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  • 昭和62年度|
  • 第2章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第7 住宅・都市整備公団|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

道路工事における街渠工費の積算を適正なものに改善させたもの


(1) 道路工事における街渠工費の積算を適正なものに改善させたもの

科目 (款)住宅等建設費 (項)住宅建設費(項)住宅等用地費
(項)次年度以降用地費
(款)宅地造成費 (項)土地区画整理事業費(項)造成工事費
(項)関連公共施設等整備費
(款)住宅管理費 (項)住宅管理業務費(項)団地環境整備費
(款)受託業務費 (項)宅地受託業務費
部局等の名称 東京、関東、中部、関西、九州各支社、首都圏都市開発本部及びつくば、南多摩、港北各開発局
工事名 神代団地移管道路整備その2工事ほか136工事
工事の概要 土地区画整理事業等に伴う道路工事において舗装工、街渠(きょ)工を施工するなどの工事
工事費 21,316,850,000円(当初契約額20,595,450,000円)
請負人 東鉄・石原建設工事共同企業体ほか20共同企業体及び安藤建設株式会社ほか92会社
契約 昭和61年3月〜63年3月 指名競争契約、随意契約

 上記の各工事において、道路工事の街渠工費の積算が適切でなかったため、積算額が約7300万円過大になっていた。
  このように積算額が過大になっているのは、コンクリートの人力投入打設歩掛かりにはその表面仕上げの歩掛かりが含まれているのに、さらに、表面仕上げの費用を別途計上することとしていることによるもので、積算の基準を適正なものに改める要があると認められた。
 上記に関し当局に指摘したところ、改善の処置が執られた。

(説明)

 住宅・都市整備公団(以下「公団」という。)では、土地区画整理事業等に伴う道路工事等を毎年多数実施しているが、このうち、東京支社ほか8支社(注) 等が昭和62事業年度に施行している137工事(工事費総額213億1685万円)について検査したところ、次のとおり、街渠工費の積算について適切でないと認められる点が見受けられた。
 すなわち、上記各工事は土地区画整理事業等に伴う道路工事において舗装工、街渠工を施工するなどの工事であるが、このうち街渠工は、道路敷地内に降った雨水等を排水するなどのため、歩道と車道の境界部分にコンクリート(厚さ5cmから39.5cm、幅44.5cmから87cm)を打設し、その上に歩車道境界ブロックを据え付けるなどした現場打街渠を築造するものである。そして、この街渠工費の積算についてみると、公団が制定している「土木工事積算要領」(以下「積算要領」という。)に基づき、コンクリートの打設経費及びコンクリート表面仕上げの費用を計上するなどして137工事の総延長199,422mの街渠工費を、総額13億1469万余円と算定していた。

  しかして、上記積算要領において、コンクリートの打設経費のほかに表面仕上げの費用を計上することとしているのは、コンクリートの人力投入打設歩掛かりについては、建設省が制定している「土木工事標準歩掛」(以下「建設省歩掛かり」という。)のコンクリートの人力投入打設歩掛かりの数値をそのまま採用し、さらに、コンクリートの表面仕上げの作業が必要であるとし、別途にこの作業に適用する歩掛かりを公団独自で設定して加算することとしたことによるものである。

  しかしながら、上記の建設省歩掛かりのコンクリートの人力投入打設歩掛かりには、この種構造物の築造に伴うコンクリート打設に必要な作業に要する歩掛かりがすべて含まれているものであって、コンクリート表面仕上げの歩掛かりもこれに含まれていることから、コンクリートの打設経費のほかに、コンクリート表面仕上げの費用を計上する要はないものである。現に、建設省歩掛かりに準拠して街渠工費を積算している他団体においては、街渠工費にコンクリート表面仕上げの費用を別途積算していない状況である。
  いま、仮に本件街渠工の積算においてコンクリート表面仕上げの費用を別途計上しないこととして積算したとすれば、街渠工費は総額12億4155万余円となり、上記積算額を約7300万円低減できたと認められた。

  上記についての本院の指摘に基づき、住宅・都市整備公団では、63年10月に積算要領を改正し、コンクリート表面仕上げの歩掛かりを削除して、同月以降積算する工事から適用することとする処置を講じた。

(注)  東京支社ほか8支社等  東京、関東、中部、関西、九州各支社、首都圏都市開発本部及びつくば、南多摩、港北各開発局