ページトップ
  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第6 水資源開発公団|
  • 不当事項|
  • 工事

付替林道の法面保護工事の施行に当たり、コンクリート吹付工を設計と相違して施工したもの


(154) 付替林道の法面保護工事の施行に当たり、コンクリート吹付工を設計と相違して施工したもの

科目 (一般勘定) (款)建設費 (項)ダム等建設費
部局等の名称 味噌川ダム建設所
工事名 羽黒沢崩壊地対策その他工事
工事の概要

ダム建設に伴い新設した付替林道の法面に対しコンクリート吹付け等を施工する工事

工事費 25,200,000円(当初契約額21,400,000円)
請負人 国土道路株式会社
契約 昭和62年8月 指名競争契約
しゅん功検査 昭和62年11月
支払 昭和62年9月、12月 2回

 この工事は、監督及び検査が適切でなかったため、コンクリート吹付工2,460m2 のうち615m2 (工事費相当額5,005,618円)の施工が設計と相違していて、工事の施工が不良となっていると認められる。

(説明)

  この工事は、木曽川水系の味噌川ダム建設に伴う補償工事の一環として実施している藪原林道の付替林道工事のうち、長野県木曽郡木祖村大字小木曽地内の羽黒沢工区及び尾骨沢工区において、林道の山側の法面を保護するため、法面保護工、排水工等として、コンクリート吹付工2,460m2 、U型側溝60m等を施工したものである。

  しかして、上記工事のうちコンクリート吹付工2,460m2 は、設計書、図面、仕様書等によると、法面の浮石、土砂等を取り除いて清掃した後、コンクリート吹付層を補強するため全面にわたり径2mmの菱形金網(網目5cmx5cm)を張り、この金網をアンカーピンでコンクリート吹付け厚さのほぼ中間の位置に固定するよう配意しながら、コンクリートを厚さ15cmで地山に密着して吹き付けることとしている。 そして、コンクリートの吹付け厚さについては、施工中は検測ピン(長さ20cm)で十分確認しながら施工することとし、また、施工後は200m2 に1箇所の割合でコアー採取し又は削孔して測定することとしている。

 しかるに、コンクリート吹付工2,460m2 のうち尾骨沢工区の615m2 については、金網の持ち上げが十分でなかったり、検測ピンを地山にくい込ませていて施工厚を十分確認していなかったり、出来形の確認のための検査孔の位置の選定が法面の端部に片寄っていて適切を欠いていたりなどしていた。このため、削孔して出来形を調査した17箇所中8箇所で金網が地山に著しく近接していてそのうち6箇所では地山に直接張り付いており、また、13箇所でコンクリートの吹付け厚さが6.3cmから12cmとなっていて設計厚に比べて不足しており、法面の一部にき裂も発生している状況であった。

 上記のように、本件コンクリート吹付工2,460m2 のうち615m2 (工事費相当額5,005,618円)は、その施工が設計と相違していて、工事の施工が不良となっていると認められる。