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  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第4 日本道路公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

可変標示板設備工事において調達ずる予備品の数量を適正なものに改善させたもの


(2) 可変標示板設備工事において調達する予備品の数量を適正なものに改善させたもの

科目 (款)高速道路建設費
(款)一般有料道路建設費
(款)高速道路改良費
(項)建設工事費
(項)建設工事費
(項)改良工事費
部局等の名称 札幌、仙台、東京第一、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、各建設局及び東京第一、東京第二、大阪、福岡各管理局
工事名 道央自動車道美唄〜滝川間可変標示板設備その他工事ほか32工事
工事の概要 高速道路等の利用者に交通、気象等の情報を提供するための可変標示板等を製作、設置するとともに設置後の故障等に備えて表示灯等の予備品を調達するなどの工事
工事費 8,045,940,000円(当初契約額7,574,900,000円)
請負人 星和電機株式会社ほか4会社
契約 昭和61年8月〜62年12月 指名競争契約

 上記の各工事において、予備品の数量に関する仕様書の内容が適切でなかったため、約3600万円相当の予備品の調達が過大となっていた。
  このように予備品の調達が過大となっていたのは、可変標示板等を構成する機器の信頼性が向上していたり、規格の統一化により基板の互換性が高まっていたりしているのに、その実態を仕様書に反映させていなかったことによるもので、これを適切なものに改める要があると認められた。

 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 日本道路公団(以下「公団」という。)では、高速道路の建設工事等を毎年多数実施しているが、このうち札幌建設局ほか8建設局及び東京第一管理局ほか3管理局が昭和62事業年度に施行している可変標示板設備工事33工事(工事費総額80億4594万円)について検査したところ、次のとおり、電光式可変標示板、字幕式可変標示板及びこれらを監視する制御盤(以下「可変標示板等」という。)の予備品の数量が適切でないと認められる点が見受けられた。

すなわち、上記各工事は、高速道路等の利用者に多数の表示灯の点滅等によって交通、気象等の情報を提供するための可変標示板等を製作し、高速道路等に設置するもので、その際、設置後の故障等に備えて表示灯などの部品を予備品として公団の管理事務所に納入させることとするものである。このうち、予備品の数量については、公団制定の「可変標示板設備標準仕様書」(以下「仕様書」という。)に基づき、電光式可変標示板に使用されている表示灯については1面当たり300個、ヒューズについては可変標示板等の1面当たり装着数の3倍、また、可変標示板等の制御部等に装着されている半導体が組み込まれた基板については、可変標示板等の型式(注) ごとに基板の種類に応じて1枚ずつがそれぞれ必要であるとして、上記各工事において、予備品として、表示灯は電光式可変標示板473面に対し130,200個、ヒューズ及び基板は可変標示板等690面に対しそれぞれ装着数の3倍及び824枚を調達することとし、これに係る予備品費を計166,317,285円と算定していた。

  しかして、近年、可変標示板等を構成する機器については、表示灯の点灯方式が改良されたり、制御用変圧器が耐雷型となったりしているなど、その信頼性が大幅に向上しており、また、基板についても規格の統一化により可変標示板等の型式が異なっても同じ種類の基板が数多く用いられ互換性が高まっている状況にあることなどから、表示灯、ヒューズ及び基板の交換状況等を調査したところ、

ア 表示灯の交換は電光式可変標示板1面当たり年間平均100個程度であり、ヒューズの交換はほとんど行われておらず、また、これら表示灯及びヒューズは、いずれも短期間で容易に入手できる状況となっていた。

イ 基板については、上記のように、規格の統一化が図られてきている結果、予備品として調達している基板824枚のうち約20%が互換性のあるものとなっていた。また、故障の実績は極めて少なく、その修理も短期間で実施できる状況であった。

  したがって、このような実態を考慮すれば、これらの予備品の数量は、表示灯については1面当たり年間平均交換量の100個程度、ヒューズについては通常この種物品の保有数量とされている装着数と同数、また、基板については可変標示板等の型式が異なっても互換性のあるものについては重複して保有する必要はなく1種類ごとに1枚保有すれば足りると認められるのに、過大な予備品を調達しているのは適切とは認められない。
  いま、仮に、仕様書の可変標示板等の予備品の数量を上記により修正し、これに基づいて予備品を調達することとすれば、約3600万円相当の予備品は差し当たり調達の要がなかったと認められた。

 上記についての本院の指摘に基づき、日本道路公団では、63年10月に可変標示板等の予備品の数量に関する仕様書を適正なものに改め、同年11月以降契約を締結する工事から適用することとする処置を講じた。

(注)  可変標示板等の型式  インターチェンジの流出部に設置するA型可変標示板のほか、トンネル部、本線の中間部等の設置場所に応じた型式がある。