和63年5月に繰上償還の措置が執られた。
 
(総合施設資金)
 
(146) 新潟支店 農業者 畜舎の新築等 61.6
(年4.85%)
38,100 34,260 3,678 低額実施
新潟県信用農業協同組合連合会 新潟県岩船郡神林村
 この貸付けは、肥育豚舎2棟1,030m2 、堆肥舎1棟132m2 及び管理棟1棟33m2 の新築等に必要な資金38,100,000円の一部として34,260,000円を貸し付けたもので、借入者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、肥育豚舎の構造を変更するなどして、これより低額な33,980,000円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると30,582,000円となるので、本件貸付金額との差額3,678,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、昭和63年6月に繰上償還の措置が執られた。
 
(農林漁業構造改善事業推進資金)
 
(147) 北陸支店 漁業協同組合 漁船の主機及び補機の換装 61.7
(年3.5%)
31,500 25,000 5,000 低額実施
転貸先
漁業者
転貸先所在地富山県下新川郡朝日町
 この貸付けは、漁船の主機及び補機の換装に必要な資金31,500,000円の一部として25,000,000円を貸し付けたもので、転借者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、割戻しを受けて25,000,000円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると20,000,000円となるので、本件貸付金額との差額5,000,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金残高3,000,000円については、昭和63年5月に繰上償還の措置が執られた。
 
(148) 松江支店 漁業協同組合 漁船の建造 60.10
(年3.5%)
23,250 18,000 4,280 低額実施
島根県信用漁業協組合連合会 転貸先
漁業者
転貸先所在地島根県八束郡美保関町
 この貸付けは、漁船の建造に必要な資金23,250,000円の一部として18,000,000円を貸し付けたもので、転借者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、値引きを受けて17,150,000円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると13,720,000円となるので、本件貸付金額との差額4,280,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金残高3,328,892円については、昭和63年3月に繰上償還の措置が執られた。
 
(149) 岡山支店 漁業協同組合 海苔加工施設の取得 61.12
(年3.5%)
7,110 4,200 3,640 事業の一部不実施
農林中央金庫 転貸先
漁業者
転貸先所在地倉敷市
 この貸付けは、海苔加工施設(熟成機、截浄機、ミンチ機及び抄機各1台)の取得に必要な資金7,110,000円の一部として4,200,000円を貸し付けたもので、転借者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、このうち熟成機を取得しただけで截浄機、ミンチ機及び抄機については取得していなかったため、貸付対象事業費は700,000円となり、これにより適正な貸付金額を計算すると560,000円となるので、本件貸付金額との差額3,640,000円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金残高2,912,006円については、昭和63年1月に繰上償還の措置が執られた。
 
(沿岸漁業構造改善事業推進資金)
 
(150) 北陸支店 漁業協同組合 漁具の保管倉庫の新築 60.4
(年3.5%)
12,800 10,000 4,299 低額実施
富山県信用漁業協同組合連合会 転貸先
漁業者
転貸先所在地富山県下新川郡朝日町
 この貸付けは、漁具の保管倉庫1棟115.60m2 の新築に必要な資金12,800,000円の一部として10,000,000円を貸し付けたもので、転借者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、割戻しを受けるなどして7,126,000円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると5,700,800円となるので、本件貸付金額との差額4,299,200円が過大な貸付けとなっている。
 なお本件の不当貸付金残高3,439,360円については、昭和63年5月に繰上償還の措置が執られた。
 
(農林漁業施設資金)
 
(151) 仙台支店 林業者 自動送材車及びオガ粉製造機の設置 61.10
(年6.05%)
20,201 16,160 3,970 低額実施
福島県双葉郡大熊町
 この貸付けは、製材に使用する自動送材車及びオガ粉製造機の設置に必要な資金20,201,730円の一部として16,160,000円を貸し付けたもので、借入者は貸付対象事業費どおりの額で実施したとしていたが、実際は、割戻しを受けて15,236,830円で実施しており、これにより適正な貸付金額を計算すると12,189,464円となるので、本件貸付金額との差額3,970,536円が過大な貸付けとなっている。
 なお、本件の不当貸付金額については、昭和63年8月に繰上償還の措置が執られた。
 
235,021 205,811 28,618